↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狐と亡国の皇太子は謎を解く  作者: 犬村汐里


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/14

第10話





「興味がおありで?」


「今の祈祷の依頼と少し重なる部分があるので」



 そういうと、汪天は上辺だけの笑顔を張り付けたまま答える。



「まず、なにも分からないことが分かりました」


「……は?」



 返答に唖然としていると、汪天はその反応を待っていたと言わんばかりににこにこと笑う。



「見てくださいよ。これ」



 そう言って見せられたのは一つの本だ。その本には普通、生まれてから死ぬまでの記録がずっと書いてある。めくってみると、途中で本が真っ黒に染め上げられていた。



「これは……」


「こうなる理由、ご存じですか?」


「この世の中において、悪の存在と契約するとき、こうなると以前聞いたことがある……例えば、悪鬼王、西洋でいうところの悪魔……」


「ええ、そうです」


「もしかして」



 そう言い、明紅は月沈国裴王朝の歴代皇帝の本を片端から探して本を開いた。



「やっぱり……」



 その本は途中で真っ黒に染め上げられていた。



「歴代皇帝が悪鬼王と契約している……」



 そうすれば、17代目皇帝も悪鬼王と契約しているのだろう。では、16代目皇帝はなぜ殺されたのか。そんな疑問が湧いてくると、16代目皇帝の文書を見つけて本を開く。その本は生まれから没するときまで事細かに書かれていたのだ。



「なぜ契約しなかった?」



 その疑問を口にしながら、16代目皇帝の本を手に席に座る。

 生まれから目を凝らし、読み逃しがないように読み進める。そして、見つけた。



「悪鬼王からの契約を持ちかけられるも、『あなたに頼ることなくこの国を納める』と拒否する……か」



 それが原因で暗殺されたのだろうか。

 しかし、明紅は悪鬼王がとんでもない鬼であることは知っていたが、その程度のことで人を殺させるようなことをする鬼ではないと思っていた。



「汪天殿、私は行きます」



 こちらの様子をうかがっていた彼に声をかける。



「早いですね」


「終わりましたので」


「では、またどこかで」


「結構です」とぴしゃりと言い切ると、汪天はくすくす、と笑った。



 部屋を出ようとすると、奥に座っていた先客も退出するようでこちらに向かってきた。

 その姿を見て、明紅は目を疑った。



「父上?」



 そう聞いてしまうほど、実父によく似ていたのである。



「え?」



 彼はきょとんとした顔をした。



「あ、いや、人違いですね」



 こんな肺に入り込む空気が重たく圧のある雰囲気は只者ではない。実父は明紅より立場は低いし、明紅より能力はない。そのうえ、明紅を育て上げることはせず、清陽に丸投げしたような男だ。しかし……。



「すみません。あなたは私の知り合いによく似ている」



 そういうと、雰囲気とは違うような人懐っこい笑みで彼は答えた。



「はははっ、そうなんですか? もしかしたら親戚かも。あなたの名前は?」


「明紅陽です」


「紅陽殿。私は月明櫻と申します」



 明紅は「月」という言葉に背筋がぞっとするのを感じた。ぶる、と身震いをし、鳥肌を抑えるために深く息を吸い込む。



「お前、悪鬼王の手下だな」



 そう言って距離を取ると、彼はにこりと笑った。


「そうです」と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。