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生まれも育ちもこの世界ですが、異世界人認定されて結婚しました。  作者: きゆつき


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異世界人の魚の料理。

 バッグを持ったキーリが戻ってきた。


 キーリは、バッグから取り出した大きなシートを地面に敷き、その上に巨大魚を放り投げる。


 キーリはさらに、バッグから剣――と見まがうような包丁を取り出し、魚の頭部をバッサリと切り落とす。


 さらにさらに、どデカい鍋や火にかける道具をバッグから取り出して設置、鍋を火にかけ、水、みそ、その他調味料を入れた後、切り落とした巨大な魚の頭を投入した。


 さらにさらにさらに、ついでだとばかりに、イノシシの肉や野菜、キノコ類もポンポンと放り投げていく。


「すみませーん。どなたか火加減だけ見ててもらえませんかー?」


 キーリが大声を上げる。


 少し間があって、


「アタシが見とくよ」


 裁縫名人のおばちゃんが手を上げた。


「お願いします」


 鍋を任すとキーリは巨大魚の元へ戻り、ばっさばっさと捌いて切り身を量産していく。


「これもらってもいいかい?」


「どうぞー」


 みんなでキーリを取り囲むようにしながら、巨大魚の切り身を受け取っていく。


 一通り切り終えたらしいキーリは、バッグから先程取り出したのとは別の鍋や火にかける道具、食材や調味料を取り出し始めた。


「これは何を作るの?」


「こいつは白身だから、フライにしてみようかなと」


 言いながらキーリは手早く準備を済ませていく。


 鍋に油を注ぎ火にかけながら、小麦の粉や溶き卵、パン粉をそれぞれ器に入れて並べていく。


 さらに、先程切り分けた巨大魚の身を手のひら大に切り、透明な液体に浸していく。 


 油の温度が整うのを待って、キーリは白身を液体から上げ、拭き取り、小麦粉、溶き卵、パン粉の順番で付け、油の中に入れていく。


 ジュワっと小気味良い音が鳴る。


 しばらく眺めていると、パチパチという音に変わり、色味も食欲をそそる淡い茶色に変わっていた。

 

 油から上げで油を切った後、皿にのせ、黒いソースをかけてキーリから渡される。


「どうぞ」


「いただきます」


 揚げたてのフライから立ち上る湯気に乗って、ツンとした香りが鼻腔を突いてきた。


 黒いソースのにおい。否が応にも食欲をかき立てられる。


 たまらず口に運ぶと、サクッとした食感が歯と出会った。


 そのまま進むと、フワッとした魚の身が出迎える。


 ――はふっ、はふっ。 


 揚げたてあつあつのクセのない白身魚のジューシーな身が口の中で弾ける。


 そして、淡白な魚の味と、ソースの濃厚な香り、酸味、甘味、辛味が絡み合い、口の中に広がっていく。


 ――美味しい。


 

 しばらくそうやって、フライにされた巨大魚の身と真剣勝負をしていたことで気づかなかったが、いつの間にかキーリがオーゴに絡まれていた。


 負けたのにまだ懲りないのか。救えないなあ。


「次はオレが勝つ!」


 私は、面倒くさそうに応対しているキーリの腕に抱き着く。


「お、おい! 何してる!?」


「あんたは負けたんだから、大人しく引き下がりなさい」


「い、いや、だが」


 これ以上オーゴに時間を取られたくないので、ここで完全に決着をつけてしまおう。


 キーリの勝利と、それに満足する私の姿を見せつければ、さすがに出しゃばってこないと思いたい。


「ありがとうねキーリ。勝ってくれて嬉しい」


 そう言いながら、抱き着いているのですぐ近くにあるキーリの顔を見る。


 すると――


「あ、う、うん。どういたしまして」


 顔を真っ赤にしているキーリ。


 え? あれ? 酔ってるとかじゃないよね?


 明らかに私に抱き着かれてドギマギしてるよね?


 けして自慢できたもんじゃない胸が当たって戸惑ってる?


 そういう感じなの?


 え、待って。私もなんか恥ずかしくなってきたんですけど。


 ていうか、ずっと目が合ったままなのも恥ずかしくなってきた。


「オーゴ! 私は別にキーリと嫌で結婚したわけでもないし、なんならあんたと結婚するのは嫌だし、これ以上邪魔しないで!」


「だ、だが、その、あの」


「オーゴ」


 オーゴの父親である漁師のおっちゃんが、オーゴの背後に立っていた。


「諦めろ」


「いや、そんな……」


「ラツハ。それとキーリ君、すまんな」


「あ、いえ」


「行くぞ」


「待って……」


 オーゴは言葉を最後まで出す間もなく、おっちゃんに引きずられて行った。


 これでわざわざ私にちょっかいをかけてくることもなくなる、といいなあ。


「あ、あの、ラツハ」


「うん?」


「ごめん、その、嫌とかではないんだけど、料理がしにくいなって」


「え?」


 あ。


 ずっと腕に抱き着いたままだった。


 慌てて離す。


「ご、ごめんね」


「全然別に、あの、謝ることではないんだけど。夫婦なんだし」


「う、うん」


「その、焦げちゃうともったいないかなって」


「そ、そうだね」


「ちょっと熱が通り過ぎちゃってるけど、もう一つ食べる?」


「うん。食べたい」


 気恥ずかしさをごまかすように、二枚目のフライにかぶりつく。


 味はよくわからなくなってしまっていた。

 お読みいただき、ありがとうございます。


 前回から時間が空いてしまいましたが、次回以降も時間が空くことになると思います。


 正直、この先の展開がまだふわふわとしていて、全く固まっておらず……。


 ちゃんと予め考えておけよ思われますよね?


 はい。その通りでございます。申し訳ない。


 キーリとラツハの仲が深まっていく姿や、赤い髪の冒険者、キーリの両親などが出てくるところを書けるよう、頑張ります。


 それでは失礼いたします。

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