七夜
マリが二つのロザリオを並べて指差した。
「裏側のこれよ」
そこには見たこともない文字が並んでいる。
「主のお導きがありますように」
マリが呪文のように言う。なんでも、ラテン語でそんな意味のことが書いてあるそうだ。
マリの行く教会の壁にも同じ言葉が書かれているという。
しかし、問題はもう一つの文字。
クロスの横向きに書かれたのがラテン語。
縦にも何か書かれているが、マリにはわからないといった。ここは専門家の意見が必要だとマリが言い出し、明日、その教会とやらへ私も出向く羽目になった。
生まれてこの方、そんなところには行ったことのない私。
マリに説得されて、しぶしぶ約束をしてしまった。
次の日、退屈な仕事が終わるとすぐに家に帰った。
着替えを済ませるとマリの教えてくれた教会へと向かった。
教会の前についてもまだ辺りは明るかった。マリが入り口のところで手を振っていた。
意外に大きめな教会だったことにびっくりした。
中にはいると教会独特の空間が広がっていた。
なんだか、無駄に広いような静寂の鎖がまかれているような。私は苦手だった。
奥の祭壇の所に1人の男が立っていた。すでに初老といった感じで髪の毛には白いものが目立っている。
名前を桜木と名乗った。マリのお父さんの時代からの付き合いだと紹介された。
私はポケットからロザリオを取り出して、裏に書かれた文字のことを聞いた。
桜木神父はロザリオを手にとって眺めると二人を祭壇横のドアから奥へと案内をした。
細い廊下を通って、地下へと下った。
教会には意外と知らない部屋が存在することをはじめて知った。
目的の部屋のドアを開けると三人で中にはいった。
そこは本で埋め尽くされた図書館のような部屋だった。




