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兵站王の戦記〜追放王子の無敗論理〜  作者: リリリリス
第1章 王国篇

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第37話:宰相の誤算と王都の強制収容(リセット)

王都を囲む城壁の上で、宰相・ヴァルガスは信じられないものを見るかのように目を細めていた。


自分が誇った「禁忌の実験体」が、まるで害虫駆除の如く、あっけなく霧の中に沈んでいったからだ。


「そんな……バカな。数十年かけて練り上げた、死霊魔導と帝国の錬金術の融合だぞ……! それが、ただの『霧』ごときに……!」


宰相の震える声に、アルスは王都の城門を背にして答えた。その声は増幅魔法で、城壁の上にいる宰相の耳にも正確に届くように調整されていた。


「魔法も錬金術も、未知の力ではない。ただ、お前たちが『計算できていないエネルギーの揺らぎ』に過ぎない。ルナの噴霧器は、その揺らぎを強引にゼロに収束させたまでだ。……バグを除去するのに、派手な大魔法など必要ない」


アルスが右手を上げると、背後の鉄道から降りた兵士たちが、王都の全入り口を完全に封鎖した。


同時に、ドワーフのバルドが設計した「巨大な金属製のコンテナ」が、トロッコから次々と降ろされる。


「おい、何をしようというのだ……!」


「王都の『正常化』だ」


アルスの合図と共に、兵士たちが王都の住人たちへ向けて、拡声魔法で宣言を繰り返す。


「これより王都の全経済活動は、エリュシオン王子の管理下に置かれる。配給は効率的に行い、悪徳な搾取は禁ずる。……抵抗する者、あるいは宰相に与する者は、これより『処理コンパイル』の対象とする」


王都の中枢である市場や銀行、そして食糧庫。それらすべてが、アルスの【掌握の刻印】にリアルタイムで数値として吸い上げられていく。


宰相がこれまで王都の住民を恐怖で支配し、隠し持っていた裏金や食糧の隠し場所までもが、アルスの演算によって一瞬で見抜かれた。


「貴様、私を誰だと思っている! この国の実質的な支配者だぞ! 王家に、そしてこの国に、私の許可なく……っ!」


「支配者? 笑わせるな」


アルスは宰相を見上げ、冷たく言い放った。


「お前はただ、効率の悪いやり方で資源を浪費し、国家という盤面を混乱させていただけの『不要なプロセス』だ。今日限りで、その権限を強制終了させる」


アルスが指を鳴らすと、王都の地下に張り巡らされていた宰相の私兵団の通信網が、バルドの仕掛けたハッキング工作によって一斉に沈黙した。


指揮系統を奪われた私兵たちは、もはや何をしていいか分からず、ただ武器を捨てて呆然と立ち尽くすしかなかった。


王都は、一滴の血も流すことなく、アルスという新しい「システム」に上書きされていく。


宰相の権力という名のバグが消え、王都はアルスの支配下で、かつてないほどの安定した「稼働」を始めようとしていた。


「さあ、宰相。玉座の間へ行こうか。お前が今まで溜め込んだ『数字』を、全て書き換えさせてもらう」


アルスは表情一つ変えず、王宮の正門へと足を踏み入れた。

彼にとって王都制圧とは、ただの「国家の初期化」に過ぎなかったのである。

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