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44 リリーナ・フラシンカ


あたしは、可愛いものが好きだ。

でも、それをからかわれるのは好きじゃないから、母さんとあたしの秘密。

父さんはきっとニヤニヤ笑いながらからかうだろうから絶対言わない。


あたしの部屋には、お人形がたくさん。

可愛いくまさんに、真面目な兵隊さん、優しい女の子、やんちゃな男の子、格好良い王子様。

なにより、お気にいりなのがきれいで可憐な王女様。

あたしは、王女様になりたい訳じゃない。

けど、憧れる。

あたしにないものを持っているからかな。


外で遊ぶのも、お人形遊びも好き。

お勉強はちょっと苦手。

貴族の子はお行儀よくしなきゃいけないんだけど、マナーの時間は嫌い。

女の子らしくないとは思う。

男友達は、あたしを男女おとこおんなだってからかうけど、あたしも自分でそう思う。

女の子だから大人しく、女の子だから慎む、女の子だから、女の子だから…息が詰まる。

まるでパンが喉に詰まったような苦しい気持ち。

あたしはあたしなのに。

女であるあたしが一番大っ嫌いだ。


そんなあたしは、王女様(お人形)のような男の子に出会った。

ウィーク・シークエンス君だ。


父さんの部下のリーグさんの息子。

男の子なのに可愛くて、他の男友達と違って優しい。


「ウィーク君は可愛いね」


「そうですか?」


「うん」


「リリーナさんも可愛いですよ。元気をもらえます」


あたしより小さいから見上げる顔がにっこりと笑うウィーク君。

守りたくなるような、この気持ちは何だろう。


父さんが試合で優勝した日、あたしは父さんに聞いた。


「父さんが守りたくなるのは何?」


「ん?そうだなぁ…家族や市民だろうな」


「何で?何で、守りたいの?」


「大切だからな。大切なもんは守りてぇからな」


「大切…」


ウィーク君はあたしの大切?


「大切なものを守るには、どうしたら良いの?」


「強くなれ。色んな強さがあれば、色んなもんから守れる」


「色んな強さ…」


あたしは、今までの嫌いを克服しようと思った。

お勉強も、マナーも、自分の気持ちも。

父さんからは剣を習い始めた。

そして、思った。

大切だと思う気持ちは強さになる。

なぜ大切なのかは分からない。

けど、大切だと思う気持ちは確か。

だから、この気持ちも大切なもの。


ウィーク君は、来年同じ小学校に通うことになる。

その時、あたしは守るよ。

大切な王女様(ウィーク君)を。



 

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