表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世は観測されるまで存在しない  〜世界で唯一魔法が使える俺が、日本の闇を書き換えた結果〜  作者: soletes


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/42

本来の形

※この物語はフィクションです。

あなたが観測するまでは。


朝。



 ニュースの音が、街に流れている。



『——杉並四丁目一家殺害事件について、新たな進展です——』



 画面には、現場の映像。



『これまで不明とされていた時間帯に関し、新たな映像データが確認され——』



 スタジオがざわつく。



『複数の人物が関与していた可能性が高いとみられています』






 編集部。



 班目唯は、画面を見つめたまま動かない。



 再生される映像。



 ノイズ。



 その中に映る影。



 一人ではない。



 二つ。



 いや——



「……三人?」



 思わず、口に出る。



 動きは、無駄がない。



 迷いもない。



 まるで。



「……知ってるみたい」



 現場を。



 構造を。



 時間を。






「班目」



 斉藤の声。



 振り向く。



 いつもと変わらない表情。



 だが、目だけが違う。



「見たか」



「……はい」



 短く答える。



 斉藤は画面を見る。



 数秒。



「……やっぱりな」



 小さく言う。




「単独じゃない」



 確信。



 班目は頷く。



「それと——」



 斉藤が続ける。



「この動き」



 画面を指す。



「素人じゃない」



 一拍。



「“準備してる”」




 班目の背中に、冷たいものが走る。



「……準備」



「事前に、な」



 斉藤は目を細める。



「カメラの位置も、死角も」



「全部把握してる動きだ」




「……じゃあ」



 班目が言葉を探す。



「偶然じゃないんですか」



 問い。



 斉藤は、少しだけ笑う。



「最初から偶然じゃない」



 一言。






 別のニュース。



『また、被害者の父親が勤務していた企業に関し——』



 画面が切り替わる。



 企業名。



 会見。



『内部調査の結果、一部不正の可能性が——』




 班目の目が見開く。



「……繋がってる?」






 大学。



 昼。



 ざわつく教室。



「なあ見たか?」



 吉田凪が、いつもの調子で話しかけてくる。



「事件、めっちゃ進展してんじゃん」



 スマホを見せる。



「犯人、複数っぽいぞ」



 笑いながら。



「やっぱ一人であれは無理だよな」



 悟は画面を見る。



 ニュース。



 映像。



 情報。



「……そうだな」



 短く答える。



 凪は続ける。



「でもさ」



 一拍。



「なんで今さらなんだ?」



 軽い調子のまま。



「こんなん、もっと前に分かりそうじゃね?」




 悟の視線が、わずかに止まる。



「……」



 答えない。






 編集部。



 班目は、一人で資料を見ていた。



 映像。



 動き。



 企業。



 全部が、繋がっていく。



「……偶然じゃない」



 小さく言う。



 明確な証拠はない。



 だが。



「……揃いすぎてる」



 視線を落とす。



 考える。



「……誰かが」



 そこで止まる。



 言葉にできない。



 したくない。






 夜。



 宮島悟。



 部屋。



 窓の外を見る。



 街は、いつも通り。



 何も変わらない。



 だが。



「……変わったな」



 小さくつぶやく。



 事件は動いた。



 真相に近づいた。



 それは事実。



 だが。



「……これでよかったのか」



 一拍。



 自分に問いかける。



 答えは出ない。




 ただ。



 確実に。



 “なかったもの”を。



 “あったもの”にした。




 その結果だけが、残る。




 静かな部屋。



 時計の音。




 悟は、目を閉じる。




「……」




 何も言わない。




 だが。



 ほんのわずかに。



 迷いが生まれる。


——この物語は、あなたに観測されたことで成立しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ