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第十二話 Crack【後編】



朝食を終えたあとも、私の心は落ち着かなかった。


何度も、部屋にあるガラスのことを思い出してしまう。


(どうして私にだけ見えたのかしら……。)





私は図書室へ向かった。


気持ちを落ち着かせようと、本を開いてみる。





けれど文字は頭に入ってこない。


ページをめくる手が、ふと止まった。


(昨日……。)


エリアス殿下の笑顔が浮かぶ。





「今日から毎日持ち歩くね!」


嬉しそうに蝶々の刺繍を見つめてくださった姿。


自然と私も笑顔になった。


その時だった。





ガラスのひび

  


胸にずっとつっかえていた事。



私は静かに本を閉じた。






ゲームの記憶。


悪役令嬢だった、もう一人のリリアーナ。


ゆっくりと、その記憶をたどっていく。


(ゲームの私は……。)




図書室には静かな空気だけが流れている。


もちろん、答えてくれる人はいない。


私は自分の両手を見つめた。








「わかる時にわかるのかな。」






そう思うようにした…





コンコン。


図書室の扉が叩かれる。


「お嬢様。」


侍女が静かに一礼した。


「家庭教師の先生がお見えになりました。」


「すぐに参ります。」


私は本を閉じ、立ち上がる。


部屋を出ようとして、ふと窓辺へ目を向けた。


そこには、小さなガラスの花瓶が飾られている。


思わず足を止める。


「……。」


花瓶は、何事もなかったかのように陽の光を受けて輝いていた。


ひびは、どこにも見当たらない。


(消えた……。)


夢だったのだろうか。


それとも――。


私は答えの出ない疑問を胸にしまい、静かに図書室をあとにした。


その頃。


誰もいなくなった部屋へ、風がそっと吹き込む。


窓辺のガラスの花瓶は、静かに陽の光を反射していた。


まるで、何事もなかったかのように。



こんにちは。いつもご覧くださりありがとうございます!

このエピソード中、飲みながら書いていたせいで

色々おかしくなっていて朝起きて慌てて訂正しました(๑•﹏•)

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