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異世界で【ゲート】を探せ  作者: 花屋敷


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第6話


 ジョージは草原を抜け、今は森の入り口付近を歩いていた。この辺りはトカゲのテリトリーになっている。周囲を警戒しながら歩いている彼の防具は素早さ+40に加えて、敵に見つかりにくいという特性がある。これについてはここ数日森の中でトカゲを相手に防具をつけた状態と付けていない状態で何度も敵に見つかる距離感を覚える鍛錬をしていたこともあり、一通りの性能は理解していた。


 敵に見つかり難いとは敵の気配感知距離を敵を中心に半径10とするとこの防具を装備することで8になる。つまり以前なら見つかっていた10の距離が8になるまで相手に気づかれないということだ。さらにこれが夕刻というか視界が悪くなるとその距離が7になる。


 持っている片手剣には時々2倍のダメージという特性がありこれが発動すると1度の攻撃で2度攻撃した時と同じダメージが出る。ただこの発動が今のところは低くて10%もない。10回攻撃して1回あるかないかという頻度だ。これについては自分の能力が上がる、強くなれば発動する率が上昇するのではないかと期待している。


 次の街に移動するにあたってしっかりと準備をしたこともあり今のところは大きなトラブルもなく森の中を進んでいた。彼は背中にリュックを背負っている。魔法袋があるが、それを悟らせないためにダミーとして背負っていた。中には軽いものしか入っていない。ジョージは移動中。試しに森の中にある果実を食べてみた。想像以上に美味しかった。ただ日持ちはしなさそうだ。せいぜい2日程度だろう。


 日が暮れてくると木に登り、太い木の枝で仮眠をとる。森の中で地面にテントを張る様な愚は犯さない。


 森の中を5日間ほど進むと熊の魔獣が徘徊するエリアになった。熊と対峙するのは初めてだ。トカゲよりも気配感知は広い可能性もあるが、これは実践を通じて感覚を掴むしかない。


 進行方向右手に1頭の熊の魔獣を発見した。立ったままゆっくりとトカゲの時の10の距離に近づく、熊は反応しない。8の距離で反応してこちらを見つけると向かってきた。外見は熊だが大きな2本の牙が下顎から上に伸びている。気配感知の距離はトカゲと同じだ。外見に似合わず、素早い動きでこちらに向かってきた熊を躱しながら片手剣を振るうと2倍攻撃が発動する。


「よし、これなら躱せるぞ」


 体力は多いが後ろ足で立ち上がって襲ってくる熊の横から腹に剣を振り、すれ違い様に首に剣を振り下ろす。数度の攻撃で熊の魔獣が倒れた。すぐに胸を切り裂いて魔石を取り出す。トカゲよりも大きな魔石を魔法袋に収納した。


「熊の動きを問題なく躱せた。1体なら問題ないな」


 この調子で熊がいるエリアの端を進んでいく。熊を数体倒すと彼らの攻撃パターンを覚えたこともあり、殲滅の速度が早くなった。ゲームではないからレベルアップもなければ脳内に何かが聞こえてくることもない。自分の身体を自分で鍛えて強くするしかない。最初の街から出てしばらくの間の期間、つまり今のこの時期にしっかりと基礎体力を付けて戦闘に慣れる事が必要だと彼は感じていた。


 ゲートを探すことばかり考えるとどうしても前のめりになって先へ、先へと進みたくなる。しかも誰かと組んでいると個人のスキルの上がりが遅くなり、いざという時に対応できなくなる。”スモーク”のスモーキーも言っていたが最初の3つの街の周辺にゲートがある確率はかなり低い。さらに簡単にゲートが見つかるとは思えない。彼のこの意見にはジョージも同感だ。今まで見つかっていないのがその証左だ。


 なので最初の3つの街までは様々な種類の敵を倒して自分の戦闘能力を高める事に軸足を置くことにする。自分が強くなると強い敵を倒せる事になり、結果的に盗賊が出た際でも対処できることになると考えていた。


 1日に20体近くの熊の野獣を倒して鍛錬を重ねて進んで行くと、虎が徘徊するエリアになった。ここでも見つかりにくい距離をしっかりと測り、虎の魔獣相手に鍛錬をする。虎の感知範囲もトカゲや熊と同じだ。ただ虎は熊よりも早くそして咆哮でこちらを威嚇してくる。ギリギリまで動かずにいて、最後に左右どちらかに動きながら片手剣を振るう。1度では倒せないので何度も同じ事を繰り返して虎を倒しては魔石を取り出す。虎の魔石は熊とほぼ同じ大きさだ。ジョージにとっては熊も虎も初めて対戦したが、なんとかなりそうだと言う感触を得た。


 森は深く、視界が悪い。ジョージが持っている魔法袋の中にはテントがあるが彼はこの森ではそれを使わず、毎日、日が暮れる前に高い木に登ると太い枝の上に座って食事をし、落ちない様に気をつけながら睡眠を取っていた。寝苦しいが奇襲を受けることを考えるとこの方がずっとマシだ。


 虎のエリアを通りながら鍛錬を続ける。1体を倒す時間は早くなった。ただ2体倒せるかとなればまだ厳しい。2体を同時に相手にするためには自分の身体能力をもっと上げなければならない。


 その後も野営をし、森の中を移動していると、地面の上に何かが落ちているのが目に入ってきた。近づくと今自分が着ているのと同じベストやシャツの切れ端だ。それがそこら中に散らばっている。片手剣も2本あった。


「2人組か」


 周囲を見て虎がいないことを確認すると、あたりを警戒しながらジョージは地面を掘ってそこに防具の切れ端を入れ、土をかけて少し盛り上げた。近くに落ちていた2本の片手剣を盛った土の背後に突き刺して両手を合わせる。


 この世界で命を落としたらどうなるんだろうか。最初に天に召された600名と同じ様な待遇なのか、それとも違うのか。


 考えても結論が出ない話だ。今はまず強くなることだ。それから本格的にゲート探しに参加しよう。


 簡単な墓を作って祈りを捧げてから3日後、ジョージは森を抜けた。森を抜ける少し前から魔獣がトカゲになり、草原に出るとウサギ、スライムになった。そしてその先にある森に入ると再び熊、虎のエリアになる。


 虎や熊がいるエリアに入って1週間、そろそろこのエリアも抜けるだろうと思いながら進んでいるジョージは前方に気配を感じた。すぐに近くの木の陰に身を隠す。この気配感知も鍛錬で身に付くものだというのは熊と虎を相手にしている時に気がついたことだ。今はまだそのレベルが低いが5感を研ぎ澄ませる行為が無意識にできる様になれば、生き残る確率も上がるだろう。


 木々の間から気配がする方向に顔を向けると、そこでは自分と同じ格好をしている5人の迷い人が1体の熊を相手にしているところだった。


 1体の熊の周囲を5人の男性が取り囲んで剣を振っている。どうやら順番に攻撃をして1人が大きなダメージを喰らわない様にしているみたいだ。ただ、それでも熊の攻撃を受けている。何より全員がへっぴり腰で剣を振っていた。


 あれだとソロじゃ厳しいだろう。そう思って見ていると1人がポケットから小さな瓶を取り出して口に含んだ。それを見た他のメンバーも攻撃の間に小さな瓶を口に含み再び剣を振る。しばらくすると熊が倒れた。体内から魔石を取り出した5人はジョージがいる方向とは反対方向、次の街がある方向に向かって駆けていった。


 ジョージは隠れていた木の陰から出た。

 今の戦闘でいくつか分かったことがある。


 まず彼らの武器、片手剣は最初に手に入れたものだと確か攻撃力+10だ。一方でジョージが今持っている片手剣は攻撃力+40、素早さ+30、時々2倍のダメージ。攻撃力の差に加えて素早さの差、これが自分が想像していたよりも大きいということだ。ひょっとしたら彼らは次の街で新しい片手剣を手に入れているかも知れない。だとしても今の自分の剣の方がずっと強い。さらにジョージの場合、剣だけではなく、装備にもアイテムにも特殊効果が付いている。ダメージ以外に剣や身体のスピードが全然違う。もし自分があの空間で初期装備の攻撃力+10の片手剣を所持して街を出ていたとしたらトカゲはなんとか倒せても熊や虎はソロで倒すのは相当厳しくなっただろう。


 通常装備との差が思っていた以上に大きいという事がまず一つ。

 その次に気がついたのは彼らが口に含んでいた小瓶だ。想像だがあれは体力を回復するアイテムだろう。次の街に売っていて、予想通り体力を回復するアイテムなら買えるだけ買った方がいい。ソロで活動する自分には必須になる。


 彼らが去った後、ジョージは熊の魔獣を倒した。倒した時間は5人で倒した時間よりもずっと短かった。


「あの洞窟で粘って良い装備を手に入れてよかった」


 最初の街を出てから31日目、ジョージの目の前に2つ目の街の城門が見えてきた。彼は一旦城門から離れると人気がない場所に移動し、そこで魔法袋から鞄を取り出すと、途中で倒してきた多くの魔石を背中のリュックに移した。それが終わると腕輪を外してから城門を潜って街の中に入っていった。


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