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第100話 休日の王都【前編】

昨日更新出来なくてすみませんでした!



休日の朝。


青く澄み渡る空の下、王都は朝から穏やかな賑わいを見せていた。


アルディス公爵家では、クララが最後の身支度を整えている。


「はい、お嬢様。これで完璧でございます。」


鏡の前に立つリリアーナは、自分の姿を見つめて小さく微笑んだ。


淡い藤色のワンピースに、白いリボンがあしらわれたつば広の帽子。


歩きやすい低めの靴と、小さな白いバッグ。


普段のお茶会や夜会とは違う、街歩きのための装いだった。


「とても素敵ね。」


「もちろんでございます。」


クララは胸を張る。


「今日は王都でございますから、おしゃれも歩きやすさも大切です。」


「ありがとう、クララ。」


「存分に休日をお楽しみくださいませ。」









「行ってまいります。」


玄関でそう告げると、お母様が優しく微笑む。


「楽しんでいらっしゃい。」


お父様も穏やかに頷いた。


「困ったことがあれば、遠慮なく知らせるんだよ。」


「はい。」


その横で、ルシアンが腕を組みながら真剣な表情を浮かべている。


「本当に大丈夫か?」


「お兄様。」


リリアーナは思わず苦笑した。


「ただ街を歩くだけです。」


「それでも心配なんだ。」


すると、お母様がくすりと笑う。


「ルシアン、リリアーナには素敵なお友達も、エリアス殿下もいらっしゃるでしょう?」


「……それはそうですが。」


納得しきれない様子のルシアンに、お父様も笑みを浮かべる。


「今日は妹を信じて送り出そう。」


ルシアンは小さく息をつき、それでも優しく笑った。


「……楽しんで。」


「はい!」


リリアーナは嬉しそうに手を振り、馬車へ乗り込んだ。







待ち合わせ場所には、リリアーナが一番に到着した。


「少し早く着いてしまったわね。」


噴水のそばで景色を眺めていると、聞き慣れた声が聞こえてくる。


「お待たせ。」


振り返った瞬間、リリアーナは思わず息をのんだ。


そこに立っていたのは、いつもの王子としての正装ではないエリアスだった。


白いシャツに濃紺のベスト。


その上から羽織った落ち着いた色合いのジャケットは、上品でありながら肩肘張らない雰囲気をまとっている。


濃いブラウンのズボンに革靴という装いは、街へ出かける青年そのものだった。


王冠もマントもない。


それなのに、その気品だけは隠しようがなかった。


(……素敵。)


思わず見つめてしまう。


その視線に気づいたエリアスが、少し照れたように笑った。


「そんなに変かな?」


「えっ……!」


我に返ったリリアーナは慌てて首を振る。


「い、いえ!とても……お似合いです。」


その言葉に、今度はエリアスが少しだけ頬を染めた。


「ありがとう。」


どこか照れくさそうな二人を見ていたフィンが、にやりと笑う。


「殿下、今照れましたよね?」


「フィン。」


「だって顔に書いてありますもん。」


その隣でヴィンセントが静かに頷く。


「……照れてる。」


「ヴィンセントまで。」


珍しく困ったように笑うエリアスを見て、一同から笑い声があふれた。


「ふふっ。」


リリアーナも思わず笑みをこぼす。


セドリックは穏やかな表情で一歩前へ出ると、


「それでは、今日はみんなで休日を楽しみましょう。」


と微笑んだ。


「賛成!」


フィンが元気よく拳を上げる。


こうして六人は、笑い声に包まれながら王都の街へと歩き始めた。


休日だけの、特別な一日が始まろうとしていた。

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