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異世界で【ゲート】を探せ  作者: 花屋敷


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第77話


  次の日、森の中で新しい装備を確認したがジョージの想像以上の効果だった。

  今の彼の装備は、

 

 片手剣 攻撃力+40、素早さ+30、時々2倍のダメージ

 防具 素早さ+40 敵に見つかりにくい。

 アイテム 素早さの腕輪 素早さ+40  

      力の腕輪 攻撃力+40

      バンダナ 素早さ+30  攻撃力+30

      体力の指輪 疲れにくい

      フクロウの指輪 夜目が効く


  装備がかなり優秀なものになっている。


  能力的には攻撃力が+110、素早さが+140

 以前南の街のハロルドから聞いた話だと+10で4%から5%のアップ、+25で10%から12%のアップと言っていた。それを置き換えると今の攻撃力+110だと40から50%のアップ、素早さは60から70%アップしていることになる。あくまで比例関数での予測なので実際はこれほどアップしていないのだと思うが、それでもバンダナを装備すると強さが実感できる程だ。


 体力の腕輪は野営をした時に数日後に効果が実感できるのだろう。1日の活動では差を感じる程ではなかった。


 装備を強化したことで魔獣の討伐と探索の難易度が下がったと感じているジョージ。この装備に慣れ、自分のものにした時が街を出るタイミングになるだろう。

 

 この日はレストランで食事をしたジョージは1人で”ミドリ”に顔を出した。時間的に早い時間だったこともあり、カウンター席が2つ埋まっている。座っているのは女性客だが彼がホテルで見たことがない2人だ。おそらく別のホテルを常宿にしているのだろう。彼は反対側の端の椅子に腰掛けると銅貨3枚を置いた。すぐにポリーナが目の前に水割りが入ったグラスを置く。


「最近は山に行ってないの?」


「長期ではないかな。1週間とかの短い期間では行ってる」


「そろそろ?」


 それだけで質問の意味がわかる。ジョージは首を左右に振る。


「もう少し鍛錬しないと。まだ完全に自信がないんだ」


「山越えはきついからね」


「その通り」


 彼女は砂漠の街には行っていないが、山の中は探索している。なので急斜面の移動と戦闘が簡単じゃないことを知っていた。


 話が途切れるとポリーナは女性2人組の前に移動した。ジョージは1人で水割りを飲む。会話はないが部屋以外の場所でリラックスすることが気分転換になる。見ていない様でポリーナは見ている、ジョージが空になったグラスの横に銅貨3枚置くとすぐにおかわりのグラスを置いた。


 ポリーナは女性客の相手をしながらもジョージを見ていた。4年目、まだ20代で山を越えて砂漠の街に向かおうとする迷い人は今まで聞いたことがない。しかもソロで行くと言っている。聞くと今までずっとソロで動いていて移動もソロだと言っていた。相当の実力者であることがそれからも伺える。


 2杯目を飲んでいるとカウンターにいた女性2人組が席を立って店を出ていった。この街では迷い人相手の飲み屋が3軒あるが、どこでも深酒をした酔っ払いを見たことがない。西の街や東の街では何度か目にしているが、川の街からは全く目にしていない。


 彼女達が出て、ほとんど入れ違いに女性3人組が店に入ってきた。こちらはジョージの顔馴染み、同じホテルに泊まっている迷い人だ。


「ハイ、ジョージ」


 最初に入ってきたオリビアが声をかけた、続いてリズとソフィーが店に入ってくる。皆ジョージを見て声をかけてから中央の席に座った。


「最近見なかったよな」


 3人が座ったタイミングでジョージが言った。


「今日の昼過ぎに山から帰ってきたの。シャワーを浴びてひと休みしてから来たのよ。明日は休養日だからね」


 オリビアが言った。彼女が3人の真ん中に座っているのでリーダー格なのかもしれない。


「なるほど」


 山というだけでどこの山だとかは言わないし聞かない。それがルールだ。


「ジョージは?」


 ジョージから一番遠い席に座ったリズが顔を向けて聞いてきた。


「俺は少し前までは山にこもってた。最近は周辺で身体を動かしてるよ」


「魔法袋は手に入れた?」


 ジョージが買ったというと驚いた顔をしつつも良かったねと言った。驚いていたのは店のママのポリーナもだ。


「よくタイミングが合ったわね。1年通って買えていないプレイヤーも多くいるわよ」


「そうみたいだな。ラッキーだったよ」


 本当にそうよと言っているポリーナ。ジョージはもちろん詳しい話をする気はない。隣に座っている3人は3人で魔法袋の大を1つ持っているそうだ。


「小でもいいから2つ目、3つ目が欲しいんだけどさ、売り物が出ないのよね」


 オリビアがいうとポリーナから1個持っているだけでも全然違うじゃないと言っている。女性に取ったら荷物が軽くなるというのは死活問題だろう。思い荷物を持って長距離を移動したり山を登ったり降りたりするのはきつい。


 ジョージが席を立った。


「俺は明日外に出るんでお先に」


「「お疲れ様」」


 女性達の声を聞いて店を出たジョージ。普段から飲んでも3杯までだ。深酒はしない。



 ミドリで飲んだ3日後、ジョージは山に足を向けた。1週間の野営をしつつ新しい装備に慣れるのが目的だ。


 山に入って3日目になるとシオンのアイテム屋で手に入れた体力の指輪の効果を実感する。それまでの3日目と疲れが全然違う。きつい斜面を登りながら敵を倒し斜面に生えている太い木の枝で野営をする。もちろん今までもこなしてきた訓練だが疲れて木の枝の上で長い時間の休憩が必要だった。


 それが今回は以前ほど疲れない。4日目になるとさらにその差がはっきりする。これは大きな戦力になると実感した。

 

 疲れていると集中力が切れやすくなる。木の枝の上で休んでいてもついついウトウトとしてしまいう。木の枝にいると安全だとは言われているが100%の保証がない。森や山の中での野営はホテルのベッドとは違う。常に周囲を警戒する必要がある。短い睡眠を繰り返すのが鉄則だが万が一ぐっすりと寝てしまうと、その間に不慮の事故にあう可能性がある。そんな時にこの指輪であれば体力の消耗が少ない、あるいは遅いので集中力を長時間維持することができる。


 1週間山に篭って新しい装備の効果を身を持って体験したジョージは山裾の街に戻ってきた。換金をし、ホテルの部屋に戻るとシャワーを浴びた。


 スッキリした彼は部屋の机の上に木彫りの女神像を置いて祈ったあとベッドに地図を広げた。今回こもったエリアを地図で再確認しながらこの1週間の動きを振り返る。装備にも随分と慣れた。この調子でいけばアイテム屋のシオンには半年後と言ったが、もう少し早いタイミングで山越ができるかもしれない。


 そう思ったジョージだがすぐにいや待てと自分で自分の思考を止めると大きく深呼吸をする。


 詳細な地図がある。装備も更新できた。でも本人はどうなんだ?本当にあの山を越えていけるのか?装備が良くなったからと自分の実力を過大評価していないか?


 最初の台地ですでに良い装備をしていた自分だが、それでもしっかりと戦闘技術を向上させる鍛錬をし、自分に納得できたと感じたから次の街に移動していたじゃないか。


 周りから腕が立つとか、できる奴だと言われて有頂天になってなかったか?

 次の砂漠の街が終点の街だと言われている。ここにきて気持ちが急いていないか?

 

 もう一度深呼吸したジョージはこの世界に降り立ってからの自分の活動を振り返ってみる。結果的に順調に街から街へと移動してきたが、それは自分が納得できるまでその場でしっかりと準備をしたからだ。


 山を越えたら砂漠の街だ。もうすぐだという気持ちが前に出過ぎていて初心を忘れそうになっていた。いや、忘れていた。


 しばらくベッドの上で仰向けになって目を閉じていたジョージ。目を開くと起き上がって木彫りの女神像が置いてある机に座った。


「もう少しここで鍛錬する。あんたの出番はもうちょっと後になる」


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