表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
100/144

第九十九話 休日の計画





いつものように中庭へ集まった一同は、休日の王都行きの話で盛り上がっていた。


「楽しみですね。」


オリヴィアが嬉しそうに微笑む。


「ええ。みんなで出かけるなんて初めてだもの。」


リリアーナも自然と笑みを浮かべた。


すると、隣で話を聞いていたセレナがふと首を傾げる。


「でも……。」


「どうしたの?」


「リリアーナ様もエリアス殿下も、そのまま王都を歩かれるのですか?」


その一言に、リリアーナは目を瞬かせた。


「そのまま……?」


「はい。」


セレナは小さく頷く。


「お二人とも、とても目立ってしまうと思います。」


「確かに。」


オリヴィアも苦笑しながら続けた。


「学園の中でも、歩いていらっしゃるだけで皆さん振り返りますもの。」


「えっ……。」


リリアーナは困ったようにエリアスを見る。


エリアスも少し照れたように笑った。


「……否定はできないね。」





その言葉に、フィンが大きく頷く。


「できるわけないだろ!」


「殿下なんて服を変えても殿下だし。」


「リリアーナもすぐ分かる。」


ヴィンセントが短く言う。



「そんなに?」


「そんなにです。」


セレナとオリヴィアの声がぴたりと重なり、一同から笑いがこぼれた。


オリヴィアは楽しそうに身を乗り出す。




「せっかくでしたら、少し雰囲気を変えてみるのはいかがでしょう?」


「雰囲気を?」



「はい。いつもより少し落ち着いたお洋服にして、お帽子をかぶったり……。」



「きっと素敵です。」


セレナも目を輝かせる。


「私、見てみたいです。」


「私も。」


 

オリヴィアも嬉しそうに頷いた。


リリアーナは少し照れながら笑う。




「ふふっ……そういうお洋服を着たことは、あまりないかもしれないわ。」


「でしたら、なおさら楽しみですね!」


オリヴィアの弾んだ声に、リリアーナも思わず頷く。


「帰ったら、クララに相談してみようかしら。」


「きっとクララさんも喜ばれます。」


その言葉に、みんなの笑顔がさらに広がった。


休日まで、あと数日。


その日を思うだけで、胸が少し弾むのだった。




✳✳✳✳✳✳✳✳✳



馬車がアルディス公爵家へ到着すると、玄関ではクララがいつものように出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ、お嬢様。」


「ただいま、クララ。」


リリアーナはどこか弾んだ声でそう答える。


その様子に気付いたクララは、小さく首を傾げた。


「何か良いことがおありでしたか?」


「実はね。」


リリアーナは嬉しそうに微笑む。


「今度の休日、みんなで王都へ出かけることになったの。」


「まあ!」


クララの表情がぱっと明るくなった。


「それは素敵でございます!」


「でも、そのままでは目立ってしまうから、少し普段とは違う格好をした方がいいって、セレナ様とオリヴィア様に言われたの。」




クララは一瞬きょとんとしたあと、納得したように何度も頷いた。


「確かに、お嬢様はどこへ行かれても人目を引いてしまわれますもの。」


「そんなことは……。」


「ございます。」


きっぱりと言い切られ、リリアーナは思わず苦笑する。


「ですので――。」


クララの瞳がきらりと輝いた。


「このクララに、お任せくださいませ!」


そう言うなり、足早に衣装部屋へ向かう。


「クララ?」




慌てて後を追うと、クララはクローゼットの扉を開き、一着、また一着と洋服を取り出し始めた。


「街歩きでしたら、こちらのワンピースも素敵ですし……こちらのお色でしたら、お嬢様の髪色にもよく映えます。」


「えっ、そんなにたくさん?」


「もちろんでございます。」


クララは真剣な表情で頷く。




「王都へお出かけになるのですから、歩きやすさも大切です。それでいて、お嬢様らしい上品さも忘れてはなりません。」


次々と並べられていく洋服に、リリアーナは思わず笑みをこぼした。


「クララ、休日まではまだ数日あるわよ?」


「だからこそでございます。」


クララは胸に手を当て、自信たっぷりに微笑む。


「最高のお出かけになりますよう、しっかり準備をさせていただきます。」


その言葉に、リリアーナはくすりと笑った。


「ふふっ……ありがとう、クララ。」


部屋には、淡い色合いのワンピースや帽子、小さなバッグが次々と並んでいく。


どれを身につけて王都を歩こうか。


そんなことを考えるだけで、自然と胸が弾んだ。


休日まで、あと数日。


リリアーナは、その日が訪れるのを心から楽しみにしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ