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生まれも育ちもこの世界ですが、異世界人認定されて結婚しました。  作者: きゆつき


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バッグの秘密

「んんんん?」


 俺が愛用しているバッグを持ち上げようとして、困惑しているラツハ。


「これ、キーリじゃないと持ち上がらないようにもなってる?」


「ううん。中身はいじれないけど、誰にでも持つことはできるよ」


 誰にでも持つことは可能なのだ。簡単には持(・)ち(・)上(・)げ(・)ら(・)れ(・)な(・)い(・)というだけで。


「んんんんんー!

 ……どうなってるのこれ?」


 全く動かすこともできず諦めるラツハ。


「このバッグ、どんなに大きな物でも収まるんだけど、重さはそのまま増えていくんだよね」


「ってことはじゃあ、えっと? これは今、ただの重いバッグってこと?」


「うん」


「えええ?」


 目を見開いて驚くラツハ。


「キーリ持ってみてよ」


「わかった」


 バッグを持ち上げる。


「ええええええ?」


 ラツハの反応が良い。そしてかわいい。


「その状態で渡して欲しい」


「はい。どうぞ」


 ドスン。


「んえええええ、重っ!

 無理無理こんなの持てるわけ無い」


 首を左右に振り続けるラツハ。


「どういうことなの? 何でこれを持てるのキーリは」


「『黒竜の加護』の力だね」


「『黒竜の加護』が力を強化してくれるとか?」


「『加護』が強くしてくれるというよりは、『加護』のおかげて強くなれたって感じかな?」


「えと? 詳しく教えてほしいかも」


「腕力とか脚力とか、持久力って、頑張って鍛えても人間には限界があるよね」


「うん。まあそうかな。限界まで鍛えたこと無いからわかんないけど」


「この『黒竜の加護』は、筋肉の量とかの限界を超えて鍛えることができるようになる『加護』なんだよね」


「なるほど?」


「カテ爺はステータスの限界突破とかって言ってた」


 人間の身体の限界が数字で表すと10だとしたら、100にでも1000まででも鍛えて伸ばすことができるようになる。


「でも、見た目には普通の男の子って感じの筋肉だけど?」


「この『加護』は、特殊な筋肉を纏って鍛えるような感じかなあ」


「それでこんな馬鹿げた力が出てくるんだ」


「うん。カテ爺にめっちゃくちゃにしごかれて鍛えられたからね」


「『加護』の力ではあるけど、ちゃんと鍛錬した成果ってことね。

 もしかして、祝福(ギフト)と同じくらいに強くない?」


「そうなのかな? 今のところ実感したこと無くてわかんないんだよなあ」 


「強すぎると思うけど……。

 って、あれ? 普通にしてたら家の扉とか壊れない?」


「『加護』の力を発動したり止めたりできるから大丈夫」


「なら家が壊れる心配は無さそう?」


「俺が無意識で暴れるとかしない限りは」


「キーリはお酒飲む?」


「いや、飲んだこと無いかな」


「お酒禁止で。

 酔って暴れられたら止められない」


「わかった」


 考えたこと無かったけど、俺は酔ったらヤバいかもしれないのか。


 マジで気をつける必要があるかもしれない。

 



 昼食を片付けた後、湖を見てあれこれ話したり、木に生っている実を分け合ってかじったり、イノシシのようなモンスターを倒したりと、森の中を探検して帰ってきた。


 夕飯は、森の中で倒したイノシシのモンスターの肉をバッグの中に入れておいた様々な香草やスパイス、ソースで味付けして食べる。


 いくつかの部位を切り分けて焼いたり、ミンチにしてハンバーグ状にして焼いたりと、肉の加工にもいくつか用意した。


 そんなイノシシの肉を、ラツハは黙々と、しっかりとたくさん食べてくれていたので、満足してくれたんじゃないかと思う。


 夜は同じ部屋で寝る。


 今日一日で、少しは距離が縮まったんじゃないかなとは思うが、先(・)に(・)進(・)む(・)にはまだまだ早いので、当然それぞれのベッドで眠る。


「おやすみなさい」


「おやすみ」


 正直緊張はあるが、森の中を歩き回ったおかげか程良く疲労が溜まっていたのだろう、昨日に比べれば驚くほどあっさりと夢の中へ誘われていった。




 朝。


 今日も隣のベッドにラツハの姿は無かった。


 今度、朝の鍛錬に俺も付き合わせてもらおうかな。


 そんなことを考えながら支度をし、朝食を作る。


 鍛練を終えたラツハと共に朝食をとった後、今日は何をしようかと考えていると、玄関の扉を叩く音と共に声が聞こえてきた。


「姉さん、いますかー?」

カプチュー「なんかとんでもない『加護』ね」

カテガトージ「だろう?」

カプチュー「キーリにどんな鍛錬をさせたのよ?」

カテガトージ「あのバッグを重くして、持ち上げさせたり、半日くらい抱えたまま走らせたりとか、まあ様々だな」

カプチュー「やり過ぎよ」

カテガトージ「わっはっはっは!」

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