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旅立ち


踵を返して家に帰る途中でパトカーとすれ違った。

珍しい、パトカーにしては早いやんw


そう車内の時計表示はまだ30分程度しか経ってない。

すれ違いも平静を装い家路を急いだ。


(さて、次だ)


家についてそそくさと着替えを済ませる。

上下ともに黒色で統一し黒のマスクを着用。

サバイバルシューズを履き同様の手袋を装着した

腰にはそのままサバイバルナイフを下げている


家の玄関のカギを閉めた。。。


「生きる意味も、価値も無しか・・・」


振り返り家を見上げる


おそらくこれが最後となる家に、感謝してもしきれない感情が湧いてくる


50年の長きに渡って私を守ってくれた家にこれまでの生活の思い出が込み上がてきた。


「ありがとう、、、ごめんなさい」


それだけ口から出た。


そして車に準備できるだけの有機溶剤をペール缶に詰め込んで家を出た。


目の前のガソリンスタンド入り口の前に車を止めて掛けてあるチェーンを機具で切り落とす


車を給油スタンドの裏奥につけて車の中に溶剤をぶちまけると


座席やシートに染み込んでいく。


すぐに揮発した溶剤の臭いで車内は充満した。


先程パトカーが走っていったのを考えて


自動発火装置のタイマーを10分後に合わせ最後に窓を5㎝程開けておく。


溶剤濃度が高すぎると発火上限値を超えてしまい爆発そのものがおきない。


酸素なければ火が点かない事は小学生だって知ってる事だ


「長い事ありがとう」


「最後にごめん・・・感謝・・・」


愛車に手を置いてそう呟く。


私はそのまま裏道を抜けて住宅街の塀に隠れながら月明かりの中、

山の麓まで辿って神社へ向かった。


(最期まで抗(あらが)ってやるさ)


実は一月前に隣街のアパートを契約している。


友達名義で私は保証人という名目だから表には出てこないだろう。

そこに次の準備もしてある。


警察もヤンキーどもも許すつもりはない。

後戻りできなくなった人間だ、人を追い込んだ事必ず後悔させてやる!

まだまだ終わらせるつもりはない、これからだ。


ファンファンファン!!!!!!!!!


パトカーのサイレンが鳴り響く。


県道を3台ほどのパトカーが慌ただしく疾走していくのが見えた。


「・・・・・。」


振り返ってそのパトカーを見送った


「お疲れさん・・・」


フラフラしながらも足取りは軽い。


暗がりの路地裏を抜け道路を渡ってる時、神社の階段が見えたその時


ドーーーーーンゴゴーンゴゴゴオオオドドオソ!!!!!!!!!!!


地響きと共に爆炎がガソリンスタンドの方から上がった


思わず振り向くと夜空を不気味な赤い火柱が上がってるのが此処からでも確認できた。


私が仕掛けた花火だ、警察は爆発する前に気付いたかなw


轟々と燃え盛る爆炎を見ながら、ただそんな思いだけが頭を過ぎる


私の人生を弄んだ元凶が炎に包まれている。


それを見て何の感慨も無く呆然とそこに突っ立ったまま


何となく力が抜けて動けなくなっていた。


火柱が此処まで見えている。周囲の家々の明かりが点灯し始めた


その瞬間、路地から出てきた輸送トラックが後ろから猛スピードで出てきた。


ハッと振り返った時コックピットから運転手がその爆炎に気を取られてるのが見えた。。。


後ろ真正面からトラックに弾き飛ばされる衝撃で夜空に私は舞った


トラックに打ち付けられ体に衝撃が走る


人生は終わる時はスローモーションに感じるとはいうがまさにこの事か。


空中に舞い上がった瞬間がやたら長く感じられる


呆気ないものだ。


「はん、、、こんなもんか・・・」


まるでテンプレ通りの終わり方。


(くだらない人生だった)


吹き飛ばされながら心から自分に笑った。


不思議と痛みは感じない


「は、ははっはっははあはああはh・・・」


それが鷹搭蛍真のこの世界での最後の声だった。



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