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■第10話 激突

大変お待たせしました!少し長めです!

古びた祭壇。


風だけが静かに吹き抜ける。


祭壇の上では、一人の男が酒瓶を傾けながら退屈そうにこちらを見下ろしていた。


「……よう。」


「待ってりゃ来るんじゃねぇかと思ってたよ。」


リグは男を見据える。


『戦鬼……』


小さく息を吐き、仲間へだけ聞こえる声で言う。


「気を付けろ。」


「血液操作と高速再生を使う近接戦闘が得意な戦闘狂だ……まともに殴り合う相手じゃない。」


リオンが眉をひそめる。


「……なんでそんな詳しいんだ?」


「昔、ちょっとな。」


短く濁す。


その時だった。


祭壇の上の男が笑った。


「おい。」


「そこのやたら弱そうな人間。」


リグが顔を上げる。


「……俺か?」


「そうそう。」


ヴァルガスは顎へ手を当てる。


「どっかで会ったか?」


「いや。」


「そうか。」


少しだけ考え込む。


「……ならいい。」


しかし、次の瞬間。


ニヤリと笑った。


「ただよ。」


「魔力、隠しすぎだ。」


「強い奴ほど隠したがる。」


「逆に怪しいぜ?」


リグは表情を変えない。


「買いかぶりだ。」


「まぁいい。」


ヴァルガスは立ち上がった。


酒瓶を放り投げる。


パリン、と砕け散る。


「遊ぼうぜ。」


エリシアが一歩前へ出る。


剣を抜き、真っ直ぐ切っ先を向ける。


「勇者エリシアの名のもとに――」


「あなたを討ちます。」


ヴァルガスは豪快に笑った。


「ははっ!」


「そういうの待ってたぜ!」


牙を見せる。


「俺ぁ楽しい戦いができりゃそれでいい!!」


次の瞬間。


地面が爆ぜた。


一瞬で間合いが消える。


「来た来たぁ!」


リオンが迎え撃つ。


剣と拳がぶつかり合う。


火花が散る。


「うおっ!?」


「速ぇ!硬ぇ!」


横からエリシアが踏み込む。


斬撃。


ヴァルガスは紙一重でかわし、そのまま笑う。


「いいねぇ!」


「二人がかりか!」


「もっと来い!」


リオンが距離を詰める。


エリシアが逆側から挟む。


二人の連携。


その隙だった。


リグが手をかざす。


影が揺れる。


――ジャラッ


黒い鎖が一直線に伸びる。


ヴァルガスの身体へ絡みついた。


「ん?」


締め上げる。


ギギギ……


ヴァルガスは鎖を見下ろした。


「……なんか。」


「見たことある気がするな。」


少しだけ考え込む。


「まぁいいや。」


「ボフッ。


身体が無数の蝙蝠へと散った。


鎖は空を掴む。


蝙蝠は数メートル先で再び集まり、人型へ戻る。


「便利だろ?」


笑った瞬間だった。


「そこよ!」


エリシアがすでに待っていた。


一閃。


ズバァァッ!!


ヴァルガスの身体が真っ二つになる。


リオンが叫ぶ。


「やったか!?」


静寂。


真っ二つになった上半身が口を開く。


「ぐわぁぁぁぁ!!」


一拍。


「……なんちゃって。」


「なっ――」


ドゴォォッ!!


拳がエリシアを吹き飛ばした。


「エリシア!」


リオンが叫ぶ。


ヴァルガスは裂けた身体のまま笑っている。


「いいねぇ!!」


「最高だ!!」


肉が蠢く。


骨が繋がる。


血が逆流する。


数秒。


完全に元通り。


「何回でも来い。」


「何度だって遊んでやる。」


カレンが前へ出る。


「……なら。」


剣を掲げる。


眩い光が祭壇を包み込んだ。


「聖域展開。」


光が広がる。


ヴァルガスの笑みが初めて曇る。


「げぇ……。」


眉をしかめる。


「聖魔法かよ…」


肩を回す。


「これ嫌いなんだよなぁ……。」


「気分悪くなるぜ。」


身体がわずかに鈍る。


その一瞬。


「逃がさない!」


エリシアが踏み込む。


剣閃。


再びヴァルガスの身体が両断される。


「またそれかぁ?」


ヴァルガスの体が再生し始めた、その瞬間。


エリシアは、その一瞬の隙を見逃さなかった。


「今!!」


声に反応したリグの手によって影が一斉に揺れる。


――ジャララララッ!!


数十本もの鎖が伸びる。


ヴァルガスを中心に球状の檻を作り上げた。


「おいおい!」


「檻かよ!」


フィナが静かに杖を掲げる。


「……準備。」


リグが頷く。


「三秒後な。」


「問題ない。」


魔力が極限まで圧縮される。


リグが鎖の一部を開く。


「穿つ…!」


轟音。


球体の隙間から眩い光が漏れる。


大地が揺れる。


爆風が吹き荒れる。


光が消える。


鎖がほどける。


煙の中から現れたのは、


全身が焼け焦げ、


片腕を失い、


血まみれになったヴァルガスだった。


それでも。


笑っていた。


「あー……。」


血を吐く。


「楽しかった。」


リオンが呆れる。


「まだ笑えんのかよ……。」


ヴァルガスは勇者パーティを見回す。


「正直。」


「予想以上だった。」


そう口にする間にも、


焼け焦げた肉が蠢く。


失った腕がゆっくりと形を取り戻し、


裂けた皮膚が音もなく塞がっていく。


リグが小さく目を細める。


『……もう再生してやがる』


最後にエリシアを見る。


「でも。」


少しだけ真顔になる。


「今のお前らじゃ。」


「うちのボスには勝てねぇかもなぁ。」


その頃には、


失った腕はすでに肘まで再生し、


全身の火傷もほとんど消え始めていた。


祭壇を降りる。


背を向ける。


「だから。」


肩越しに笑う。


「もっと強くなれ。」


「俺がまた遊んでやる。」


ボフッ。


無数の蝙蝠へ姿を変え、


空へと消えていった。


静寂。


リオンが大きく息を吐く。


「直属の部下でこれかよ……。」


カレンも剣を納める。


「油断はできんな。」


フィナが静かに呟く。


「……四天王級。」


エリシアは祭壇の先を見つめたまま、小さく拳を握る。


リグだけが、誰にも聞こえない声で呟く。


『戦鬼ヴァルガス…なぜ四天王の下に…?』


吹き抜ける風だけが、その呟きをさらっていった。

毎日更新ちょっと止まっちゃうかもです!更新はちゃんとしていきますので!!

初投稿で誤字脱字つたないところあるかもしれませんが完結目指して頑張っていきます!

温かい目で見守っていただけたら幸いです!感想お待ちしております!

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