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第二十四話 10歳の贈り物【中編】





大広間の扉が、ゆっくりと開かれた。



眩いシャンデリアの光が降り注ぎ、華やかな音楽が会場を包み込む。


その先には、多くの貴族たちがリリアーナを待っていた。




「リリアーナ様、お誕生日おめでとうございます!」


温かな拍手と祝福の声が、一斉に響き渡る。


突然の歓迎に少し驚きながらも、リリアーナはドレスの裾を軽くつまみ、優雅に一礼した。



「皆様、本日はお越しいただき、ありがとうございます。」


その姿に、会場から感嘆の声が上がる。


「もう十歳とは……。」

「ますますお美しくなられましたな。」

「公爵家のご令嬢らしい気品がおありだ。」


次々とかけられる言葉に、リリアーナは少し照れくさそうに微笑んだ。



「ありがとうございます。」


その隣では、お父様とお母様が嬉しそうに娘を見つめていた。


祝宴が始まると、リリアーナのもとへ多くの来客が訪れる。


「お誕生日おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「素敵な一年になりますように。」


笑顔で応え続けるリリアーナだったが、しばらくすると少しだけ肩の力が抜けた。


その様子に気付いたクララが、そっと近づく。


「お嬢様、お飲み物を。」

「ありがとう、クララ。」


果実水を一口飲むと、優しい甘さが喉を潤した。

「ふふ……生き返ったわ。」

思わず漏れた一言に、クララはくすりと笑う。

「まだ始まったばかりでございますよ。」

「そうだったわ。」


リリアーナも笑い返した。


その時だった。


「国王陛下、王妃殿下、王太子殿下のご到着です!」



会場の空気が一瞬で引き締まる。




国王陛下と王妃様が堂々と入場され、その後ろをエリアスが歩いていた。



正装に身を包んだその姿は、幼さの中にも王太子としての気品を感じさせる。

リリアーナは思わず笑顔になった。

「エリアス殿下!」

「リリアーナ。」


エリアスも柔らかく微笑む。


「誕生日おめでとう。」

「ありがとうございます。」


二人は自然と向かい合った。


「君に渡したいものがあるんだ。」


少し照れたように、エリアスは小さな箱を差し出す。


「私にですか?」

「ああ。」

「誕生日のお祝いだ。」


リリアーナは嬉しそうに箱を受け取り、そっと蓋を開けた。



「まあ……!」



中には、小さなアメジストがあしらわれた、美しいブローチが収められていた。


繊細な細工が施され、光を受けるたび上品に輝いている。


「とても素敵……。」


リリアーナは目を輝かせた。


「何日も迷って選んだんだ。」


少し照れくさそうにそう言うエリアスに、リリアーナは思わず顔を上げる。



「本当に?」

「ああ。」

「君に似合うものを贈りたくて。」


リリアーナはブローチを胸元へそっと添えてみた。


「どうですか?」


エリアスは少しだけ頬を赤らめながら頷く。


「……とても似合っている。」


その一言に、リリアーナは嬉しそうに笑った。


「ありがとうございます。」

「大切にしますね。」


その笑顔を見て、エリアスもほっとしたように微笑んだ。


少し離れた場所では、その様子を見守る大人たちがいた。


「本当に仲の良いお二人ですこと。」

王妃様が微笑まれる。


母のエレノアも穏やかに頷かれた。


「ええ。あんなに自然に笑うリリアーナを見るのは、私たちも嬉しくなります。」


アルディス公爵は静かに腕を組みながら、小さく笑みを浮かべる。


「二人とも、よく似た優しい子に育った。」


国王陛下はそんな二人を見つめ、満足そうに頷かれた。



「だからこそ……安心して未来を託せる。」



やがて楽団の演奏が静かに終わり、会場は自然と静まり返る。




国王陛下がゆっくりと立ち上がられた。


その姿に、会場中の視線が集まる。




リリアーナは何が始まるのだろうと、小さく首を傾げた。




国王陛下は穏やかに皆を見渡し、静かに口を開かれる。



「皆の者。本日は、もう一つ皆へ伝えたいことがある。」



その一言に、会場の空気が静かに張りつめていった――。

7/22夜後編投稿予定です!お時間あったら見にいらしてくださいねー!

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