7-8 遭難の顛末
* * *
三十分後。
わたしたちはおじいさんと伊東亮介の手で防空壕から救出された。そこから歩いておじいさんの家にたどり着くと、待っていたのは、先に救助された悠里ちゃんだった。
「祐一ぃ」
悠里ちゃんは泣きじゃくりながら神楽くんの首にしがみつく。神楽くんは、そんな悠里ちゃんの頭を撫でながら「大丈夫だよ。大丈夫だから」となだめてあげていた。
それからさらに三十分ほどで救急車が現れ、神楽くんと悠里ちゃんはおばあさんと一緒に病院まで運ばれて行った。実のところ、家に着いた頃には神楽くんの喘息発作はほとんど治まっていたし、悠里ちゃんの足も大怪我ではなかった。けれど、一応念のために検査をするんだそうだ。まあこの山奥まで救急車を来させておいて大丈夫でしたじゃすまない気もするし。
救急車を見送りながら、伊藤亮介が行った。
「なんだよ、神楽のやつ。喘息の発作で死にそうだって話じゃなかったのか。案外ケロッとしてんじゃん」
「途中まではホントに大変だったんだよ。でもまあ、自然に発作が治まったみたい」
「……ふうん」
気がつくと、伊藤亮介が横目でこっちをじっとみつめている。
「何よ、言いたいことがあるんなら、はっきり言いなさいよ」
「……いやまあ、須崎も頑張ったんだな。ご苦労さん」
「あ、うん、伊藤くんも、助けに来てくれてありがとう」
素直に感謝の言葉贈った。すると、伊藤亮介の顔が真っ赤に染まる。
「い、いやあ、その、まあいいって事よ」
どうやらわたしに話しかけられて照れているらしい。ふふん、まあ、それこそがこの須崎玲奈様を前にした男子の正常な反応ってもんだ。こいつも少しは成長したってことか。
「いや、ちょっと待て。良くねえ、全然良くねえぞ」
「なによ、アンタどうしたの?」
「考えてみろ、三谷さんと神楽が二人で救急車に乗ってったじゃねえか」
「そりゃそうだけど、二人っきりってわけじゃないでしょ。おばあさんだって、救急隊の人だっているし」
「傷ついた二人。夜のドライブ。人気のない病院。デンジャラスだ! デンジャラスすぎる!」
伊藤亮介は、デンジャラス!を連呼しながら救急車の後を追いかけていった。
つくづく男子って、ホントにバカだ。




