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第121話 新たな調査地



翌日の放課後。


王国課題を担当する教師のもとへ、各ペアが順番に調査計画を提出していた。


「次。」


名前を呼ばれ、リリアーナとエリアスは机の前へ進む。


教師は二人から計画書を受け取り、静かに目を通した。


「王都市場を調査した上で、次は北部の農村へ向かう予定……か。」


「はい。」


リリアーナが答える。


「市場で伺ったお話の中に、収穫や流通についての声が多くありました。」


「その原因を知るには、生産する側のお話も必要だと考えました。」


教師は満足そうに頷く。


「市場だけを見て終わらない視点は良いね。」


そう言って計画書を机へ置いた。


「だが、一つだけ覚えておきなさい。」


二人は顔を上げる。


「答えを探しに行くのではない。」


教師は穏やかな表情で続けた。


「人を知り、暮らしを知り、そうすれば、おのずと課題は見えてくる。」


静かな言葉だった。



その一言はリリアーナの胸へ深く刻まれる。


「……はい。」


教室を出ると、リリアーナは小さく息を吐いた。


「人を知る、ですか……。」


「先生らしい言葉だったね。」


エリアスは笑みを浮かべる。


「課題を探そうとし過ぎていたのかもしれない。」


「私もです。」


リリアーナは頷く。


「気付けば、問題ばかりを見ようとしていました。」


「でも、本当に大切なのは、人の暮らしそのものなのかもしれません。」


エリアスは穏やかに微笑む。


「農村では、まず話を聞こう。」


「答えは、そのあとで考えればいい。」


「はい。」


二人は並んで学院の廊下を歩き始めた。


次の休日。


向かう先は、王都の北に広がる小さな農村。


そこには、まだ二人の知らない暮らしが待っていた。




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