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父・死去


【 42歳 】


9月25日


「鷹搭主任、市民病院からお電話です」


「市民病院から?」


 それは突然。。。青天の霹靂(へきれき) 


父が倒れた


私は仕事を切り上げ車を市民病院へと走らせた


病院に着いた時、幸い父の意識はあった。


居間で倒れていた所を母が発見して急いで救急車に連絡し運び込まれたそうだ


「なさけなかねぇ~」


申し訳なさそうにベッドの上で父が手を振り半笑いで呟(つぶや)いた。


父は長年勤めていた市役所を定年退職してから家では盆栽や釣りを趣味にして過ごしていた。


病院では脳梗塞の診断が下りた、


1年程入院した後退院してデイサービスのお世話になったが

家での介護と入退院を繰り返す闘病生活が続き3年後の12月、深夜に病院のベッドの上で亡くなった。


最期を看取れたのは幸いであったと思いたい。


葬式は私が喪主を務めた、妹は結婚して他県へ出ていたが子供を連れて葬式へ来ていた。


母は泣くだけ泣いて妹の子(孫)を側で寂しそうにあやしていた。


父は唯一、ガソリンスタンド従業員達の騒音に対して私の抗議を理解してくれていた。


私が高校生の頃に亡くなった父方の祖父は画家だった、日本中を旅行するのが趣味の人だった。


馴染みの神社には祖父の描いた絵が数点奉納されている。


独特の人生論を笑いながら子供だった私に説いてくれていたものだ。


私は祖父を尊敬していた。


その神社は小学生の頃、朝から定期的に掃除をするのが当時は生活の一部だった。


祖父の影響もあって私も子供の頃から絵を描くことが大好きだった。


高校の頃は美術部で3年では部長になった、絵画のコンクールには入賞することも度々あった。


絵をかいてる時はその世界に入り込めるのが好きだ

何もかも忘れてキャンバスの中に自分の世界が広がっていく。

あの高揚感は例えようのないものがある。


幸せだった・・・


その道に進みたかったが現実的に食べていけるのかという不安と

周りの安定した生活をという期待を無下に出来ず

学校からの推薦もあって今の会社に就職した。


(絵は。。。仕事が落ち着いた頃に趣味でも書いていけるだろう?)


しかし転勤から帰って来た地元はヤンキー達にいい様に荒らされていたのは前述した通りだ。


家ではゲリラ的に繰り返される騒動に心が落ち着かず、


それでも余暇を作っては絵を描いていたが其のたびに騒音が繰り返された。


夜中にカーテンから照明が漏れていると寝てないから大丈夫とばかりに調子に乗って騒ぎ始める


パブロフの犬だ


絵を描こうとするとその時の嫌な気分がフラッシュバックして蘇るのだ。


私は筆を仕舞った、押し殺した嗚咽だけが部屋にコダマした。


言いようのない悔しさと憎しみが湧いていった


許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!許さない!・・・


頭の中を埋め尽くしていく。


なんどとなく繰り返された中で、、この頃から少しずつ自分の中の何かが壊れ始めていった。


引っ越しを考えた事もあったが母が年を重ねて難聴の障害が悪化していった

引っ越した先が問題ないという保証もどこにもない

一番は経済的な負担も馬鹿にできないのだ。


そして気付けば50歳・・・髪にも白い物がチラホラ目立ち始めた頃には、課長になっていた。


そろそろリタイヤして好きな絵でも描いて自分を取り戻そう?。

結婚もせず仕事ばかりだった為に若干の蓄えもできていた。


どうせ独身だ。自分が死んだ後は墓の面倒見る人も居ない。

せめて母が生きてるうちは自分の時間を生きよう・・・、

50歳、、、いいタイミングだ



無情に人生を振り返る日が多くなる。


=人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり=


信長の読んだ有名な句だ。。。


虚しいものだ

結局、結婚も出来ず仕事だけ。好きな絵すらも描けずに時間だけが過ぎ去った。

祖父のように好きな絵を描きながら生きたかった、

父にもそれで成功した姿を見て欲しいって夢があった。


母ももう年だ、何かあれば介護も必要になるだろう、今後の事も色々想定しておかなければならない。

パチンコに逃げていた時代もあった。。。自己責任と言われれば其れまでだ。


何度となく警察にも出向いたり県警にもネットから情報提供した。


結果、今ではガソリンスタンドも普通の従業員に変わって以前のような族の溜まり場では無くなっている。


ころあいだ、、、意を決して社長に辞表を提出、引継ぎは色々あって1年を費やした。


ーーーーー


宮野主任

「、、ちょう、課長、、?」


「ーん?あぁ、ごめんちょっと、トリップしてたぁwー」


「 ってお~いw('Д') 帰ってこ~いww 」


隣と前の席から一斉に突っ込みがはいった。


「課長、主役なんだから現実逃避はやめてね~」


どっと会場内が笑いで満たされる


ーごめんてw


談笑


その後しばらくして


幹事の人から挨拶を促され最後の挨拶を果たした


そして私は無職(フリー)になった。。。



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