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生まれも育ちもこの世界ですが、異世界人認定されて結婚しました。  作者: きゆつき


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7/12

挨拶回りに出かけよう

「女神様? には異世界人って認定されてるみたいだけど、俺はこの世界で生まれて育ってるんだよね」


「へ?」


 ラツハが何を言っているんだコイツ? という表情を見せる。


「両親が異世界のニホンって国で生まれて、こっちに転移してきた異世界人なだけで、俺は厳密には異世界人じゃないんだよなあ」


「あー、だから昨日女神様に確認してたんだ?」


「そう。まあ、この話を聞いた時にも確認はしたんだけど、本当に問題ないのか気になって」


「キーリは異世界人とは何か違うの?」


「俺は転移してきてないから、『祝福(ギフト)』を持ってないんだよね。さらに、両親の生まれた世界には魔法や魔力は存在しないらしくて、俺は魔力も持ってない」


 この世界にはありふれた、魔法や魔力を持たず、異世界人の特権である『祝福(ギフト)』も持たない人間。それが俺である。


「だから、俺の『祝福(ギフト)』に何か期待しているようなら申し訳ないけど、何も持ってないとしか言えなくて」


「なるほどね。

 私は女神様の託宣に従っただけで、キーリに特別な何かをしてもらおうとか思ってないかな」


 何も期待されていないのも、それはそれで悲しくはあるか? 仕方ないことだけれども。


「一応、保護者代わりのカテ爺――ここまで運んでくれた黒い竜――が、何も無い俺を不憫に思って『黒竜の加護』ってやつをくれたから、それで何か役に立てればいいんだけどなあ」


「保護者代わり?」


「あ、うん。父さんも母さんも、今この世界に居なくて」


「ご両親はどこへ?」


「別の異世界に召喚されて」


「そんなことがあるんだ……。

 それで黒竜さんが保護者に」


「うん。だから本来であれば、異世界人って選ばれるのは父さんだったんじゃないかな?」 


「そっか。でも、こんなに美味しい料理を作ってくれたし、私はキーリで良かったと思うよ」


「おー。ありがとう。なんか照れるね」


 母さんに「――胃袋を掴めばなんとかなる!」と言われながら、料理を教えてもらったのが良かったか。


「さて」


 朝食の後片付けをさささっと終えて。


「ラツハにお願いがあるんだけど」


「うん」


「この村の案内を頼んでいい?」


「これから?」


「村の人たちに挨拶はしておいたほうが良いだろうし、他に何も無ければ今から行きたいかな」


 結婚生活初日の今日、何をすればいいのかと考えた結果、まずはこの漁村を見て回って、顔を合わせた人と挨拶するべきだろうという結論に至った。


 この村における俺の役割など何も無いし、仕事のようなものも何も無い。


 これまでもお金を稼ぐなんてこともしてこなかったし。


 明日以降、何らかの仕事をして、自分とラツハ、二人が食べて生きていけるようにはしたいところだ。


 女神の託宣によって結ばれた関係なので、衣食住は村の方でなんとかしてくれるという話ではあるのだが、頼りきりの生活は俺がしたくない。


 とはいえ何かをするにも何をしていいのかさっぱりわからないし、村を見て回って、村の人たちと話してみて、やれることを見つけられたらいいなと思っている。


「それはそうね。挨拶回りに行きましょうか」


「案内、よろしくお願いします」


 


「ラツハちゃん! 良かったわねえ。あら? そちらが旦那様? ラツハちゃんをよろしくねえ」 


「どうも、キーリと申します」


「あらあらご丁寧にどうもー」


「じゃあおばちゃんまたねー」


「あら、じゃあコレ持っていきなさいよ。結婚祝い――にしちゃあみすぼらしいけど。あっはっは」


「ありがとうございます。いただきます」


「お幸せにねー」


 海風を浴びながら村の中を歩く。


 多少の雲は見えるが、文句のない晴天だ。


 愛用のバッグを肩にかけて歩く俺の隣には、露出の少ないこれぞ冒険者という格好をしたラツハ。


 服の上からでも引き締まった体、すらりと伸びた脚など、ラツハのスタイルの良さがわかり、かっこいい。


 そんなラツハの人当たりの良さか、寂れた漁村という小さい世界だからか、次々に声をかけられ、持っていた野菜や果実や魚介類などを渡される。


「今の人は、この村一番のお裁縫名人なんだ」


 ラツハからは、そんな風にひとりひとりの人となりを教えてくれる。


 おばちゃんにもらった野菜をラツハから受け取り、バッグに入れながら歩く。


「さっきからそのバッグに頂き物を入れてるけど、さすがに入りすぎじゃない?」


 ラツハが不思議そうに見ている。


「カテ爺からもらったバッグで、肌身離さず持ち歩けって言われてて」


「マジックアイテムってやつ?」


「そうそう。生きてるものでなければ、いくらでも入れられるし取り出せるって言ってた」


「見た目からはわからないけど、中にはたくさん入ってるんだ?」


「うん。そうだね」


 今日の朝食の食材とか、調味料とかね。


 そんな話をしながら歩いていると、海、そして港にたどり着く。


 漁から戻ってきたと思われる漁師たちが、漁具の手入れをしている様子が見える。


「おっちゃん、今日は大漁だった?」


「ラツハか。()()()大漁だったぜ」


「さすがだねえ」


 ラツハと漁師のおじさんが豪快に笑い合う。


「お、ラツハ」


 そこに、俺やラツハと年齢の近そうな、ガッシリとした体つきの男がやってきた。

カプチュー「『黒竜の加護』って何よ?」

カテガトージ「『黒竜の加護』は『黒竜の加護』だろ」

カプチュー「説明になってないんだけど」

カテガトージ「強いて言えば、頑張れば頑張るほど強くなる『加護』だな」

カプチュー「なんかガキっぽいね」

カテガトージ「誰がガキだってぇ!?」

カプチュー「あんたよあんた。私で()()()()()()、カ・テ・くん」

カテガトージ「……」

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