第146話 ゲーム『運命の欠片』
ゲーム『運命の欠片』
エリアス王子ルート 最終章
卒業パーティー
――これは、一人の少女が幸せを掴む物語。
プレイヤーが積み重ねてきた選択肢
そして最後のエンディング。
物語は、卒業パーティーから始まる。
王城の大広間。
天井には幾重にも連なるシャンデリアが輝き、色鮮やかなステンドグラスから差し込む夕陽が、磨き上げられた床を黄金色に染めていた。
王立学園を卒業した若き貴族たち。
華やかな音楽に合わせ、笑顔で言葉を交わし、未来への希望を胸に最後のひとときを過ごしている。
その中を、一人の少女がゆっくりと歩いていた。
金色の髪。
優しい碧眼。
純白のドレスに身を包んだ伯爵令嬢。
オリヴィア・ローズ。
彼女こそ、この物語の主人公だった。
「オリヴィア。」
聞き慣れた優しい声に振り返る。
そこには、白い礼装に身を包んだエリアス王子が立っていた。
「今日は本当に綺麗だ。」
オリヴィアは少し頬を染める。
「ありがとうございます、殿下。」
エリアスは微笑みながら手を差し出した。
「最後のパーティーだ。一緒に楽しもう。」
「……はい。」
二人は笑顔で歩き出す。
周囲から祝福の視線が向けられる。
誰もが思っていた。
王子と伯爵令嬢。
二人はきっと結ばれるのだと。
音楽が流れ続ける。
穏やかな時間。
幸せな時間。
――その時だった。
演奏が止まる。
会場を包む静寂。
エリアスはオリヴィアの手を静かに離すと、一人、中央へ歩き出した。
何事かと貴族たちが見守る中。
王子は一人の令嬢を見据える。
「リリアーナ・アルディス。」
会場の奥。
一人の少女がゆっくりと振り返る。
美しいダークプラムの髪。
紫の豪奢なドレス。
気高く背筋を伸ばしたその姿は、まさに公爵令嬢そのものだった。
「お呼びでしょうか、エリアス殿下。」
穏やかな笑み。
しかし、その瞳には冷たい光が宿っている。
エリアスは静かに告げる。
「本日、この場をもって、君との婚約を破棄する。」
ざわっ――。
会場中に動揺が広がった。
「婚約破棄……?」
「まさか。」
「どういうことだ……。」
だが。
リリアーナだけは微笑んでいた。
「ふふ……。ようやく、その時が来ましたのね。」
その余裕ある態度に、会場はさらにざわめく。
エリアスは続ける。
「リリアーナ・アルディス。君はこれまで、オリヴィア・ローズに対し数々の嫌がらせを行った。」
「教科書の破棄。」
「虚偽の噂の流布。」
「ドレスの破損。」
「階段からの突き落とし未遂。」
「魔法による危害。」
「そして屋上から突き落とそうとしたことも全て知っている」
一つ。
また一つ。
罪状が読み上げられる。
オリヴィアは悲しそうにリリアーナを見る。
「リリアーナ様……。」
その声にも、リリアーナは小さく笑うだけだった。
「ええ。すべて事実ですわ。」
会場に息を呑む声が響く。
リリアーナは堂々と胸を張る。
「当然でしょう。公爵家の娘である私が、伯爵令嬢ごときに居場所を奪われるわけにはいきませんもの。王子の隣に立つのは、この私。最初から決まっていたことですわ。」
オリヴィアは胸の前で両手を握りしめる。
「私は……。」
オリヴィアは勇気を振り絞り、一歩前へ出た。
「殿下…リリアーナ様にも、きっと事情があるはずです。どうか、お話を――」
しかし。
エリアスは静かに首を横へ振る。
「いや。証拠はすべて揃っている。もう覆ることはない。」
その瞳には、一切の迷いがなかった。
まるで。
最初から決められていた結末を告げるように。
エリアスは高らかに宣言する。
「リリアーナ・アルディス。」
「君をアルディス公爵家より除籍。そして、このエルディア王国より永久追放とする。」
重い沈黙。
衛兵たちが前へ進み出る。
リリアーナは抵抗しない。
ゆっくりと踵を返し、最後に一度だけ会場を見渡した。
その表情に後悔はない。
ただ、冷たい笑みだけが浮かんでいた。
「……くだらない。」
小さくそう呟き、衛兵と共に大広間を後にする。
重厚な扉が閉まる。
やがて静寂を破るように、エリアスがオリヴィアへ歩み寄った。
「終わった。」
「オリヴィア。」
「これからは安心して、私の隣を歩いてほしい。」
オリヴィアは目に涙を浮かべながら微笑む。
「……はい。」
二人は静かに手を重ねた。
再び音楽が流れ始める。
祝福の拍手が大広間を包み込む。
画面はゆっくりと白く染まっていった。
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Congratulations!
エリアス王子ルート クリア
Happy End




