125話 遊園地ダンジョン8
「――よし、これで全部のアトラクションクリアだな」
「意外に早かったわね」
「ウルフ戻らねぇなぁ」
「くぅ~ん」
まだ完全に犬、そうだ『変身』なら。
「【スキルカード:変身】で――」
「元のウルフさんに戻すのは難しいです」
「せめて人間に戻せない?」
「カドマツ様と同じ姿にする、ということならできます」
俺が二人になった。見た目という意味だがあんまり違和感がない。
というか俺はこの世界へきた瞬間に代わった身体に未だに馴染めずにいる。
知らん人が増えたような錯覚。
「おぉ!?助かった!!」
「でも、これ長持ちしませんが」
「賞味期限ぎれが近い生菓子みたいだな……」
『パーフェクトクリアの報酬は――【スキルカード】です!!入り口の宝箱にあるよ!!』
園内放送(?)で宝を持っていけと催促がきたので皆が入り口に集合した。
すると、サカネさんが戻ってきていた。
何でも朝食をすませたが、このダンジョンの難易度からして怪我人が出るかと心配してきてくれたそうだ。おもに俺が怪我していないか心配で、らしい。
「怪我人とか出てへんな?」
「大丈夫ですよ、何も起きてないです」
ただし俺は下半身がパンツ1枚である。
怪我人ならいない、俺がこういう役回りになるのはいつものことなのでスルーで。
それよりお宝である。
「アタシが行くわ、何があってもアタシなら死にはしないでしょうし」
「そうやな、でも無茶はするんやないで?」
「馬鹿ね、もうサカネは家族のことだけ考えてればいいわよ」
「そんなんできたら苦労せんわボケ……大切な友だちの心配ぐらいさせたらんかい」
女性の友情って男とは違った良さがあるよな。と、俺の感想はともかくお宝である。スキルカードが入っているらしいが今はズボンが自動で作れるスキルカードとかが欲しい。
「あら、普通にスキルカードね」
「なんのや?」
「えっと――タイムカード!?」
全員が嘘だろ? という反応した。
え、この遊園地シフト制なの?
時給は1000マルぐらいだろうか。
「何やて!?」
「クリアして良かったわ! !こんなもの悪人――いや、善人にだって渡せないわよ!!」
「うおおおおお!? 海賊やってたから珍しいもんは見ること多かったがタイムの現物は初めてだな!!」
「燃やしてしまうか安全な箇所に置くか……どっちがいいかしら」
「過去をかえられでもしたら厄介やで!?」
「全部燃やしたと思ってたけど――数百年ぶりに見たわね」
俺が思っているタイムカードじゃないなコレ。
どうやら時間を操れるとびっきりのスキルカードらしい。
まぁ、リアルにタイムカード宝箱に入れられたら従業員はすげぇ困るだろう。
そんなことになればブラック企業もビックリの奇抜企業だ。
「なぁウルフ、カミノの城に未来からきた少年――いたよな?」
「レイニーに手紙を渡して消えた奴な」
「最終的にあいつに渡る必要ってあるとおもう?」
「……私が預かります」
レイニーの発言に戸惑う感じはあれど〈ハクアに挑むのに使う〉という条件で遊園地ダンジョンは幕を閉じた。
「みぃつけた」
誰の声か分かる前に俺は何者かに掴まれていた。




