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第111話 約束の日



休日の朝。


窓から差し込むやわらかな陽射しに目を細めながら、リリアーナはゆっくりと身支度を整えていた。


「お嬢様、本日は王都へお出掛けの日ですね。」


クララが微笑みながら、淡い藤色のワンピースを差し出す。


「こちらはいかがでしょうか。」


「素敵……。」


裾に小さな花の刺繍が施された上品な一着。


リリアーナは嬉しそうに頷いた。


「これにします。」


身支度を終え、鏡の前に立つ。


「とてもお似合いです。」


クララの言葉に、少し照れながら笑みを浮かべた。


「ありがとう。」







王城前では、エリアスがすでに待っていた。


「おはようございます。」


「おはよう、リリアーナ。」


互いに挨拶を交わすと、エリアスは一瞬だけ目を見開く。


「……その服、とても似合っている。」


思いがけない言葉に、リリアーナの頬がほんのり赤く染まる。


「ありがとうございます。」


少しだけ勇気を出して言葉を返す。


「エリアス様も、とても素敵です。」


今度はエリアスが照れたように笑った。


「ありがとう。」


その笑顔につられるように、リリアーナも微笑む。


「では、行こうか。」


「はい。」


二人は並んで王都の街へ歩き出した。


休日の街は、多くの人々で賑わっている。


露店をのぞく家族連れ。


楽しそうに話しながら歩く学生たち。


街角では楽師が穏やかな音色を奏で、人々が足を止めて耳を傾けていた。


「とても賑やかですね。」


「休日は皆、こうして買い物や散歩を楽しむんだ。」


エリアスは街の様子を見渡しながら微笑む。


「今日は時間もある。気になった店があれば、遠慮なく入ろう。」


「はい。」


二人は特に目的を決めず、ゆっくりと街を歩く。


店先に並ぶ焼き菓子や色鮮やかな花々。


職人が作る工芸品に足を止めながら、他愛のない会話を交わす。


それだけなのに、不思議と時間が過ぎるのを忘れてしまう。


ふと、リリアーナの視線が一軒の小さな店に向いた。


ショーウィンドウには、繊細な細工が施された髪飾りが並んでいる。


「綺麗……。」


思わず足を止めると、エリアスも隣に立った。


「入ってみよう。」


「え……?」


「気になったんだろう?」


優しく微笑むエリアスに背中を押され、リリアーナは小さく頷く。


「……はい。」


二人は静かに店の扉を開けた。

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