捜さないと!
ルカ視点
「ガウ!!《モエ!!》」
……………手を伸ばしたモエの姿は瞬く間に消えて行った。
なんだあれは?転移魔法?クソッ!チート魔法使えるやつ普通に居んのかよ!!
俺は悪態ついたが、地球の奴にとっちゃチートかも知れないがここでもそうだ、とは言われていない。
普通に魔力が高いやつで適性があれば使えたのだろう。
…モエは俺と同じく同郷の奴だ。それは知っていた、神様から聞いていたためだ。
俺は神様にどうせなら勇者パーティに入りたいと願った。
勇者でなく、賢者でなく聖者でも無いもので。
………悩んだ後に聖獣としてなら行けるかな?と、言ってくれた。
人間が獣になる時点で不安はあったが、サポートを入れてくれると言ってくれた優しい神様だ。
モエは俺みたいに獣ではなかった。
すぐに魔法のコントロールや体造りが出来た俺と違って、歩く事にも走るにしても時間がかかった。
魔法で何とか結界を張れるようになってからは狩りも安定した。
同郷でもあまりファンタジー世界を知らない部類なのか、魔法制御しないで結界を使っていたのには驚いた。
制御無しだからか、どんどん魔力は溢れていき軽く恐怖を覚えた。
ぐんぐん上がるその魔力は2歳の時には俺を平気で越えた。
3歳になってやっと制御を習ったら別人のように近寄り安くなった。
俺は1歳になる前に制御してユイに合わせたので何もなかったが。
まさか、放出の加減でエサ対象だと言われたのには焦った。
そんな家族でもあったモエが連れ去られた。人間に!
俺は人間不審な訳じゃない、ディアに言われて従いほかっといたんだ。
確かに結界に頼り始めていた、でもそれを人間の手前で使うべきではなかったのだろう。
ずっと話しかける奴はホントにうざかった。父さんに言われなきゃ見張りだって絶対やらなかった。
……俺らが目を離した。最後尾になっても必ず今までは付いてきていた。
だから、付いてきてるものだと思っていた。
数メートル走った時に逆方向に動く気配を感じた。不審に思い戻ればこの有り様だ。
「ガウ?!《何してるの?!早く父さんに知らせなきゃ!》」
ユイの言葉に意識が浮上した。
そうだ、回想なんてしてる場合じゃない!
「わおおーーーおぉーーーーん!!!」
父さん!モエが人間と共に消えちまった!!指示をくれぇー!!!
…………………?いつもならすぐに来る指示が飛んで来ない。
こっちに向かって来ている。
現状確認に来てくれるようだ。
奴への結界はそのまま張られている。
………そういえばモエ、あんまり結界を自分から消さないな。維持する方が大変そうだが。
……俺への結界もそのままだ。
家族のも。結界が消えた時モエがどうなったか分からなくなる。
結界が有る限り生きてると断言出来るが、時間の経過で壊れる物でもあった。
5日に一回は張り替えていたのだ。
昨日張ったから4日間は確認出来るがそれ以降は…………。
「ガウ!《どうなっているルカ!》」
「ワウゥ!!《わかんねぇーよ!転移だの帰還だのと言ってた!移動の魔法かなんかだろ!》」
「《……………腕章の物が来ぬことには我々に出来ることはないな。》」
「《捜すこともしねぇのかよ!》」
「《魔法なら痕跡が残るはずだったが、見事に消し去っている。相当な使い手だ。我はモエの従魔、召喚に応じる事も出来るだろうがモエはその事を知らんだろう…無事かは分からぬが生きておるかは分かる。…モエには頑張ってもらうしかなかろう。》」
…………そっか、そうだったな従魔なんだ父さん。
俺にはモエが、モエには父さんが付いてたんだな。
〈あぁ、相当離れた。…4つ街を越えた山にいる。〉
「《精霊さん!わかるのか?!》」
〈木々が教えてくれた。捕まっているのはわかる。〉
「《森を出るなよルカ。》」
動こうとしたら父さんに止められた。
「《近付いてまた飛ばれてを繰り返す気か?》」
「《………………。》」
…しゅん。だよな逃げられて追いかけて繰り返すんじゃどうしよーもないよな。
「《ユイもハルも。明日森の入り口まで奴らを出迎えるぞ。我々は会話出来ぬが精霊なら交わすことも出来よう。》」
〈そうしかあるまいな。引き受けよう。その人間の事を聞かねばなるまい。〉
「《取り敢えず今日は食事だ。明日に備えて食え、出来ることはそれだけだ!》」
「《おう…!》」
待ってろよモエ。きっと助けにいってやる!
そうと決まれば家に急ぎ帰り、朝の獲物を頬張る。
……3年もこうしてると人間だったことたまに忘れそうになるな。
「《ねえ、ルカ。》」
「《あん?どーしたよハル。》」
「《…モエって人間でしょ?人間が見てくれるなら任した方がモエのためなんじゃない?》」
「《…………ホントにそう思ってるのか?》」
…モエじゃない人間ならそう思ってたかも知れないがな。
「《ただの人間ならそうかもしれない。でも、モエは家族だろ?……俺らに手を伸ばしてたモエがそれを望んでるようには見えなかった。……だから助けに行ってやりたいんだ。お前は違うのか?》」
「《違わない。助けたいけど…いつか離れるしかないっしょ?早い方が辛くないのかなぁーって。》」
「《はあ?!》」
「《わたしたちと寿命が全然違うじゃない?わたしたちは千年くらいって言われてるけど、人間じゃあ百年もないでしょ?》」
あっ、まじか。俺そんなに生きんのか。
「《一生一緒に居てあげることも出来るってことでしょ?モエのために居てあげてもいいんじゃない?…私たちは寂しくなるかもしれないけど。》」
………そうユイが返すとハルは満足したようだった。
そっか、今だけなんだよな。俺だって10の頃に勇者パーティに行けるって言われてた。
その10年しかないんだ。
必ず助けてやる。待ってろよモエ!




