寒い寝床
後半ランドルフ視点です。
………さむい。
目を覚ましたのは夜中でしょうか?
もう明かりがありません。
……………………起きてしまったら、寒いのが気になり寝直せません。
生活魔法に火があったはずです。使えば温まれらるでしょうか?
…………ふぁいあ。
「……………!!!!」
バサッ!
たぶんサイスさんでしょう、飛び起きる音が聞こえます。
あっ、ファイアがキャンセルされました。
そういう効果もあるんですね。
この檻。捕まってしまえば、中の魔法の打ち消し、攻撃可能な魔法の使用キャンセル?でしょうか。生活魔法なのに使えないんですね。
入れておけば安全なわけです。
ガシャン!
また檻を蹴られます。
それらを感知するアラーム機能まで有りましたか。
「………があぁぁぁ。」
私は被った毛布を両手で摩りながら寒さを訴えます。
「それ以上してやる気はねぇ、黙って寝ろ。」
「…………。」
…サイスに何を言っても無駄ですね。………近くにランドルフさんもいないようですし、もう朝までこのままでいるしかなさそうです。
寒いよー。ぐすん。
「…………。」
布団に入り込んでしまわれたようです。
……徹底してます。ええ、私とちょっと似てますね。意地の張り合いです。
【解析が完了しました。…小屋自体に攻撃魔法をキャンセルさせる陣。檻に打ち消しの効果付与式が見られます。どちらも魔力に反応する仕様ですので箱に魔力を全て入れ遮断し、魔力の無い者として檻を出る方法を推奨します。】
あっ、魔力仕舞えば出れるんですね。ありがとうございます。良いことを聞きました。
さっそくー。魔力の箱をパカッと開けてシュシュっと入れてキュキュッと閉める。
そして、そろそろーーっと檻に触れます。…………………バチンッとなりません。成功のようです!
カギは……無さそうですね。触れられないですもんね。意味無いですよね。
私の時は必要だったようですが!残念でした!!キラリ!
檻を出て2人が食事をしていたテーブルの横を通過するとすぐに仮眠出来るようのベットがあるようです。
「………………すぅ。」
そこに寝息をたてるサイスさんがいました。
うーむ?結構すぐに試したと思うのですが、ぐっすり寝ているようです。
そうして、ベッドも過ぎれば部屋のドアに当たります。昨日ランドルフさんがここから出入りしていたので廊下に出ると思われます。
【出入りに魔力認証が掛かっているようです。サイス、ランドルフしか登録されていません。】
あちゃー、外に出られたらディアさんを喚ぶつもりだったんですけど。
宛が外れました。
まぁいいです。
檻からも出ましたし。ううーーん。寒いんですよねーそれだけはどうしようもないなぁー。
あっ、今の私3歳ですもん小さいですよね!サイスの足元ならお邪魔出来そうです。
檻に戻り毛布を引っ張り出すとそれをサイスの足元まで持ってきます。
体を繰るんで丸まって。じっとしてみますが………………寒いです。
魔法の世界なんですから、ストーブみたいに部屋を温める魔法とか、電気毛布みたいに毛布を温める魔法とかないんですかね?
【生活魔法:ヒートを作成します。
主に布団へ使用する事で電気毛布のように接した面を暖めることが可能です。
温度の調節は魔力量で制御可能です。
補助の生活魔法に部類されます。
魔力を取り出したのち使用可能です。
自分自身にもかける事が可能ですが自身から熱を発するだけですので、暖まることはできません。
低温やけどの心配がありますので、長時間高温での使用には注意してください。】
さすがです!ナビさん!
魔力を取り出し……隠蔽用の魔力設定がいいですね。
毛布に向けて………ヒート!
ゆっくり温めるイメージでー。寒くならない程度がいいよなー。やけどが怖いですもんね。
計るものないから適当なんで絶対安心ってのがないのは不安に思いますが!
あぁ、暖かくなってきたら。
一気に………眠気がー…………
おやすみなさいーーーー………。。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
コンコン。
「……………おはようございます。サイス、起きてますか?」
………シーン
「失礼しますよ?」
ガチャ…
「………………………。」
ドアを開けて入ればそこには、リルを毛布ごと抱き抱えて寝るサイスの姿がありました。
なんだ、かんだと、寒いから檻から出してあげて自分に寄せてあげたのだろうか?
「……そんな優しさがあると思えないし、変ですね?」
「……………酷い言いようだな。」
「おや、起きていましたか。」
「…あぁ。」
体を起こして胡座をかいた上にリルを置き直します。
頭を軽く掻きながらつぶやきます。
「…コイツ魔力制御ヤバすぎだ。全く魔力漏らさずに自分で檻開けて出てきやがった。しかも、今度は毛布になんかの魔法かけながら調整しつつ寝てやがる。」
魔力制御を限界ギリギリまで押込み魔法を押さえつければ、劣等感や、精神が安定しなくなり自分を保ててなくなると言われている。
そんな状態で檻の扉を1人で開けた。
しかも、魔法を使ったまま寝るというのは普通ではあり得ません。
寝る前ギリギリまで魔法を使っていることは出来ますが、基本は寝てる最中に魔力の回復をするので使わないでいるのが当たり前です。
「…しかも、この魔法。使用量が1時間に5程度か?回復量の方が上回ってるから、負担ではないのだろう。」
「!」
「寒くてファイア使おうとしたコイツをほかっといただけで、その魔法作ったんだぜ?」
魔法を作り出せる技術ですか。そちらもまた素晴らしいですね。
しかも燃費がいい。覚えると寒い夜も余裕が持てそうです。
この小屋では敵意があるとは関係なく、攻撃できる魔法は使えませんからね。生活魔法とはいえファイアは対象です。
さぞ、寒かったのでしょう……。
可哀想に。……ん?ほかっといた?
「…………寒くてファイア使おうとした、この幼い子を放置したんですか?……サイス!」
「うお、やべっ!」
お説教を始めるとだいたいサイスは逃げ出します。………が今回はリルを放って来ました!
人を投げるなど何を考えているのですか!!
慌てて放られたリルを捕まえ、胸に抱き支える事ができました。
毛布で顔が隠れてしまっているので顔を探してあげます。
良かった、逆さまにはなっておらずきちんと上にお顔を見ることができました。
さすがに放られたことで起きてしまったようです。……泣きそうな顔を浮かべています。
「大丈夫ですリル。…僕の下にいる限り、悪い事にはなりません。」
目を合わせ頭を撫でてあげると、リルはゆっくり頷きます。
可愛いですね…。幼女好きではないはずなのですが、……父性愛とでも言うのでしょうか。
強く守らなくてはと、守ってあげたいと思うのです。
「リル、…………僕の養子になりませんか?…ええ、いい案です!そうしませんか?!」
今の僕の顔はとても晴れやかなことでしょう。ええ、とてもいい案ですよ!
僕の母との関連がわからない以上血縁関係に戻すことはできだろうけれど、せめてそばで守ることは出来ます。
ええ、養子、自分の子であるなら離される事はありません!
「……………。」
リルは硬直し動きませんでした。
「フェンリル達は育ての親。……なら、僕がリルの人間としての親でもいいはずです。リル次第ですが、是非検討していただきたい。」
リルの体を少し強めに抱きしめます。頬を頭にすり寄せると、少し驚いたようにびくついてしまったようですが。
僕は本気です。
ええ、リルをどうやって説得するか!…………ですね。




