42 メアリーゼ・クラティマ
ウィーク・シークエンスはわたしにとって、王子様であり、お姫様だ。
頭の良さは幼稚園のみんなが言っている通りだけど、みんなに対する優しさより、わたしやお兄ちゃんたちに対する優しさの方が柔らかい。
まるでお姫様を大切にする王子様だ。
女の子に見えるのもそうだけど、たまに女の子のような言葉もつかう。
体も女のわたしより小さいし、見た目を気にしてる。
まるで守ってあげたくなるお姫様だ。
わたしはウィルが好きだ。
お兄ちゃんたちはよくからかってくる。
本当のことだから、ちがうとは言わない。
お母さんはウィルと結婚したいのか聞いてきた。
結婚、してもいいけど…結婚式はウィルがドレス着たほうが似合うと思う。
最近、ウィルは朝によく走ったり、棒を振り回したりしてる。
お父さんが言うには、体を鍛えてるって。
鍛えなくても、わたしが守ってあげるのに。
だから、ウィルより強くなって守ってあげるんだ。
お父さんにこっそり剣を習うことにした。
驚かせた方がおもしろいし、ウィルより弱い今はひみつだ。
わたしは力が強いみたいで、太い剣になった。
寝るのは好きだけど、動くのは嫌いじゃない。
騎士の試合を見てやってみたかったし、負けたくない。
あの子はわたしと同じ感じがする。
「メリー、メリー。起きて」
ウィルだ。
…起きてるけど、寝たフリしちゃお。
くすくす。
「もう。ほんと、眠り姫ねぇ。くふふ」
姫はウィルだよ。
ウィルが隣で寝転がる気配がする。
「…寝る子は育つって本当かな」
わたしの頭を撫でるウィル。
ウィルは大きくならなくて良いよ。
大きいウィルは想像できない。
「おやすみ、姫」
うん。おやすみ、ウィル。
きっと起こしに頼まれただろうけど、寝ちゃおう。
二人で怒られるなら、わたしは良いよ。
くすくす。
目覚めた時、目の前にいてほしい。
ウィル、一緒に居てね。
わたしはそっと手を握って、握り返す体温が心地よくてまた眠りについた。




