アトランタル大陸
暫くして考えたのはここが何処なのか?という事だ
俺は思考を纏めていく。
55歳のトラックに撥ねられる瞬間までを思い出してると
ふと夢で見た神社の神様、翁の姿が脳裏に浮かんだ。
(龍神の干渉?)
(・・・その可能性・・・高いか・・・)
ならば、消滅を望んだ俺は、今ここにこの形で生存してるのは不味いのではないか?
思考が繰り替えされる。
(・・・ん)
ふと目を落とすと左腕に違和感を感じた。
普段から俺は腕時計を付けていた。
魔神になっても何気にない習慣という奴は引き継ぐものらしい。
何気に雑誌で見た記憶にあるサバイバルウォッチをイメージする。
瞬時に質量感のある腕時計が今の剛腕となった腕に顕現された
便利なものだ。
ちなみにステータスを見るとMP数値に変化は見られない。
この空間に満ちている魔素が影響していると考えるべきか。
さて。。。
「ウインドウ展開」
「サーチ」「マップ」「現地点」
続けざまに記憶を頼りに検索する。
目の前に50インチ程の大きさの透明なモニターが出現した
そこには青い地球の様な惑星が表示されている。
その南半球に丁度オーストラリアを2つくっ付けたような大陸が映し出された
(・・・・・・・。)
心のどこかで否定はしていたが今更ながらここが別の世界だと確信した。
「拡大」
【アトランタル大陸】
画面に大陸名が表示される
続けて画面は大陸を縦断するように連なる山脈を映しだした
【プルトン山脈】
遥か雲を突き抜けて聳え立つ山が連なっている、それぞれの山頂部は雪で覆われている。
その山脈の南側にあるひと際高く聳え立つ山に切り替わり、そこで視点が3Ⅾに切り替わった。
【プルケリマ 標高25.830m】
ネットの写真検索でも見るかのように画面には巨大な山が映し出された。
まるで富士山かと思うほどの端正な形の山だ、しかし其の山頂は雲の遥か上にあり
雪と氷に覆われた世界が映る。初めて見る景色に息を飲んだ。
(確かエレベストでも標高8.800m程だったはずだ)
(それを見た俺の心は一瞬だが感動に包まれた)
続けて「現地点のサーチ」と検索を進める。
画面の視点映像は山頂を起点にプルケリマ山の内部へと下降を始める
25000m>23000m>20000m>15000m>10000m>5000m
ただ真っ暗な画面に表示されていく数値
0m>-5000m>-10000m>-50000m>-10km>-20km
画面がやや紫がかってくる
-30km>-40km>-50km>-100km
そこで下降が止まった
「ん?」
画面に大きくノイズが走る
空間が歪み反転して天地がひっくり返った。
そしてこのドームが映し出されそこに画面を見る俺の姿があった。
(ここはプルケリマ山の地下100kの裏側?の世界)
(何故こんなところで生存できている?)
理解せなばならない現実である、ここが異世界の反物質世界
魔素化した脳は自分の感性にも影響を及ぼし判断能力も向上している。
「はぁ~っ」
(牢獄だ)瞬時にその発想が浮かびあがり大きく溜息を付いた。
同時にギリっと歯ぎしりが音をたてる
(ほんと。。。次元の狭間だな。。)
なるほど光も無ければ音も無い、無の空間とは良くいったモノだ
此処は全てを拒絶する。
俺の存在はここで閉じ込められ誰からも認識されず悠久の時を過ごすのか。
(ここで無敵誇っても余計に虚しいだけではないか)
(いや・・・むしろこれが鷹搭蛍真が望んだ世界)
(ここは静かな世界なのだ)
(しかし。。。)
自問自答を繰り返すが答えが出ない。
・・・だが何も出来ないわけではない。
創造のサーチでこの外の世界を見る事も出来そうだ。
(退屈はせずには済むか?)
そうなのだ、まずはテレビでも見るようにこの世界を覗いていく事にしよう。
俺は椅子に深く座ったまま表示されたモニターを操作する
「アトランタル大陸」
そこに大陸が前面に映し出された
指を指すとそこが拡大されていく、
タブレットと同じ感覚で使えるのは便利だ。
俺は適当に画面を指して拡大した。
ちょうど衛星写真程度の画像は飛行機から眺めるレベルまで拡大された。
そこに映し出されたのは樹海、大河が縦横無尽に走る太古の原生林を彷彿させるものだった。
ピンポイントで荒野や大きな湖、砂漠地帯等およそ地球上でも見られる自然の景色が映し出されていく
しかし大陸のほとんどは樹海で占められていた。
中央に連なるプルトン山脈は気象にも影響を与えている感がある
だが今見た映像に人造物は映らなかった、いや正確には確認できない場所が多くあった。
部分的に何度も拡大表示を試したのだが≪魔素濃度限界圏外≫
「電波かよ!」思わず素で叫んでしまった。
どうやらサーチも全てには万能ではないらしい
魔素濃度によって検索できない場所があるという事か?
もしくは拡大してサーチするにはレベル条件が必要なのかも知れない。
「サーチ・人間」
そう、これが一番確かめたかった事だ。
画面はアトランタル大陸の全体を表示しているが全く反応しない。
数分間画面を眺めていたが変化はなかった
(この大陸には人間がいないのか?)
「サーチ・人間以外の知的生命体」
ならばと異世界なら可能性あるそれをサーチをした。
大陸の節々に針で突いた様な極小の赤い点がポツポツと浮き出てきたと思ったら。。。
次の瞬間、大陸全土が赤い点で埋め尽くされていく
丁度、夜の衛星画像から見る都市部の光に包まれた映像の様だ。
薄い赤から濃い赤、大小バラバラに表示している点もあれば
それが集団で集まってる場所もある。
数十万、数百万それ以上の赤い点が大陸の要所要所に集まり大きな赤い塊として光っている
奇しくも先程サーチできなかった場所と一致していた
その塊の中には金色に輝く点など別の色を放つものもあった。
(残念だ、拡大して見てみたいが上空からの映像しか見れないのが歯がゆい)
しばらくその画面を見続けていた。
そしていきなり画面が大陸の東端へスクロールして急に拡大画面に切り替わった。
端にある半島に点々と青い点が光ってるのが確認できた
(さっきまで無かったのに?)
疑問を持ちながらも、さらにサーチが続いていく
俺はそこに手をやりピンポイントで拡大を試してみた。
そこに映し出されたのは上空からの映像ではなく3Ⅾだ。
砂浜に大きな帆船が座礁している。
何かに攻撃されたのかマストは折れて帆はボロボロに敗れて船の側面には大きな穴が開いている。所々から煙も上がている。
血塗られた甲板には食い散らされたような人間と思われる死体が転がっている。
さながら映画のワンシーンでも見ている感じである。
だが画面を見てる俺の心は何の感情移入する気配がない
ただ観察者のように座った目つきで青い点がある方向へ画面を移動させていく。




