第五十話 それぞれの期待
始業式を終え、教室へ戻ると担任の先生が教壇へ立った。
「改めまして、皆さん。二年生への進級、おめでとうございます。」
教室に拍手が広がる。
先生は穏やかに微笑みながら、一枚の紙を手に取った。
「こちらが今年度の年間予定です。二年生からは校外での実習や行事も増えますので、各自確認しておいてください。」
前の席から順に予定表が配られていく。
私も受け取り、静かに目を通した。
春の校外演習。
夏季実習。
学園祭。
収穫祭。
冬季舞踏会――。
一つひとつ視線を滑らせていると、不意に胸がざわめく。
(……そうだった。)
二年生から、ゲームのイベントが本格的に始まる。
攻略対象との距離を縮める大切な行事。
それぞれの選択によって、物語が少しずつ変化していく。
詳しい内容までは思い出せない。
それでも、この一年が物語の大きな転機だったことだけは覚えていた。
「リリアーナ様?」
顔を上げると、オリヴィア様がこちらを見ていた。
「どうかなさいましたか?」
「いえ。予定を見ていたら、一年があっという間に過ぎそうだと思いまして。」
「ふふっ。本当ですね。」
オリヴィア様も予定表へ目を落とす。
「私は校外演習が楽しみです。学園の外へ出る機会はあまりありませんから。」
「私は舞踏会でしょうか。」
隣から穏やかな声が聞こえた。
振り向くと、セレナ様が柔らかく微笑んでいる。
「正式な場へ出る機会も増えますし、少し緊張してしまいます。」
「セレナ様でも緊張されるのですね。」
「もちろんです。」
そう言って笑う姿に、私たちも自然と笑みを浮かべた。
二年生。
それぞれが思い描く一年を胸に、新しい日々が始まろうとしていた。
このエピソード短いのでもう少し更新します!




