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異世界で【ゲート】を探せ  作者: 花屋敷


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第16話

 ジョージはこの街で集めた情報をメモに書き落としている。今も宿の部屋でそのメモに目を通していた。



・台地の下にある3つの街について。

 東、西の街はこの街から40日程度の距離にある。南の街は60日かそれ以上かかる。


・東の街

 草原を東方向に進む。途中に森がある。道中にいる魔獣は虎、熊、サイ、水牛などでサイ、水牛は大型魔獣で体力も多いが持っている魔石も多く買取金額が高い。(どちらも銅貨8枚)


 街の広さは3番目の街よりもずっと大きい。住んでいる住民も多いが迷い人、元迷い人の数も多く、治安は台地の下の街の中で最も悪い。


 街からさらに東に1時間程移動すると崖があり、多数の洞窟がある。洞窟の中にいる魔獣は大型モグラや洞窟コウモリ。強さは虎よりは強くサイよりは弱い。魔石はサイと同じ銅貨8枚。ただ洞窟の中が無法地帯になっているので5名以上のチームを組んで活動するのが普通。洞窟の中での殺人は日常茶飯事との噂。


・西の街

 草原を西方向に進む。途中に森がある。道中にいる魔獣は東方面と同じ。

 街の広さはも東の街と同じくらいだが迷い人の数はこちらの方が多い。治安は東の街よりはマシ。狩場はこの街のさらに西側に広がっている森と山。サイ、水牛を相手に金策が可能。


 東の街、西の街はチームで活動している迷い人の割合が高い。

 ゲートが存在している確率は低い?(すでに何十年も探索が続けられている)



・南の街

 台地を降りて真南の方向に進む。草原、大きな森を抜けてから山の中を通る。途中で出てくる魔獣は虎、クマ、サイ、水牛だが、その中でサイと水牛が生息しているエリアが広く、数も多いのでリンクしやすい。山の中に入るとさらに大型のクマやサイが現れる。平原にいるクマ、サイよりも強い。(魔石の買取金額は不明)、それに加えて途中で安全に野営する場所が少ない。


 街の広さは3つの中で最も広く。そこからさらに南方面を探索するための基点の街の位置付けになっている。


 治安は三つの街の中で最も良いがそれは簡単に辿り着かないためだと言われている。南の街にいる迷い人は3つの街の中で最も戦闘能力が高いと言われている。


 街の情報以外に迷い人についてもある程度の情報が集まった。この世界に来た迷い人が台地の下の東の街、西の街、南の街のいずれかを拠点にしてゲートを探しをしているとこの世界に飛ばされてから3年から5年が過ぎる。その時点でこれから先の広大な土地を歩き回ってゲートを探すと言う行動に疑問、あるいは無理だと諦める迷い人が出てくる。


 その理由としては東、西、南があるエリアをくまなく探索するだけで最低でも10年はかかると言われており、大陸はさらに南に広がっている。その事実を目の当たりにして生きている間に探し切るのは無理だと感じるそうだ。


 10年以上迷い人を続けるのは全体の3割から多くても4割弱。ゲートを探す事を辞める、諦めるタイミングとして多いのは5年、7年、そして10年目。10年頑張ったとしてもその時点で迷い人は30代になっている。体力が続くのはせいぜい40代半ばまでだとしたら、そこから10年ちょっとの間でこの広大な大陸の中にあるゲートを見つけられるのか。自問自答して諦める迷い人が出てくる。悪堕ちする連中は早ければ2年目、3年目から道を外れる。


 50を過ぎても現役で活動をしている迷い人もいるが。ごく少数らしい。周りに言わせるとそう言う人は辞めどきを誤ったか、意地でやっているだけだと言われていた。



 自分はどうなるのか。幸いに装備は人よりも優れているのを持っている。これだけでも魔獣の殲滅速度は上がるだろう。ただそれでも闇雲に走り回っているだけでは他の迷い人と一緒だ。宿の部屋で毎朝女神の木彫り像に祈っているが今のところ何もない。


 ジョージは東、西、南の三つの街を含むエリアにゲートがある確率は低いと考えていた。集めた情報ではこの3つのエリアには多くの迷い人がおり、日々ゲートを探してあちこちを移動している。そこから先に行くのは諦めたものの、ひょっとしてこのエリアにあるかも知れないと信じて、いや、そう自分自身を納得させて活動をしている者が過去からずっといる。それでもまだゲートは見つかっていないのがその根拠だ。


 東の街の東側にある洞窟の中にある可能性は低いだろう。ここも探索し尽くされているはずだ。まだ見つかっていない坑道があるかもしれないと言われているがそんなに都合よく見つかっていないはずがない。


 ただ、いずれにしてもこの3か所の街には行った方がいいだろう。ゲートがある可能性はかなり低いだろうが、そこで新しい情報が取れる可能性がある。情報はいくらでも欲しい。治安が悪いがこちらが強くなっていれば対処できる。


 最初の街の”スモーク”のマスターであるスモーキーが言っていた。ジョージが持っている装備が手に入るのはずっと先の砂漠の前にある街だと。ゲイリーとジャスミンも台地の下にある3つの街では自分のこの装備よりも優秀な武器、防具はないと言っていた。


 装備は良いとして、問題は自分の今の装備でチームを組んで自分を襲ってくるであろう盗賊を倒せるかということだ。1対1、1対2くらいまでなら対処できる自信はある。ただ相手がそれ以上になるとどうだろう。厳しいかもしれない。


 その不安を解消するには虎や熊の魔獣を3体同時に相手をして倒せる様になっておいた方が良い。


 ジョージは3番目の街で腰を据えて鍛錬をする。素早さが上がる装備の能力を最大限に活かせるための鍛錬は、自分は攻撃せず、虎1体の攻撃を可能な限り避ける。ぎりぎりまで惹きつけて左右いずれかに飛ぶ、時には後ろにジャンプする。何度か避けると、今度は避けながら片手剣を振る。ここでの鍛錬が台地の下の3つの街に行った時に自分の身を守ることになると考えた。剣術、体力を上げ、戦闘経験を増やす。


 慣れてくると2体の攻撃をできるだけ避けてから同じ様に攻撃をする。避けるということは魔獣が攻撃してくる回数が増えるので、当然避けきれなくて傷を受けることもある。命をかけての鍛錬だが、これがいずれ役に立つだろうと信じてポーションを飲みながらその訓練を続けた。


 その合間にも”ケープ”と”ナゴミ”には定期的に顔を出していた。


「街の中の迷い人の姿も減ったな」


 銅貨1枚のビールを飲んでいるジョージ。店には客は他に1人だけだ。この店の客も減ってきていた。自分以外の客がいない日も多くなっている。


「皆台地を降りて次の街に向かっている。ジョージはまだなのか?」


 ジョージがカウンターに置いた銅貨1枚を拾い上げて、ビールのおかわりをカウンターに置いたトムソンが聞いてきた。


「もうちょっと。まだ自分が納得する鍛錬ができていないんだよ」


「どんな鍛錬をしているんだ?」


「俺はソロだからさ。万が一のことを想定して虎や熊を相手にできるだけ短時間で倒す訓練だよ」


 装備のこと、2体を相手にしていることは言わない。


「ソロにこだわっているんだな」


「そう。色々聞いたらそれが一番いいと思ったんだ。年齢が近い連中が世界中から集められた。国籍だってバラバラだ。育ってきた文化も違うだろう。習慣や当人の性格なんて会って少し話をしたくらいじゃわからない。そんな奴らと一緒にチームを組んだとして、そいつが信用できるのか。外に出たら突然後ろから刺されるかもしれない。だったら自分が強くなって1人で動く方がずっと楽だよ」


「ジョージが言うのも一理ある。この3番目の街まではルートが1つしかない。効率的に動こうとすれば何名かでチームを組んだ方が楽だ。ただここから先は違う。どの街に行くのか、そしてゲートがありそうな場所はどこか。どこが安全か。自分の力量を考えて行動することが求められる。誰かのケツにくっついて移動している様だとまず見つからないだろう。それにお前が今言った様に、チームの仲間が信用できるかどうかも分からない」


 先に1人で来ていた迷い人が立ち上がると店を出て言った。店内にトムソンとジョージの2人だけになる。


「”ナゴミ”には顔を出しているのかい」


 トムソンには自分が”ナゴミ”に顔を出している事は言ってある。


「もちろん。あの風貌から見るに、アヤネは早々に迷い人をリタイアしたんだな」


 ジョージが言うとトムソンが頷いた。


「彼女は5年前にこの街に戻ってきた。店を出したのは2年前だ。それまでは西の街を中心に活動をしていたそうだ」


「トムソンはどこまで行ったんだい?」


「ずっと南の街、目の前に砂漠が広がっている街だ」

 

 スモーキーと同じ場所だ。


「スモーキーも砂漠の入り口の街まで行ったと言っていた」


 そう言うとトムソンが頷いた。


「あの街についた時は40歳だった。その年で目の前の広大な砂漠を見た時に俺のゲート探しは終わった。もう無理だ。そう感じたんだよ」


 それまでチームを組んで大陸を西や東に移動して山の中や森の中を動き回りながら南下していったトムソン。あちこちを探しながら南の街に着いて、そこから南側を見た時に何もない砂だけの砂漠を見て自分には無理だと感じたのだという。


「アフリカにあるサハラ砂漠を知っているかい?」


「写真で見ただけだけど」


「あれと同じだった。広大な砂漠が目の前に広がっていた。40歳になって目の前の景色を見た時、俺のミッションは終わった」


 スモーキーも砂漠を見て諦めたと言っていた。

 それまで強い意志を持ってゲートを探していた迷い人の心を折るほどものなのだろう。


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