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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第十三章 ブラック校則

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補習


 たった数日間で、今までの教科書を読んでも覚えられないので。

 週末の間はずっとビデオに録画していた”高塩(たかしお)宗二郎(そうじろう)”アナウンサーの担当している深夜番組を見て遊んでいた。

 

 次の週に入り、ついに始まってしまう学年末テスト。

 一切、勉強せずに中学校へ登校して、机の上に答案用紙が配られてしまった……。

 隣りに置いてある問題用紙を読んでも意味が分からない。


 最初の試験科目は社会だが、訳の分からない問題が書いてある。

『前回のオリンピックは”バルセロナ”だったが、今度行われる国を書きなさい』

 こんなの担当教師がオリンピック好きだから書いた問題だろ?

 分かるわけがない。


 俺の中にあるオリンピックの名前を一生懸命思い出してみる。

 バルセロナのあとだから、えっとなんだっけ?

 北京? いや、ソウルオリンピックだろ!

 適当に思い出した名前で空欄を埋めておいた。

 

  ※


 お次は音楽教室に移動して、担当の先生から試験を始める前に説明を受ける。


「えっとねぇ~ 基本的な音楽の問題。有名な作曲家や曲名のことしか問題として出してないから。最後の問題は何回も授業で言ったことだし、正解しても点数はないけど、間違えたらマイナスにするからねぇ」


 そんな問題なら簡単だろう。

 俺はこう見えて歴史などの教科は得意な方だ。

 答案用紙にスラスラと答えを書いていく。

 こりゃあ、来週の答案用紙が返ってくるのが楽しみだな。


 ~翌週~


 また音楽教室に戻ってくると、担当の教師から「水巻さん」と名前を呼ばれる。

 自信たっぷりな俺はゆっくり教壇まで歩いていると、先生から「早くこっちに来なさい!」と注意された。

 急いで教壇の前で小走りすると、先生はこちらを睨んで「はいっ!」と答案用紙を投げつけて来た。


 酷い教師だなと思いながら、床に落ちた答案用紙を拾うとその数値に俺は驚きのあまり固まってしまう。


『-5点』


 見たことのない試験の結果を見て、自分自身ドン引きしてしまった。

 この世に0点より、下なんてあったけ?


 その後も各教科の先生から答案用紙を返されたが、ほとんどが30点以下。

 どれも赤点ばかりだ……。

 ふと隣りに座る鬼塚の顔を見ると、唇をかみしめて「クソッ!」と苛立っていた。

 こいつも赤点なのかなと思った俺は、彼の答案用紙を横からのぞいてみる。


「96点!?」


 そんな点数で悔しがるなよ……音楽でマイナス5点を取った俺はどうしたらいいんだ?

 でも、これで学年末テストは全部終了したんだよな。なら、明日からいつもの学校生活に戻れるんだ。

 やっと面倒くさい勉強から逃げられるかと思ったら……。

 帰りのホームルームで、担任のねーちゃん先生が何人かの生徒の名前を呼んで、机から立つように注意される。

 その中には、藍ちゃんの名前も入っていた。


「えっとね。今名前を呼ばれた生徒は数学のテストで全員赤点を取った人です。数学の先生がすごく心配してたよ!?」


 あのハゲ教師、また放課後に俺を職員室へ呼びつけるつもりか?

 でも、今立っている生徒は男女合わせて10人近くはいる。どうやってこれだけの人数を指導するんだ。


「これでは、二年生に進級できないと思った数学の先生はあなたたちに放課後、特別に補習をしてくれるそうです。感謝するように!」


 く、クソがーっ!

 なんで、あの人あんなに生徒への指導を頑張るの?

 絶対、残業だからもうそこまで教員を頑張らなくていいよ……。


 ~約一時間後~


 「赤点を取った」とねーちゃん先生がクラスメイトにばらしたため、俺たちアホ軍団は帰ることも部活に行くことも許されない。

 それだけ数学の先生の方に権力があり、強面の部活顧問教師もハゲ教師には頭が上がらないのだろう。

 部活に行けない生徒を見て、同じ部活の生徒がからかっていた。


「お前さ、野球だけは強いんだから、早く補習なんか終わらせて戻って来いよ!」

「うるせぇ! クソ……」


 それを言ったら、帰宅部の俺も早く帰らせてくれないかな。

 優子ちゃんは鬼塚と同じく高得点ばかりだったので、補習を受ける必要はなく。

 むしろ、俺と同じ時間を共有したいからとねーちゃん先生に「お願いだから私も補習を受けさせてください!」と泣いていた。


 ねーちゃん先生に言われて、理科室に向かうと中にはたくさんのアホ生徒が群がっていた。

 俺が通っている真島中学校は一学年が8クラスある。

 つまり、クラスの中で赤点を取った生徒が10人いるとすると、その8倍に膨れ上がるということだ。


 各々が自由に実験台へ座ると、道具箱を持ったジャージ姿の若い男性教師が理科室に入ってきた。

 抜き打ち検査で俺のブラジャーを奪った”短足先生”だ。

 それともう一人、長身で細身の男性教師……じゃなかった生物化学的には、女性の”コル●ス”先生が立っていた。

 転生して初めて俺を引っ叩いた鼓膜破りのコル●ス先生。思い出しただけでも恐怖から身体が震え始める。


「あ~ こちらの先生と俺で、君たちの数学の補習をすることになった。これから二年生に進級するまで一ヶ月一緒に放課後この場所で共に学ぼう」


 一ヶ月もすんの!? いいって! 大体数学担当のハゲ教師はどこ行ったんだ?


「それとな、数学担当の先生だが……この前プライベートでご結婚されてな。今は新婚旅行中だ。だから私たちが代理で行わさせてもらうことになった」

「はぁ!? け、結婚!?」


 驚きのあまり、その場で立ち上がり、叫び声を上げる。

 あんなにハゲてるのに、今さら結婚だと……見たところ40代後半に見えたが。

 それなら、俺も前世で結婚できたのかな?

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