第六十六話 冬の訪れ
朝、屋敷を出たリリアーナは、小さく息を吐いた。
白く染まった吐息が、すぐに空へ溶けていく。
「もう、冬なのですね。」
クララが穏やかに微笑む。
「今年も残すところ、あとわずかでございます。」
リリアーナは頷き、馬車へ乗り込んだ。
街路樹はすっかり葉を落とし、冬の静けさをまとっている。
季節は確かに、秋から冬へと移り変わっていた。
学園へ到着すると、生徒たちも厚手のマントを羽織り、足早に校舎へ向かっていた。
教室へ入ると、オリヴィアがぱっと顔を上げる。
「おはようございます、リリアーナ様。」
「おはようございます。」
「今日は一段と冷えますね。」
「ええ。手もとても冷たくなりましたわ」
挨拶をしながら席へ着いたところで、セレナも加わった。
「朝、庭に霜が降りていました。」
「私の家もです。」
三人がそんな話をしていると、教師が教室へ入ってくる。
「皆さん、おはようございます。」
挨拶を終えた教師は教室を見回した。
「今年の授業も、残すところあとわずかです。」
「冬季休暇まで気を緩めず、励むように。」
その言葉に、教室のあちこちから小さな笑みがこぼれる。
もうすぐ冬休み。
誰もが少しだけ浮き立っていた。
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昼休み。
「冬休みは何をなさるご予定ですか?」
オリヴィアが尋ねる。
「家で過ごすことが多くなると思います。」
リリアーナが答えると、セレナも頷いた。
「私もです。新年の準備もありますし。」
「私は従姉妹たちが遊びに来るんです。」
嬉しそうに話すオリヴィアに、リリアーナも自然と笑みを浮かべる。
「楽しみですね。」
「はい!」
そんな穏やかな会話が続く。
何気ない時間が、どこか心地よかった。
一方その頃。
「もうすぐ冬休みか。」
フィンが椅子にもたれながら呟く。
「休みくらいは、ゆっくり寝たいな。」
「お前は普段から十分寝ているだろう。」
セドリックの一言に、周囲から笑いが起こる。
エリアスも思わず笑みを漏らした。
「冬休みが終われば、春はすぐだね。」
その言葉に、ヴィンセントが頷く。
「社交界デビューも近づきますね。」
「ああ。」
短い返事だったが、その表情はどこか楽しそうだった。
放課後。
昇降口を出ると、空は淡い夕焼けに染まり始めていた。
「リリアーナ。」
振り返ると、エリアスが歩み寄ってくる。
「ご一緒してもいいかな。」
「もちろんです。」
二人は並んで校門まで歩いた。
「今年もあと少しだね。」
「はい。」
「冬休みが終われば、春もすぐです。」
リリアーナがそう言うと、エリアスは優しく微笑む。
「楽しみだね。」
その言葉に、リリアーナも静かに頷いた。
「ええ。」
冬は始まったばかり。
けれど二人の心は、その先に待つ春へと少しずつ向かっていた。
活動報告にリリアーナ イメージイラストあります。
次はエリアス更新予定




