食事
…………声が聞こえます。
周りが静かになりハッキリと聞こえたきました。
これは……ディアさんの声です。
「《我はモエの従魔、いつでも呼び出せる。忘れるな、我が主。我は常に側におる。》」
…………従魔。そっかディアさんはずっと一緒だったんだ。側にいたんだ。
私……1人じゃなかった。
怖かったけど、ディアさんが居てくれるなら…もう怖くないよ。頑張る。
…目を覚ましたのは夜みたいです。
お部屋の魔道具でしょうか?
ランタンみたいな形の物が電気の代わりのようです。中央に光の玉が浮かんでおりお部屋が明るいです。
おかげで周りが見渡せます。
……自分の檻の中にまだ湯気がたつスープと、片手で食べられるサイズに切られたパンが1切れ、それらの置いてあるプレート上に木のスプーンを載せてありました。
檻の中に置いてくれたということは私用のご飯でしょうか?…お腹はすごく空いてるけど。
ちらっ………。
あっ、サイスと目が合った。
「目ぇ。覚めたかよ、ちび助。」
さっきより怖く感じてすぐに目を反らします。
「脅さないでくださいサイス、話が出来ません。」
…ちっ。っと舌打ちをしたのが聞こえた。なぜでしょう?そちらを見ることが出来ません。
ですが、足音で1人が近寄って来たのはわかります。
食事が、出ていると言うことは黄緑さんとサイスは食事中だったのでしょうか。
「名前がないのは不便べすね。ふむ、フェンリルの所にいたと言う話でしたね。リルとでも呼びましょうか。あっ、僕はランドルフといいます。サイスの世話役なのですよ。」
「………………。」
黄緑さん…。もといランドルフさんは怖くない。今の所。サイスの無言での抗議にも動じません。
「それではリル?食事………食べ方はわかりますか?ふーふーですよ?」
世話役………世話好きさんかもしれない。
この歳でフェンリルの所にいた子ですから、道具の使い方知らない方がいいんですかね?
小説に出てくる転生者よくばれないなぁー。ってほぼ親居ましたね!うらやましい!
わからないフリするのも恥ずかしいのですが、仕方がない……ですかね。
こてん
傾げて知らんフリです。どやっ!
「器を自分に寄せて、このスプーンを使って掬ってください。そうしたら熱いので軽くふーふーとしてから口に運ぶんですよ?」
うわー、すごいです。私の前に座り丁寧に教えてくれましたー!しかも実演付きです!
………ですが、失敗してから頑張ってる風に見せた方が怪しくないでしょうか?
なんだか、めんどくさいですね。
異世界人とばれないためです!頑張れ私!
グーでスプーンを持ち、斜めなのであまり掬えませーん。を、実行します。
そのまま、ふーふー真似してほとんど無くなった所で口に運びます。
そういえば、異世界初の料理ですね!
あっ、焼いただけは料理じゃないです。つまり、森で焼いて食べてた1つ目モンスター焼きは料理ではありません!
「………………?」
いまいち、掬えなかったので味も微妙です。私が首を傾げてるとランドルフさんが苦笑しておられます。
スプーンのグー握りをなんとかしたいようです。手を出そうか迷い手をしてますねー。
私はランドルフさんの持ち方から学んだように見せるため、スプーンを持つランドルフさんの手を凝視します。
気付いたランドルフさんがスプーンを持つ手を私に見えやすくしてくれました。反対の手でスプーンを直します。今度は上の方持ちすぎになりました。
食べれないことはないでしょう。
もう一度掬うをチャレンジです。
今度はきちんと掬えふーふーします。そうして口までゆっくり持っていきます。
溢れないように、慎重アピールです。ぷるぷるー。
ぱくり
ランドルフさんにどや顔します!
「はい。…よくできました。」
ランドルフさんが微笑んでます。
なんだか、やりきった感ありますね!
スープはお芋のポタージュのようなまろよやかなものでした。他の野菜もごろごろしてます。お肉少なめです。たぶん。
……薄味な気もしますがおいしいです!!
だんだんスプーンの付け根持ちになる…は、やらなくていいですかね?
やりそーなパターンではありますが。
まぁ、次のパンを聞いてみましょう。
パンを指差します。ええ、森でパンなんてないですからね?
知らないですよー。こてんと傾け、アピール、アピール!
「パンですね。硬ければスープにつけて食べてもいいですよ?」
……はい、知ってますが。ありがとうございます。そうさせていただきます。
………手に持って割ろうとしてみます。
……………………………バキッ。
うん。ちょーかったい。
つけても食べれんのかな?これ。
つけパンならぬ、浸しパン推奨です。
ですが、私は野生児のはずです。
私が捌いた乾燥肉とか(ディアさんが拾った人間さんの手荷物から拝借したナイフで頑張りました。)で、普通にガリガリいけたので、いけるかもしれません。
ガリガリ、もぐもぐ、ガリガリ。
ふむ、いけますね。パンは乾燥肉よりは硬くありません。バザバサで口の水分無くなりますが、普通にフランスパンみたいなパンです。
3歳の子にはきつそうですね。はい。
あっやば。普通にしてても、スプーンをグー持ちするところでした。左手でまた持ち直します。
「右手のこの指で掬うようにすると、1回で持てますよ?」
またまた実演にて、人差し指で掬い親指で添えてくれます。
ええ、知ってたんですが。何故かやってしまったんです。
素でやったのが恥ずかしい。………はい、切り換えます。
置き直してやって見せた方がいいようです。
掬い!…………………どやっ!
「はい。よくできました。」
ランドルフさんのニコニコ笑顔がだんだん柔らかくなってる気がします。
ほんわかします。
私も笑い返してみましょう。
へらっ。………………………と、してしまったのは、仕方ないですかね。
「「………………………………」」
?!…………えっ?私何かしたでしょうか?
ふ、2人して私を見つめるのは何故ですか?!
……………怖くなりまた身を縮めます。
しょんぼりです。
ちょっと、打ち解けたと私が勘違いしただけなのです。
「……………あぁ、すみません。あまりに笑顔が素敵だったので驚いただけなのですよ。サイスのせいでずっと脅えているようでしたので…………」
「ああ?!俺のせいかよ!」
あーあーっ。け、ケンカはだめですー。…と私は手を伸ばします。
バチンッ!
…………………私、檻でしたね。檻に触れてしまい弾かれました。
…手を引っ込めて……とりあえずパンをまた食べ始めます。片付けられると、ご飯なしの寂しい思いしますからね。
「……………もしゃもしゃ。」
「…………………。」
ランドルフさんが、サイスを見やります。
冷え始めてしまったスープをなんとか温かい内に食べたいものです。急いで口に運びます。
………あっつ!冷えたの表面だけでした!
はふっはふっ!ふーっふーっ。
「……リル。すぐに下げたりはしません。急がなくて大丈夫ですよ?ゆっくり…食べましょう?ね?」
……………ふーっ。………ふーっ。ぱくり………。
ちょっと、嬉しかっただけに下げ幅が格段です。
「…さっさと俺に結界張れば済む話なのにややこしくしてんのはてめぇだからな、クソちび助。」
「………。」
絶対イヤです。
べーっ!っと舌を出してやります。
「……っ!いい度胸じゃねぇか!!」
ぶわっ!
………………ぐっ!……うぅ?!…また、…圧力です。
入れた食事が戻ってきそうになるのを必死で耐えます。
「…何を考えてるんですか!この馬鹿者!!」
スパーンッ!!!
ランドルフさんが、サイスの後頭部を棒のような物で振り抜きました。
「サイス。今日のお話はもう無しです。ゆっくり休んでもらってから、明日話を聞く。……いいですね!」
言われたサイスは頭を摩りながら座りを正し直し、食事を始めました。
ランドルフさんも席に戻ります。
「……………」
「……サイス。檻のことなんですが。」
「…………………………。」
「…………サイス、返事をしてください。檻の効果を緩めていただきたいのです。毛布くらい入れて上げてください。」
「…いらねぇーよ。フェンリル様の子だからな。外気何かじゃ病気だってならねぇーよ。」
「サイス、フェンリルと一緒にいたとすれば寒さを凌ぐために一緒に寝ていたはずです。尚更必要でしょう。…………あなたは何も思わないのですか?」
「思わねぇよ。化け物だからな。」
食べながら口だけの討論を続けます。
そして、私はこの話でサイスはあの時気絶させてしまった事を怒っていたのだと、化け物の利用法を考えたのだと気付きました。
仲間に……いえ、利用できるのであれば機嫌を取っておこうと軽い調子で進め、利用出来ないならと高圧的に従わさせる事にしたのでしょう。
そしてもう、ご機嫌取りに戻ることはないだろう。何となく、そんな気がしました。
解決策が見当たりませんので、やっぱりディアさんに頼ろうか、とも思うのですが、それでは負けたようでイヤです。
いやいや、ビビって気を失ってたりとかもしたやつがぁー。っとか自分でも不思議なんですけどね?
………なんとなく、ランドルフさんと話したら何とかなる…………気がするんです。だから、明日です。
明日に賭けます。
食べ終わった後結局毛布は頂けて丸まって寝ました。ランドルフさん感謝です。




