第五十六話 因果と星辰
目の前で父、ルキウス・アルランドが散った。
脳の処理が完全に追いついていないのか、悲しみで涙が溢れることはなかった。
ただ、辛うじて原形を留めていた下半身の肉片を抱き寄せ、その失われゆく温もりを必死に感じ取ろうとしていた。
「お父様……お父様……お父様お父様お父様お父様」
うわ言のように何度も呼ぶうちに、徐々に感情が現実へ追いつき、視界が涙で覆われていく。
「……シエロ!!」
セリナが後ろから、僕の震える身体を強く抱きしめに来た。
その温かさに押されたのか、心の奥底から声にならない叫びと涙が溢れかえる。
「シエロ!シエロ……!」
セリナはどう声をかけて良いのか分からない様子だったが、とにかくシエロの名前を何度も呼び、必死に落ち着かせようとしていた。
「あれ〜?後ろに居た死に損ないを狙ったんだけど、やっぱり君は暴れん坊だね」
魔族は悲しみなど一瞥もせず、冥竜を吸収した自身の不気味な杖に向かって、まるでペットをあやすように話しかけていた。
「おい、レガード。小娘から宿縁具を持ってこい」
「え、宿縁具を?」
「いいから早く!」
セレスティアは、静かだが恐ろしいほどの怒りを孕んだ声で命じた。
レガードはすぐにセリナの足元に転がっていた青と金の宿縁具を手に取り、セレスティア様に渡した。
「セレスティア様、こちらを」
セレスティアはレガードから宿縁具を受け取った。
「怒ってるの?まさか、七柱が主以外の生死に感情を動かされるとはね。変わったね、女王も」
「貴様ら魔族には、到底理解出来ないだろうな」
「フフッ……どのみち私の用は済んでいる。けど、この場に宿縁具が二つある以上、それだけは破壊させてもらうよ」
魔族は杖を軽く一振りした。
瞬時にセレスティアは、紫陽盾を全員の前に展開する。
バァリィィィンッ!
紫陽盾が、まるで見えない衝撃波によって一瞬で粉々に破壊された。
「見事ね。女王には見えてるのね」
「おい、そこの男。貴様が手に持っている宿縁具』をこちらによこせ」
セレスティアはそう叫ぶと、手に持っていた青と金の宿縁具を、吹き飛ばされてきた謎の男に向かって思い切り投げ渡した。
「あ、あんたは、万象の女王の……」
「いいから、私達の宿縁具を向こうに渡すのよ、ケテラ!」
「ちょ……お前!」
女は、ケテラと呼ばれた男が持っていた紫と金の宿縁具を強引に奪い取り、セレスティアに向かって力いっぱい投げた。
それを阻止しようと、魔族は杖を振り、空中の宿縁具を破壊しようとする。
「させないよ……!?」
「悪いが、少し大人しくしていてくれ」
セレスティアは、天陽縛の光の楔で魔族を拘束する。
その隙に、空を切って飛んできた紫色と金色に輝く宿縁具が、無事にセレスティアの手元へと届いた。
セレスティア様は直ぐに、それをセリナに渡した。
「小娘。今度こそ、この宿縁具に縁を込めろ」
シエロを慰めていたセリナは、セレスティアから新たな宿縁具を渡されたが、状況を完全に把握しきれていなかった。
「セレスティア様……私は原初の子じゃなかったのよ。それに、今はシエロが……」
「違う。先ほどの宿縁具は、ただ貴様と縁の都合が無かっただけだ。これは、また別の宿縁具だ」
セリナは受け取った宿縁具をじっくりと見つめた。
「……分かったわ」
セリナは一度、シエロを見て強く頷き、宿縁具に自身の縁を注ぎ込んだ。
すると、宿縁具は強く眩い光を放つ。
それと完全に同時に、反対側でも同じように強烈な光が解き放たれていた。
◆セリナが宿縁具に縁を注ぎ込む二分前
「ちょっとケテラ!その宿縁具、私に貸しなさい!」
「は?ちょ、あんまり引っ張るなよ!」
女は男から青と金の宿縁具を奪い取り、躊躇いなく自身の縁を注ぎ込んでいた。
二つの光が、薄暗い洞窟内を瞬時に白く塗り潰す。
そして、物凄い密度の縁が洞窟内だけではなく、北の国全体の大気へと解き放たれた。
光が収まり、セリナが目を開けると。
目の前には、セリナと同じ位の小柄な体形で、黒と紫で彩られたゴシック調のドレスを着た少女がいた。
幾重にも重なったフリルは豪奢でありながら、どこか不気味で絶対的な美しさを漂わせていた。
「ん〜。久しぶりに解放されたわねぇ〜。それにしても、この私を呼びだした主は誰かしら?」
一方、もう一つの宿縁具を解放させた女の前には……。
「やっと、この地で再び星を眺めることが出来る。……俺を呼んだ主は君かな?」
白を基調とした軍装風の礼服に身を包み、夜空のような青いマントを羽織った壮麗な青年が現れていた。
「私よ……」「私よ!私私!」
セリナと女は、それぞれの目の前の存在に答えた。
答えを聞いた二人は、主に対して名を名乗った。
「私は、原初の七柱の一人。因果の断罪者こと、ネメティアよ!この私を呼んだ事は褒めてあげるわ」
「俺は、原初の七柱の一人。星辰の支配者アルデリオだ!またこの地で星を眺めれる事に感謝する」
二人の七柱が同時に、この世界に再び現界を果たした。
「あ、あなたが、私の七柱……」
「随分とちっさな小娘が私の主なのね。ちゃんと私のために戦えるのか、しんぱーい」
ネメティアは、セリナを上から下までよく観察し、色々と思う事を隠さずに全て口に出していた。
「黙れ。今はそれどころでは無い異常事態だと、分かるだろ」
「げッ……セレスティアまで居るの……。てか、なんであんなヤバい魔族がここに居るの!?」
「久しぶりだな、セレスティアにネメティア。突然だが、俺たちはあいつを殺せばいいんだな」
アルデリオは周囲の惨状を見て、既に状況をある程度把握していた。
「はぁ?アルデリオ、あんたもう状況を理解したの!?意味わかんない!」
「どうもこうも、目の前に拘束されているのは、魔族の頂点である六皇神の一柱、魔皇神ゼルキュリアだ」
ゼルキュリアは、自身の前に七柱が三人も集結したというのに、ただ楽しそうに笑っていた。
「フフフ……まさか、こんな辺境の地に主が運よく集まっているとは想定外だったわ。ま、あなた達と今ここで争う必要は無いし、そろそろこの楽しい宴会から引かせて貰うわ」
セレスティアの光の拘束が、パリンと音を立てて砕け散った。
「おい、待てよ」
僕は、絶対に許さなかった。
起きた残酷な出来事を、父の死を、全て無理やりに飲み込んだ。
今の僕の頭の中には、ただ一つ。
あの薄ら笑いを浮かべる魔族を殺す事しか無かった。
「フフ……君とはまた会えそうね」
魔族の無邪気な声を聞けば聞くほど、臓腑を煮え滾らせるような怒りが溢れでる。
こいつら魔族は、他者の死に対して何も思わない。
命をただの遊戯の道具としか見ていない。
ならば、殺してその身に分からせるべきだ。
「……死ねよ」
僕はただ、目の前の魔族を殺す事だけを鋭くイメージし、手にした杖を無造作に振った。
放たれたのは、断絶の様な斬撃だったが、少し違った。
橙の光を放ちながら、セレスティアような稲妻を纏っていた。
その斬撃の速度は、七柱でさえも集中しないと回避が困難なほどの、異常な速さだった。
「……!?」
ゼルキュリアの表情から余裕が消えた瞬間。
その身体は真っ二つに両断され、更に切口から橙の稲妻が弾け、ゼルキュリアの身体がが激しく爆散した。
「まさか……もうそこまで来ているか!?」
セレスティアを含め、その場にいた全員が、シエロの放った異常な魔術を感じ取っていた。
「フフフ……フハハハハハ!まさか、そんなに凄まじい魔術も唱えられるのね!凄いね!感心するよ!」
だが、爆散したはずの肉の片鱗が空中で一点に凝縮し、ゼルキュリアは何事もなかったかのように瞬時に元の姿へと戻ってしまった。
僕は直ぐに次の魔術を放とうとしたが、それよりも早く、ゼルキュリアが僕の目の前、鼻先ほどの距離に立っていた。
その表情は底知れぬ不気味な笑みを浮かべ、まるで僕の魂の奥底まで見透かしているようだった。
「あなたは殺さないわ。あなたが持っているその杖……私の子と、とてもよく似ているから。またね」
何を言っているか全く分からない。
とにかく至近距離から攻撃を叩き込もうと思ったが、ゼルキュリアから放たれる絶対的な威圧感の前に、僕の身体は悔しいことに指一本すら動かすことができなかった。
「逃がすか」
セレスティアが剣を振り、斬撃を飛ばす。
それに続き、ネメティアとアルデリオも一斉に攻撃を放つが、ゼルキュリアが展開した謎の魔術によって三人の攻撃はいとも容易く跳ね返され、氷山の上空の氷壁へと逸らされて炸裂した。
「じゃあね、七柱の皆さん。また、近いうちに会いましょう」
そう言い残し、ゼルキュリアは空間に溶け込み、どこかへ消えていった。
呼吸器官に張られた膜が破れる様に、大きく息を吸い込んだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「シエロ!大丈夫?」
セリナはいつも優しい。
こんな絶望的な状況だっていうのに、僕の視界はどんどん薄れていく。
魔力の枯渇と、精神的な限界なのだろう。
そんな彼女の温もりに、僕は身を預け、そのままゆっくりと目を閉じた。
「セレスティア。突然で悪いのだが、状況を説明して欲しい」
「そう急ぐなアルデリオ。まずはここを出るのが先だ」
セレスティア様は上を見ていた。
「ゼルキュリアの奴め……」
ピキ……ッという嫌な音と共に、氷山全体が崩れ始めていた。
「早く出ないとまずそうね。主よ、そいつはセレスティアに渡して、まずはここから出るのが最優先よ」
「え、あ、うん……分かったわ」
セリナは、シエロをセレスティアに引き渡した。
それからは、この巨大な地下空間が完全に崩れ落ちる前に、皆で脱出を行った。
洞窟内の氷壁は轟音と共に崩れ落ち、元々ここには空間など存在していなかったかの様に、分厚い氷で全てを埋め尽くした。
ザクザクと、硬い雪を踏みしめる音が聞こえる。
ゆっくりと目を開けると、僕はセレスティア様に抱えられていた。
「こ、ここは……」
「目を覚ましたか、シエロ」
「す、すみません!すぐに降りますので……」
「……あと少しで着く。それまでは、私が運んでやる。大人しくしていろ」
「あ、ありがとうございます」
セレスティア様の背中は不思議なほど温かく、自然と心地が良かった。
周りを見ると、知らない方々が沢山いた。
いや、知らないと言う訳ではなく、あの時は頭が真っ白になっていたから、正確にはあまり覚えていないのだ。
ただ、前を歩いている二人が、新たな七柱だと言うのは直ぐに分かった。
一番前には、レガードさんにおぶられているネネさんも居る。
男の人と何か会話をしている様子も見られ、体調も安定している事が確認出来た。
だけど、周りを見ても、どこを探してみても、ベンジャンさんと父の姿は見当たらなかった。
「シエロの父は残念だった。あの場に私が居ながら、ゼルキュリアを止められなかった」
「いえ、あの魔族の魔術は、僕の目で追えるようなものではありませんでした。何をされたかも……」
「ゼルキュリアは六皇神の一人。魔皇神と呼ばれている。簡単に言えば、魔族の頂点だ」
(魔族の頂点……セレスティア様の特訓で強くなったはずだが、洞窟内では手も足も出なかった……)
もっと、強くなるしかない。
僕は冷たい風の中で心に決めた。
「でもどうして、同じ魔族同士なのに、ゼルキュリアはサマエルを殺したのでしょうか?」
「知らん。奴らは魔族だ。我々とは根本的に思考が違う」
「そうでしたね……」
(正直、こうして頭を使う会話をしていないと心が持たない。少しでも、あの現実から逃げようとしているのが、自分でよく分かる)
そう話しているうちに、レガードさんの屋敷に着いた。
僕はセレスティア様から降りた。
足を地に付けた時、力が入らず少しだけふらついてしまった。
それからは、誰も口を開くことはせずに各自、これから話し合いを行う為の行動をした。
荷物を解き、身体の汚れを拭き、大きなテーブルの席に座る。
レガードさんの屋敷に居るメイドの様な人物、いやメイドにしよう。
メイドが、温かい飲み物を人数分テーブルに並び終える。
「では……」
「まずは、自己紹介からかしらね!」
レガードさんが場を仕切ろうと口を開いた瞬間。
それに被せる様に、ゴシックドレスのネメティアが立ち上がり、大声で口を開けた。
「私は七柱の一人、因果の断罪者こと、ネメティアよ!この世界は全て因果よ。私がこうして、またこの地に戻れたのも素晴らしい因果!」
(因果……お父様も、ベンジャンさんの死も……因果だったというのか……)
セレスティア様は心底呆れた表情だった。
なんとなく、セレスティア様がネメティアの事を苦手だと言っていた理由が分かる。
ネメティアは、隣に座っているセリナをジッと見ていた。
その視線を受け取ったセリナは、自分の番だと察して立ち上がった。
「私はセリナよ。セリナ・ベルギア……いえ、セリナで良いわ!」
セリナは彼女らしく、堂々と腕を組んで自己紹介を終えた。
「随分と強気で元気な主ね。私とあなたは因果で繋がっているの。私より先に簡単に死ぬことは、許されていないわ」
「勿論よ。……その為の努力は惜しまないわ」
セリナの後は、まだ顔色の悪いネネさんがゆっくりと立ち上がった。
「ネメティア様。私の名前はネネ・エルメイトと申します。因果の従者でございます」
ネネさんは、右手を胸に当てて深くお辞儀をした。
それを見たネメティアは、満足そうにニヤリと笑った。
「ハッハッハッ!そうか、お前が私の従者か!主も従者も、私のおかげか随分と美貌じゃないの!」
「相変わらずだな、ネメティアは」
「フン、お前も相変わらず澄ました顔をしている」
次は、軍装に青いマントを羽織った青年が静かに立ち上がった。
「改めて自己紹介をさせていただこう。俺の名前は、星辰の支配者、アルデリオと申す。またこの地で、星を眺められることに感謝するぞ」
アルデリオはネメティアと違い、礼儀正しく落ち着いている。
「君が、俺の主で良いんだな?」
「そう!!」
ガタッ!と大きな音を立てて勢いよく立ち上がったのは、オレンジ色の髪が肩まで伸び、少しツリ目で笑うと猫の様な愛嬌のある顔だちをした女性だった。
「私があなたの主!スピカ・ティリアよ!そして、こっちが私の従者であり幼馴染のケテラ!」
そう無茶振りのように紹介されたケテラと呼ばれた青年は、困ったように頭をかきながら立ちあがった。
「俺がお前の幼馴染なのは事実だが、お前の従者ではない。……俺は、星辰の従者、ケテラ・デレミード。よろしくお願いします」
「うん、仲良しな主と従者で何よりだ。では、次は……」
アルデリオはシエロの方を見たが、下を向き、テーブルの一点を見つめて硬直していたので、無理に声をかけなかった。
セレスティアが、シエロの頭の上に優しく手をポンと乗せた。
「こいつはシエロ・アルランド。私の主だ。見ての通り、シエロは今、非常に不安定な状態だ。しばらくはここで世話になるが、いいか?」
セレスティアはレガードの方へ視線を向けた。
「はい、問題はございません」
そう言うと、レガードが立ちあがった。
「申し遅れました。私は、このイースラントの村の長を務めているレガード・リンペントと申します」
「えぇ!?あなた、イースラントの長だったの!?もしかして、あのクエンティアはもう居なくなっちゃったの!?」
「私は六十代目ですので……」
「という事は、あれから五十代も時代は進んだのね……」
イースラント十代目の長、クエンティア。
それは、唯一ネメティアと良心的な関係を築いていた人物。
「あの時から、ここは本当に変わったねぇ」
「今は、お前の昔話に付き合っている暇はない」
セレスティアは、しんみりしたネメティアに厳しく声をかける。
「ほんっと!うるさいわね。あんたの主の状況なんて、私には関係ないのよ!」
ネメティアの反発に対して、セレスティアはレガードさんに、シエロを部屋へ連れて行くよう頼んだ。
セレスティアの配慮により、シエロは用意された静かな客室に戻り、一人ベッドの上で安息を取ることになった。
***
どの位、眠ってしまっていたのだろう。
目の周りが、カピカピに乾燥している。
「ゲホッ、ゲホッ……」
喉も乾燥して痛い。
とても喋れたものでは無かった。
テーブルに水が用意されていたので、僕は起き上がってその水を飲んだ。
ガチャ。
部屋の扉が開いた。
「あ、シエロ。目を覚ましたのね」
「セ……ゲホッ……」
「無理に喋っちゃ駄目よ。ちょうど、フルーツを持ってきたから食べなさい」
セリナは、小さくカットされて綺麗に並べられた赤いフルーツの皿を僕に渡してくれた。
僕はそれを受け取り、一つ口に含んだ。
あまり甘くはない。
ほとんどが水分の果実だった。
だけど、カラカラの喉にはちょうど良かった。
「シエロ……寝ている時も、ずっと泣いてたわよ。どう?今は落ち着いた?」
僕はこっそりと自分の喉に治癒魔術をかけた。
「はい……。今は少し落ち着きました」
「そ、それは良かったわ……」
セリナは、僕のベッドの横にチョコンと座った。
お風呂上りなのだろうか、彼女から少し甘くて良い匂いがした。
「今は、皆疲れを癒すために休んでるわ。明日は、皆の葬列をして……今後の方針を話そうって」
「そうですか……」
「その、シエロ」
「なんでしょうか」
「ちゃんと、最後まで向き合うのよ。私は……シエロの前衛として、これからもずっと傍に居るつもりよ」
セリナは、潤んだ真っすぐの瞳で僕を見ていた。
少し頬を赤く染めていたが、僕はその力強い言葉に、心が少しだけ軽くなった気がした。
「お、シエロ。目を覚ましたか」
「セレスティア様」
「小娘よ。お前の柱が騒々しくお前を呼んでいたぞ。早く行ってやることだ」
セレスティア様はそう言うと、部屋のテーブルに腰を掛け、窓の外を眺めた。
「分かったわ……」
セリナは名残惜しそうに立ち上がった。
「シエロ……また後でね」
そう言って、セリナは僕の部屋から出ていった。
セリナのあんなに女性らしい態度は、初めてだった。
「あの小娘は、シエロに興味津々みたいだな」
「ちょ……ゲホッ……セレスティア様!?」
「なんだ?恥ずかしいか?」
セレスティア様は、悪戯っぽく凄くニヤリと笑っていた。
「今の僕をからかうのは、セレスティア様だけですよ……」
「フン、からかってなんか無いさ。前の主は、行く先々で女房を沢山作っておったからな」
「え?」
(女房を沢山!?この僕の前世が……!?)
「え〜と……前の主は凄いですね……。一体どんな性格だったのですかね……」
「それを少し話そうと思ってな」
「女房の作り方を、ですか?」
セレスティア様は少し、いや、結構呆れていたかもしれない。
「……前の主がどんな人物だったのか。それと、お前の杖に付いてだ」
「前の主と、僕の杖ですか?」
僕はセレスティア様から、過去の主。
つまり、過去の自分についての話と、あの杖の秘密についてを聞くことになった。
読んでいただきありがとうございます。
良ければ評価の方をしていただければ、嬉しいです。




