126話 雪の中で
遊園地から雪が降りつもる森に風景が変わる。
夕方だし月ほどではないがとても寒い。
さきほどまで俺がいたはずの遊園地は少なくとも雪がつもっていた形跡はなかった。
「何が起きてるんだよ……」
「本当にね」
「ホンイツも何でいるの?」
「君と【スキル:ドール マリオネット】の糸で繋がっていたから」
確かに吹き飛ぶような移動をしただけなら繋がったままの俺たちが同じ場所にたどり着くのは分からなくはない。むしろいてくれて助かった、俺1人だと心ぼそいもん。
「いつもの鞄はレイニーが持ってるからスキルカードもねぇな」
「多分グレイスノウかボルトシメ……人のいなさからしてグレイスノウかな」
「スキルでこうばびゅーんと戻れないか――いや吹雪!!」
天気が急に悪くなって雪と風が襲い掛かってきた。
寒さよりも視界の悪さが尋常じゃない。何にも見えない。
「【スキル:ドール スノウゴーレム】」
「おぉ!?」
雪で作られたゴーレム(全体的にひらべったい)が風と雪から身を守ってくれた。
こんなに大きなゴーレムが作れるホンイツって本当は強いかもしれない。
と、いうか絶対強いのは分かってたのだが出会いの印象って強烈だよな。
「温めたら雪だと溶けちまうな……でも」
「何する気?」
「【スキル:コンロ】とりあえず暖とらないと俺が死ぬ!!」
俺だけのことなら今までそんなに――だったのだが。
レイニーの身体が最終決戦前に欠損してしまう、しかも大事なところ。
そんな最終回は嫌だ。
「【スキル:ドール ストーンゴーレム・召喚】」
石のゴーレムが3体召喚され小屋の変わりになった。
雪と違って材料がないものは多く(100体とか)は召喚できないそうだ。
でも、二人入るには充分の大きさである。大きすぎても暖が取りにくくて寒いし。
「フレンドスキルがこない時点でレイニー側にも何かあったね」
「暴走してないといいけど」
「カドマツの無事は分かっているし、本気で暴れていたら星が滅んでいるよ」
「それもそう」
コンロだけだと温かさが足りないのでそこらへんの薪をあつめて焚き火。
今いちばん心配なのは俺の尻――ではなくレイニーの他にいたメンバー。
特にパンジーさんは別に強くはないと本人も言っていた。
ホンイツはこの状況で尻なんか狙うようなバカではない、そもそも俺の予想だがこいつに本来、男に手を出すシュミはない。
そういう店を何軒も周った俺の目はごまかないぞ。
「朝にならなきゃ帰れそうもないな」
「【スキル:ろくろ】水はないけど雪はあるから――スープにはできるな」
スキルで土鍋や他にもコップ、かきまぜたりすくったりできるおたまなどを作る。
おたまにろくろいらないとか言わない。
なんでか形成できるからもうOKなんだ。
ゲームでもフライパン一つで何故かアイスクリームができることがあるからな。
「なんのスープ作るつもり?」
「おしるこ」
「それスープなの……?」
【スキル:小豆】で召喚し収穫。
かき氷で甘い氷を出して一緒に煮詰める。
特性おしるこの完成。
「飲んだら寝ちまうか――疲れたし」
「トラウマだせる?」
「【スキル:トラウマ】」
「【スキル:ドール 操縦 入り口を見張れ】」
ガオヒーン。気の抜ける鳴き声。
俺は【スキル:ラップ】を俺とホンイツにかけて眠り始めた。
朝、寒くて目が覚めた。
「起きたのか」
「寝れた?」
「いいや、火の見張りしてたからね」
「……今度は俺が見張るから」
朝日が昇り初めているが何にせよ俺が1人で動けることはない。
ホンイツはトラウマを枕にして仮眠を始めた。
俺が吹き飛ぶ瞬間にレイニーが間に合わなかった理由なんかを考える。
【スキル:テレポーター】の瞬間移動でエクスチェンジという物体を#入れ替える__・__#という技なら確かにレイニーが助けようと俺に手を伸ばした時には俺はもうココだ。
でも、万が一そういうことなら主犯はティラノになってしまう。




