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6-4 再結成、レンジャー部隊

 それからわたしは、バッグからメモ用紙を取り出して悠里ちゃんのおじいちゃんおばあちゃん宛の手紙を書き始めた。

「なんだソレ?」

「夕方までにわたしたちが帰ってこなかったら探してくださいってね。二次遭難の予防ってヤツ?」

 そうして書き上げた手紙を台所の炊飯ジャーの中に入れておく。

「なぜ、炊飯ジャーの中に?」

「ここなら夕ご飯の準備をするまで開けてみないでしょ。万が一の備えなんだから、早めに手紙を見られて二人を心配させることがないように」

「なるほど」

 よし、これで準備OKだ。

「じゃあ各自着替えを済ませたら、悠里ちゃんを探しに出発するよ」

「えっ、まだメモの五つ、揃ってないだろ。伊藤くんを待たなくて大丈夫なの?」

 神楽くんは不安そうな声をあげる。

 たしかに、時間さえあれば松葉杖とロープが来るのを待ってもいいろう。でも、そうもいかなかった。

「来る時四時間かかった道だから、いくらタクシーに乗っても伊藤亮介が来るまで三時間はかかるでしょ。さすがにそれまで待っていられないよ。今は晴れてるけど、携帯の天気予報ではお昼過ぎから雨なんだって」

「えっ?」

 雨。それは今日の悠里ちゃんが最初に遭遇する災難だ。

 神楽くんの顔が一段と暗くなる。

「大丈夫。わたしを信じて」

 縮こまっている彼の肩をバシンと叩いた。

「今から二人でお墓に行って、お昼までに悠里ちゃんを確保する。そして雨が降る前に戻ってくれば、メモのアイテムがそろってなくても問題ないでしょ」

 つまり、こういうわけだ。もし幽霊のメモに「国語の教科書」と書かれていた場合、彼女を助けるには国語の教科書を持って行って貸してあげればいい。実際、神楽くんはいつもそうしてきた。でも、実はもっとシンプルな方法だってあるんだ。それは、彼女に電話して「国語の教科書忘れてるよ」と教えてあげることだ。前もって忘れ物するのを防いであげれば、「国語の教科書」自体はなくてもいい。

 まあ、それもこれも、悠里ちゃんのお母さんの幽霊がメモを残すなんていう話が本当だったらの話だけど……

 わたしは、窓から見える裏山を指差しながら力強く宣言した。。

「それじゃあ、目指すは、頂上にある沙希さんのお墓! 悠里ちゃん救出ミッション・スタート!」

「おう!」

「これからの作戦の指揮はわたしが取ります!」

「ああ、頼むよ」

「レンジャー!」

「へっ?」

「以後、返事は全てレンジャーと答えるように!」

「何それ?」

「レンジャー!」

「れ、レンジャー」

 だんだん乗ってきたぞ。やっぱり部下にするなら、バカの伊藤より神楽くんの方が何十倍もいい。ちょっと思い切って言ってみた。

「そして以後わたしのことは、隊長……じゃなくて、『玲菜』と呼ぶように!」

「須崎さん何言ってるの?」

 神楽くんが呆れたような声を出す。たしかに、悠里ちゃんが危ないかもしれないってときに、わたしってば何をやってるんだろう。でも、まあこのくらいの役得はあってもいいんじゃないのかな。

「須崎さん、じゃなくて、玲菜」

「れ、玲菜」

 ――ヤバい。神楽くんに名前を呼ばれると。なんか、背筋がゾクゾクする。

 ようし、このままズバッと悠里ちゃんを助け出して、わたしのスゴイところを神楽くんに見せつけてやるぞ!

 

 そしてわたしたちは、お母さんのお墓のある裏山へと一歩を踏み出した。


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