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生まれも育ちもこの世界ですが、異世界人認定されて結婚しました。  作者: きゆつき


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8/12

思わず発露、そしてスッキリ。

「お、ラツハ」


「オーゴも居たかぁ」


「そりゃあ居るに決まってんだろ。漁師なんだから」


 男はオーゴという名前で、若い漁師らしい。


 ラツハとは、気心の知れた仲なんだろうなというのは、会話からわかる。


「しかしお前、まだそんな冒険者みたいな格好してんのか」


「別に私がどんな格好してようが、オーゴには関係ないでしょ」


「つべこべ言ってねえで、もっと女らしい格好しろよ」


 うーん?


「したらしたで、似合わないってバカにしてくるくせに、めんどくせえ男」


 ううーん?


「似合ってねえのも事実じゃねえか」


 ううううーん? 今の格好も、昨日のドレス姿も似合ってたけどなあ。


 オーゴは目が悪いんだろうか?


「はいはい」


「そんなんだから一生結婚できねえんだろ? ……まあ、どうせお前の結婚相手なんて見つかるわけねえんだからオレが――」


「あの!」


 さすがに言い過ぎだろう。


「あ? なんだお前」


「はじめまして。ラツハの夫のキーリと申します」


「は? ラツハの夫? 何を言ってやがる?」


「昨日結婚しました」


「残念だったねオーゴ。こんな私でも結婚相手いました」


 ラツハがどやあとふんぞり返る。


「は? まじ? ……え?」


「オーゴさんの目からどう見えているのかわかりませんが、ラツハのこの格好、とても似合っていますし、カッコいいですし、スタイルの良さを引き立ててくれてます!」


「……お、おう」「……褒めすぎも恥ずかしいかも」


「昨日はドレス姿も披露してくれましたが、とても素敵で似合っていて、可愛らしく、美しかったです!」


「「………………」」


「なので、これ以上妻のラツハを悪く言うのは止めてください!」


「って結婚ってなんだよ? 聞いてねえんだけど」


「え? 教えたよね? 女神様の託宣で結婚することになったって」


「あれ、冗談じゃなかったのかよ……」


「そんな冗談言う理由(わけ)無いし。

 ってか、昨日の誓いの儀、知らないの?」


「昨日の朝からずっと漁に出てたんだよ」


「そっか。とにかく、二人で結婚の挨拶回りをしてたんだよね」


「まじかよ……」


 カッとなってしまったが、二人の会話を聞いているうちに冷静になってきた。


 落ち着いてみると、この状況、気まずい、です。


 どうする? どうしよう……。ええい。ここは――


「ラツハ、行こう」


「え? あ、はい」


 ラツハの手を取って強引に来た道を引き返すことにした。


 いたたまれなくなったので逃げることにしたと言い換えてもいい。


「おっちゃん、とオーゴ、またねー」


 おそらくラツハは漁師達に向かって手を振っていると思われるが、そんな姿を見ることなく手を引いて歩き出した。



 ―――――――――――――――――――― 


 私のこの格好も、昨日のドレス姿も褒めてくれるなんて、やっぱり異世界人なんだなあ。


 手を引いてずんずん歩いていくキーリの背中に、そんなことを思う。


 一年間とはいえ、夫婦として過ごすわけだし、気を遣ってくれたんだろうけど、正直私のスタイルを褒めてもらえるのは嬉しい。


 そんな人今までに居なかったしね。 


 それに何より、オーゴの信じられないといったような表情は最高だった。


 女神様結婚させてくれてありがとう!!


 スカッとした!


 一年後に離縁したら、オーゴがまた調子づいて嫌味の一つや二つや三つや四つ言ってきそうではあるけど、女神様の加護が強化された後なら、この村を離れて冒険者として生きていくのもありだろう。


 あいつの喜ぶ顔なんか見てもなんの意味もないしな。


 村の跡継ぎは弟――ワーンクに全て任せればいいし、何の問題もない。


 ところでそんな、痛快な展開を演出してくれた旦那様の様子がおかしい気がする。


 しばらく、手を引かれたまま家の方に歩き続けていたが、家が近づいてきた頃合いでキーリが立ち止まった。


「どしたの?」


 キーリは振り返り、私に向かって深く頭を下げる。


「ごめん」


「え? なにが?」


 突然の謝罪。


 理由はともかく、私のような女に頭を下げて謝るなんて、どこまでも異世界人だなあ。


 自認は異世界人では無いようだけど、どうしたって異世界人仕草が出てしまっている。


「たぶん長年の付き合いであんなふうに軽口を叩ける関係になっているのに、余計な口出しをしてしまいました」


「いや、全然大丈夫だよ」


「せっかく築き上げてきたものを壊してしまったかもしれないし」


「いやいやいや、ホントそんなもん無いから」


「いや、でも……」


「昔から、私のことが嫌いなくせにわざわざ寄ってきて、いたずらして来るわ、嫌がらせしてくるわ、悪態ついてくるわ、意地悪してくるわでウザいし気持ち悪かったから、キーリがガツンと言ってくれてスッキリしたよ」


「えっ? そんな人っているんだ……」


 これまでのオーゴの行動を伝えると、キーリが何とも言えない微妙な表情を浮かべていた。

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