赤い髪の冒険者
自分が書きたくて始めた今作ですが、モチベが上がらず中々続きを書けずにいました。
かと言って、中途半端な前話で完結というのも良くないと思い、強引に中間のエピソード全て飛ばして終わらせることにします。
誠に勝手ながら、あと3話でのセルフ打ち切りエンドとなります。
巨大魚を捌き、切り身を分け、フライやあら汁を皆に配って味わってもらった。
ラツハに抱き着かれた腕の感触がずっと残っていて気になってしまってはいたが、振り払うように料理に打ち込んだ。
あら汁にしても、フライにしても、村の人たちに好評だったようでなによりだ。
対決も無事、俺の勝利で終わり、ラツハのことも守れた――と思う。
「キーリ、ありがとうね」
村人たちとの交流を終え、ラツハと二人で家に帰ると、家に入るなりまずお礼を言われた。
「いや、こちらこそありがとう」
「なんでキーリがお礼言うの?」
「何も考えずにすぐ魚を獲って戻っていたら、オーゴもグダグダと負けを認めず、無駄に長引いてたかもしれないし、ギリギリに戻ってきた方が良いって言ってくれて助かったからね」
「私の身もかかってたし、お礼を言われることでもないかな」
「それで言うなら俺だって妻を守るためだからね」
見つめ合う。
俺が照れて目を逸らすのと同じくして、ラツハも目を逸らした。
でも、少しだけ絆が深まった気がした。
◇
――結婚してから一年近くが経過した。
もうすぐ、女神カプチューの指定した契約期間が終わる。
そうなれば、この夫婦ごっこも終わってしまうことになる。
今日までに色々なことがあった。
ラツハの弟――ワーンクが、俺と一対一の場で、認められない。本当に姉さんを幸せにできるのか? 確かめられるまで一緒に暮らす。姉さんが幸せって心から言ったら認めて出て行くと言い出し、家で暮らすことにした翌日、俺が用意した朝食を食べたラツハが「はぁ幸せ」と呟き、あっさりと達成してしまったり。
あっさりと達成したことに、ショックを受けたワーンクが家を飛び出しどこかへ行ってしまい、全然戻って来ないのでラツハと手分けして探しに行くと、俺が探しに行った先にワーンクが居て、なんとか説得して連れ帰ろうとしたのだが、多数のゴブリンが現れて戦闘になってしまい、ワーンクを守りながら後から合流したラツハと力を合わせ、そのゴブリンたちを倒したり。
俺のカバンを利用して、新鮮な魚を隣の街に売り捌きに行ったところ、街の偉い人に絡まれ、揉めてしまい、隣の街から村に繋がる唯一の道を使用禁止だと塞がれてしまったり。
唯一の道が使えなくなってしまい、行商人すら招けなくなってしまったことで、俺も村の人たちも困る事態になったので、森の木を倒し、地面をならして、別の街までの道を作ったり。
新たな道を開拓したことで人や物が集まる大都市へのアクセスが良くなったので、ラツハと二人で買い物や外食をして歩いたり。
胸糞悪徳商人のせいで不利益を被ることになったので、ラツハと共に腕の型を取り、たくさんの腕の像を作って悪徳商人を驚かし、脅し、懲らしめたり。
ダンジョンに潜ってモンスターを倒したり、鉱石や宝石を採掘したり。
他にも様々な出来事があり、ラツハとの絆はかなり深まったと思っている。
そんな、この生活の終わりが近付いてきていた時。
かつてラツハを救ったという、赤い髪の冒険者――コウがこの村に帰ってきた。
コウの姿を見て、緊張感をあらわにするラツハと並んで出迎える。
「よう」
コウが気安く話しかけてくる。
「ようやく戻ってこれたぜ。でかくなったなあ基維利。元気だったか?」
「おかえり、父さん」
赤い髪の冒険者――コウ。本名、柄瀬孔伝。すなわち俺の父親であり俺とは違う本当の異世界人が帰ってきたのだった。




