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異世界で【ゲート】を探せ  作者: 花屋敷


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第54話 川の街

 草原に降りて歩くと今までとは違う魔獣が現れた。小型の恐竜に見える魔獣が徘徊している。二足歩行の恐竜と四足の恐竜がいた。2種類の魔獣と戦ったジョージ。苦労はしたが倒せないことはない。大柄であるせいか敏捷性が無く余裕で避けられる。森に入っても同じサイズの恐竜に似た魔獣がいたがそれらを倒しながら1週間後、ジョージは新しい街、川の街のに入った。


 台地の上から見ていた感じではこの街は南の街よりは小さい。コンパクトにまとまっている。迷い人もちらほらと見えるが圧倒的に男性が多い。これはこの世界に来て初めてだ。今までの街は女性の迷い人もいて大体男性6で女性が4程度の割合だったがこの街は違う。実際の割合はわからないが第一印象では女性の迷い人が少ないと感じたジョージ。


 街にある換金屋に顔を出した。恐竜の様な魔獣の魔石は銀貨2枚で買い取るという。森の中の黒豹と同じ値段だった。移動の間に結構な数の魔獣を倒していたこともあり、換金することでかなりの収入を得ると、その足でホテルを探す。


 リバーサイドホテルは街の東側、川の近くにあった。4階建のこぢんまりとしたホテルだ。宿泊は1泊銀貨6枚。これは南の街のホテルと同じ金額だ。南よりも高いだろうと予想していたジョージ。フロントでもう一度確認したが1泊銀貨6枚だという。とりあえず1ヶ月分の料金を払って部屋を押さえた。これで川の街での拠点ができた。


 彼はこの街からはゲート探しに本腰を入れるつもりだ。そのためにはリラックスできる常宿が必要で、そのホテルの部屋を押さえることができたことで安心する。


 ホテルの部屋の中をチェックし、問題がないのを確認するとシャワーを浴びてスッキリする。ジョージは部屋で仮眠をとり、夕刻になると1階にあるレストランに降りていった。高級ホテルの間で共通していることだが。ここもホテルの中にあるレストランは宿泊客専用になっていて、宿泊客以外をしっかりとシャットアウトしている。


 レストランに入ると客の入りは5分くらいだった。その中に知った顔を見つけたジョージ。東の街で会ったチャンとマッケインがテーブルにいた。向こうもジョージに気がついて手を挙げてくる。ジョージは勧められるままに同じテーブルに座った。


「いつ来たんだ?」


「今日着いた。このホテルに部屋を押さえたところだよ」


「1人で森を抜けて来たんだろ?黒豹には遭わなかったのか、運がよかったな」


「いや、遭ったよ、倒してきた」


 そう言うと2人の表情が変わった。ジョージは移動している途中で出会って倒したことを言ったあとで、森の中で野営の鍛錬をしている時にも会ってそいつも倒したと言う。


「黒豹を2度倒してるのか。しかもソロでだ」


「また腕を上げたことになるな」


 マッケインとチャンが感心した声を出している。3人の話は周囲の迷い人達にも聞こえていた。彼らは黙ってじっとジョージのやりとりを聞いている。


「東の街で会った時から只者じゃないとは思っていたが、それでも真夜中に黒豹に会って返り討ちにする程強くなったということだな」


 チャンとマッケインは2人でチームを組んで活動をしているそうだ。この川の街に来て1年近く経つと言っている。


「俺たちは幸いに黒豹に遭わずに森を抜けることができた。運がよかったと思っていたが、黒豹に出会ってそいつを倒してくる奴がいるとは思わなかったぜ」

 

 マッケインの言葉が普通の迷い人の感覚だ。遭遇したらやられる。運が悪かったなと言うことになっているこの世界で返り討ちにしてくる奴がいるとは想像もしていない。


 今やレストランでの3人の話を周囲の仲間が食事の手を止めて聞いている。近くのテーブルに座っていた迷い人が座ったまま声をかけてきた。1人で食事をしていた迷い人だ。


「俺はジャンセン。スウェーデン出身、8年目だ」


「俺はジョージ、ジャパニース。もうすぐ3年目になる2年生だ」


 まだ2年目だという言葉でまた周囲が驚いた。ジャンセンが身体をジョージに向ける。


「2年目でソロで黒豹を倒してこの街にやって来た迷い人は初めてじゃないか?」


「それは知らない。それと黒豹に襲われたのは俺に運がなかったかもしれない。でも、俺は夜に黒豹が現れても襲われ難い場所に野営をしていた」


 そう言うとジャンセン始めチャンやマッケインもどう言うことだ?と聞いてくる。ジョージは彼らを見渡してから言った。


「あの森は通り抜けるのに1週間から10日と聞いていた。俺は早く通り抜けるよりも安全な野営場所を探しながら森を歩いたんだ。森の中でもよく探せば周囲と接していない大木がある。それを見つけると夕方になる前でもその木に登って野営をした。黒豹と遭った時、そいつは俺の木に飛び移れるかどうか考えていたのだろう。枝と葉が擦れる音が大きくなって気がついたんだよ。俺が起き上がったのを見て思い切って飛び移ってきたがこっちは準備していたから倒せた。森を抜けるのに18日かかったが正解だったと思っている」


 今やレストランにいるほとんどの迷い人がジョージの話を聞いていた。


「なるほど。見事な作戦だ」


 ジャンセンが感心して言った。チャンとマッケインも何も言わないが大きく頷いている。


「この街でもソロで動くのだろう?」


「ここからは腰を落ち着けてゲートを探すつもりなんだ。ソロで出来る限りやってみるつもりだよ」


「この街の周辺には森も山もある。時間がかかるぞ」


「それは承知している。ただ焦っても仕方がない。のんびりやるよ」


 ジャンセンとの話が終わるとジョージはテーブルに座っているマッケインを見た。


「そういえばギャツビーとは南の街で一緒だった。彼はあと1、2ヶ月でここに向かうと言っていたよ」


「ソロか?」


「いや、おそらく移動だけはもう1人のソロと2人でチームを組んで来ると思う」


 その後は2人がジョージにこの川の街について話をする。南の街から森を越えてこの街にやってくる迷い人の数が少ないこともあり、南の街よりは街の規模は小さい。ただ地元民の数は南の街とそう変わらないという話だ。


「森を抜けてこの街にやって来ている迷い人は皆実力者だ。ここでゲートを探すことを諦めた連中は悪落ちしない。ここで魔獣を倒して生活をしている者が多い。もちろん、他の街と同じ様に飲み屋をやっているのもいる」


 そう言ったチャンの後でマッケインが言った。


「このホテルのオーナーが元迷い人だってのは知ってるかい?」


「それは聞いている」


「ジュンという名前らしいが、ほとんど表に出てこないこともあって顔が売れてない。ただ噂だとジャパニーズじゃないかって話だ」


「ジャパニーズ?」

 

 ジョージがマッケインに聞き返した。ジュンという名前。確かに日本人にもある。


「オーナーがどこの誰であっても俺たちには関係のない話だけどな」


 チャンが言った。その通りだ。

 その後、彼らがこの街には薬屋が2件、武器、防具屋は1軒あるという話をする。ジョージが聞いている話だと彼の装備品はもっと南の砂漠に面した街で売っているスペックだと聞いている。それを信じるのであればこの街で売っている装備はジョージには必要がないといいうことになるが確認しておく必要があるだろう。


「あとアイテム屋ってのが1軒ある。ただ大したものは売ってない」


「大したものが無いって何が売っているんだ?」


「魔道具の灯りとか野営用のテントとかだな」


「なるほど」


 ジョージは魔法袋を貰った時にアイテム屋で手に入れたという話を聞いている。一方で滅多に売り物がないという話も聞いていた。彼らはアイテム屋に期待をしていないがジョージは違う。南の街のハロルドもそうだったし魔法袋の件もある。魔法袋がこの街であるのかどうかは知らないが、アイテム屋には掘り出し物があるというのが彼の認識だ。


 2人からレクチャーを受けて街のイメージができた。


 彼らと別れ部屋に戻るとジョージは魔法袋から木彫りの女神像を取り出した。


「明日から俺のゲート探しがスタートだ。よろしく頼むぜ、相棒」 


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