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第七十話 それぞれの冬〜フィン編
「はっ!」
冬の澄んだ空気を切り裂くように、木剣が振り下ろされる。
白い息を吐きながら、フィンは屋敷の訓練場で鍛錬を続けていた。
冬季休暇とはいえ、体を動かさないと落ち着かない。
額にうっすらと汗を滲ませたところで、執事が歩み寄ってきた。
「フィン様。そろそろお休みになられてはいかがでしょう。」
「あと少し!」
返事をすると、もう一度木剣を構える。
鋭く踏み込み、一閃。
満足そうに息を吐いたところで、ようやく木剣を下ろした。
「これで終わり!」
「ようございました。」
執事は苦笑しながら差し出したタオルを渡す。
受け取ったフィンは乱暴に汗を拭き、青空を見上げた。
「早く休暇が終わらないかな。」
ぽつりと漏れた本音に、執事が目を丸くする。
「珍しいですね。」
「一人で鍛錬するのも悪くないけどさ。」
木剣を肩に担ぎ、フィンは笑った。
「やっぱり、みんなといる方が面白い。」
冬の青空へ、その笑い声が軽やかに響いた。




