四夜
あの珍事から数日が過ぎた。
毎晩のように例の場所を観察するが、あれ以来何も起こらない。
相変わらず、暑い毎日が続く。
しょうもない仕事から帰るといつもの原始人スタイルになって発泡酒を飲んでいると、マリから電話がかかってきた。
「ねえねえ、タカシに聞いたんだけど幽霊が見れるってほんと?」
マリはタカシの彼女的存在で同棲しているのだが、結婚なんてめんどくさいといっているちょっと変わった女だ。
「あれからは見てないよ」
私が答える。
「な~んだ。暇だから行こうかなと思っていたのにな~」
そんな声を聞いて私はふと思った。
あの場所を見に行きたい。
しかしそこは高速の出口のゼブラゾーン。車じゃ無理だが、マリのバイクなら何とかなるかも。
私はマリに家に来るように言った。
マリも興味が沸いたようだ。
「よ~し、今から行くね~」
電話を切ると私は服を漁った。裸同然の今の格好では外出できないからだ。
マリのバイクの音が遠くから近付いてくるのがわかる。
ハーレーの独特の排気音。
デニムのパンツに厚手の長袖シャツに着替えた私はマンションの一階へと下りていった。
マンション前にはすでのマリが到着していた。
「相変わらず、ダサい格好だね」
マリはヘルメットを私に投げてよこしながら言った。
「それは私の勝手でしょ」
ヘルメットをかぶると私はマリのバイクに跨った。
「じゃあ、行くよ」
爆音を轟かせながらマリのバイクが走り出した。




