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第七十二話 それぞれの冬〜セドリック編
カン、と木剣がぶつかり合う音が、屋敷の訓練場に響く。
「今日はここまでにいたしましょう。」
指導役の騎士がそう告げると、セドリックは木剣を下ろした。
「ありがとうございました。」
短く礼をし、額に滲んだ汗を拭う。
冬の冷たい空気は頬を刺すようだったが、不思議と心地よい。
「冬季休暇に入っても、変わりませんね。」
騎士が苦笑すると、セドリックは小さく肩を竦めた。
「休んでいる間にも、時間は過ぎていきます。」
その一言に、騎士は感心したように頷く。
「立派なお考えです。」
「……まだまだ未熟です。」
セドリックは訓練場を見渡した。
学園なら、この時間はフィンと木剣を交えている頃だろう。
互いに遠慮なく打ち合える相手は、そう多くない。
「少し、物足りないですね。」
思わず漏れた呟きに、自分でも苦笑する。
木剣を手に取ると、セドリックは再び構えた。
「もう一本だけ、お付き合い願えますか。」
「もちろんです。」
静かな返事とともに、再び木剣が構えられる。
冬の空へ、鋭い打ち合う音が響き渡った。




