コーテーのジレンマ
チコは、メアリーの親友だと言う。
出来るだけ、メアリーの本当の現在の様子を知らせてあげたい気持ちはある。
だけど、屋敷でも情報が洩れると、勇者として召喚されたり、調査のために人がきたり、色々とめんどくさい。
めんどくさいだけならばいいけれど、今の生活が壊されるのだけは避けたい。
折角手に入れたニート生活。
このだらだら生活を全力で守らないといけない!
当然、メアリーは絶対に手放さない!
あんな天使みたいな超絶美少女が近くにいてくれることなど、もう未来永劫ないのだ。
絶対に今の生活を守る!
究極を言えば、チコは、城に帰って報告を依頼されたときに「何も変わりなかったです」と顔色一つ変えずに答えてくれればそれでOKなのだ。
いつまでも、何とかなるとは思っていないけれど、今はこれで何とか切り抜けよう・・・
■村の開墾と耕運機
村に食料を寄付するがてら、配給して、散歩デートしようという計画をもっている。
あわよくば、手をつなぎたいところなのだけど・・・
「準備できた?」
「はい、お待たせしました」
・・・ちょっと待て、手をつなぐときは、「手をつなぎましょう」とか言うのか?
それとも黙って手をつなぐのか?
メアリーが驚いて、振り払われた日には精神的ショックが大きすぎて3日は寝込むレベル。
「いい天気ですね!」
「ほんとだな」
いいのか!?
こんな天気の話しかしない、老夫婦みたいな会話で!?
もっと、若者っぽい、キャッキャウフフな会話はないのか!?
横に並んで歩ている時に小指がかする程度触れ、お互いを意識して、手をつなぐ・・・いやいや、ダメだ。
そもそも、かするのが難しい。
ぶつかったら、メアリーが痛がるに違いない。
「メアリー!」
「はい、なんですか?コーテー様」
「その・・・いい天気だな」
「そうですね」
ノーーーーー!!
狭い道で、向かいから馬車が来たようだ。
「メアリーこっちにおいで」
メアリーを側道側に引き寄せ、自分が馬車側に移動する。
気付けば、手をつないでいた。
メアリーを見たが、ニッコリ笑顔で返されてしまった。
村までは、そのまま手をつないで歩いた。
もう、今日のミッションはコンプリートだ。
今すぐ帰ってもいいくらいだ。
でも、まだ、散歩デートが残っているからがんばろう。
いつもの広場に近づくと、もう村人が待っている。
「メアリー様!おはようございます!」
「おはようございます」
「女神さま!おはようございます!」
「もう、ウルタさんったら、女神さまはやめてください!」
「女神のお姉ちゃんおはよう!」
「テト、おはよう!」
今日もメアリーは大人気だ。
喜ばしいことだ。
とりあえず、今日も広場で食材の配給だ。
多少面倒だが、1回に3日分を手渡しで配布している。
以前まとめて納めたら、食材が足りなくなったのだ。
村人のうち誰かがたくさん取っているのか?
それにしては、なくなる量が多すぎる。
毎日来ると大変すぎる。
1週間分でもなくなる。
そこで、間を取って3日ごとに配給をすることにした次第だ。
どこの世界でも自分勝手な人はいるものだ。
それでも、ちゃんと食べていけるようになれば問題は解消していくだろう。
「あれ?今日も村長さんはいらっしゃらないのですか?」
「すいませんね。今日も食料の確保にとなり町に行ってまして」
村長とは結局、全く会えていない。
なんだかんだでいつも不在なのだ。
本当に実在の人物なのか、疑い始めている。
まあ、冗談だけどな。
「何か用事でしたか?」
「ああ、屋敷に行く途中に原っぱがあるじゃないですか、あそこを畑にしたいなって」
「原っぱ?あのだだっ広いところかね?何にもない」
「そうです」
「あそこは誰の土地でもないし、畑にするは問題ないけどね・・・」
「なにか、問題が?」
「最近、あそこで火の柱が上がったり、雷が頻繁に落ちたり、異常現象が多いみたいなんだよ」
それは、きっと俺だ・・・精霊王たちと特訓してたし・・・
「それは、もう起きないんじゃないかな?畑にしたら・・・」
「どんな原理なのか、分からないけど、とにかく土地は大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
とりあえず、場所は確保した。
早速耕して、畑にするか。
この日の配給を終え、コーテーとメアリーは例の原っぱに行くのだった。
・・・
道中、メアリーに、原っぱを耕して畑にする計画を伝えた。
作る作物は、ジャガイモとか、ニンジンとか、作りやすいものを選んだ。
主食として考えるならば、小麦もいるだろう。
米は、次のステップとして、ペンディング。
そうしているうちに、例の原っぱに着いた。
屋敷と村長の家のちょうど中間位に位置している。
「なんかちょっと見ない間に、草とか、木とか、なくなってさっぱりしましたね、ここ」
「そ、そうだな」
色々と特訓の結果、残念な場所になってしまっていた・・・
「コーテー様?ちょっと見ないうちに、大変なことになってません?ここ」
「ちょっとやり過ぎたかも?」
「な!なにしたら、こうなっちゃうんですか!」
「俺に憑いている精霊と練習をしてたら・・・」
「コーテー様にも精霊が憑いていたんですね、属性がないと言われていたのですが、勘違いだったのですね。それにしたってこれ・・・」
「コーちゃん呼んだかしら?」
「あ、いま話題になっただけだよ」
「え?誰と話されているのですか?」
「精霊のグノームだよ、ちょいちょい甘やかしてくるんだ」
「へー、精霊が・・・って精霊の声が聞こえるのですか!?」
「聞こえるどころか、メアリーのすぐ横に・・・って見えないんだっけ?」
「横って・・・わっっ!ひ、ひと!?」
「あ、見えた?」
「言われた瞬間目の前に現れました!」
「どうなってるの?」
「そりゃあ、そうよね、四六時中一緒にいるんだもの、段々見えるようになってきちゃうわよ」
「そんなもんなのか、霊能者と一緒にいると段々霊が見える的な?」
「たとえはよくわからないけど、多分それで合ってるわ」
「じゃあ、改めて紹介。精霊のグノームだよ」
「グノシーよ」
「これはご丁寧に、私はメアリー・・・ってグノシー・・・さま!?地の精霊王様と同じお名前・・・?」
「そのグノシーよ」
「えー!!コーテー様!精霊王様とご契約を!?」
「契約はよくわからないけど、魔法の練習を見てもらってる」
「精霊王様と直接って・・・この世がひっくり返るくらい大変なことですよ!!」
「そうなの?」
「どうなのかしら?あんまり人間の世の中には興味がなくて・・・」
「わたくしも精霊王様をこの目で拝見できるなんて・・・身に余る光栄です!!」
メアリーがちょっとパニックだ。
「この調子だと、私が出たらもっと驚いちゃう?オンディーヌだよ?」
「ええーー!!水の精霊王様!?この上、水の精霊王まで!?」
「あ、私も見えちゃった?」
メアリーが既に倒れそうだ。
後ろから支えてあげる。
「ボクは!?ボクは!?ルミニスだよー!」
「ルミニス様!?光の精霊王様!?」
「ちょっと、ちょっと、この状態で出てきたら、この子倒れちゃうでしょ!?」
「赤い髪は、もしかして、サラマンダー様!?」
「一人だけ見えないと寂しいから出てきたんじゃないからね!」
「(なんだ、寂しかったのか)」
「ん、シルフ」
「!!!」
もう、メアリーは声も出てないな。
そろそろ限界かな?
「私は・・・見えなくても・・・」
「あ、テネブレもいるけど・・・」
あ、もう聞こえてない。
メアリーは色々と限界みたいなので、原っぱの横の方で寝かしておいた。
何となく、6人全員出てきちゃったし・・・
「よし!これから耕運機・・・っていうか、人が乗れるくらいのトラクターを出します!みんな手伝って!」
「危なくない?コーちゃんケガしない?」
「あんたの言うことなんか聞くわけ・・・どうしてもって言うなら・・・」
「ん、トラクター知らない、楽しみ」
「ボクの出番もある―!?」
「頭の中を・・・見せてもらえたら・・・」
スマホで調べると、「耕運機」だと、ハンドルを持って、人が付いて回るタイプのが出てくる。
ここの原っぱはめちゃめちゃ広いから、アメリカとかで使うようなデカいトラクターを出したい!
根切りをして、ついでに耕すことができるようなやつ。
「みんな、イメージついた!?」
「ん」
「だいだい」
「じゃあ、せーの!」
『ドーン!』
目の前に大型トラクターが出た。
タイヤだけで、コーテーの身長くらいはあろうかというトラクターが出た。
コーテーは、トラクターに乗り込み、動きに関して各精霊たちと微調整をしつつ、さっそく地面を耕し始めた。
乗ってしまえば、車とそれほど変わらない。
速度が遅い分、乗りやすい。
本物もそうなのか知らないけれど、コーテーは調べた範囲と、自分の知識・経験を詰め込んで出来たのがこのトラクターだ。
「ねえ、ねえ!これもっと速く出来ないの?」
「速い必要ないだろう!安全が一番!」
「そうよ、ケガでもしたら大変よ、ルミニスちゃん」
「じゃあ!ボクも運転してみたい!したい!」
「じゃあ、代わってもらおうかな」
根切り+耕し機(1号機)は、ルミニスに渡した。
もう一台、耕運機+肥料混ぜ機(2号機)をだして、耕したところを追いかけて、肥料を混ぜていく。
こんなトラクターを2台も・・・普通の農家だったらコストが合わないだろう。
異世界ならでは、コーテーならでは、と言うチート農業だった。
「やっとく」
「お、ほんと?じゃ、こっちはシルフお願い」
コーテーは2号機をシルフに任せて、3号機ともいえる、種まき機(3号機)を出して、タネをまいて行った。
「よし!タネまで撒いたら、次は水!オンディーヌ!この辺一帯に少しだけ雨を降らしてくれ!」
「もー、めんどくさいわね~。がっつり魔力もらうわよ!」
魔力と引き換えに、水まで撒いてもらえた。
種まきの後に水を撒くとあまり良くないという噂も見たので、精霊さんに雨を降らしてもらった。
種まき直後に雨が降ることもあるだろうから、これでいいのだ。
屋敷の花壇では、翌日には花が咲いてた。
この野菜たちもで、2~3日で花が咲くとこまで行くかも。
数日で収穫できるかもしれない。
そろそろ、メアリーも目を覚ますかな?
みんなでメアリーを起こしに行く。
寝ているメアリーの頭の上から声をかける。
「メアリー、おはよう。」
「ん・・ん・・・、コーテー様?おはようございます。変な夢を見ました・・・」
目を覚ましたメアリーには、頭の上にコーテーと6人の精霊王たちが頭を並べている状態。
「あ、夢じゃなかったです」
ひと仕事終えたし、ゆっくりお茶でも飲んでから帰ることにした。
「精霊どころか、精霊王様が見えるようになったのは衝撃でした・・・」
「メアリー火属性魔法が使えるんだったら、サラマンダーに練習してもらったら?」
「そ、そんな恐れ多いです!」
「あんたが魔力をくれるなら、見てあげないこともないわよ?」
「サラマンダー、頼むよ。」
「どのくらいまでできたらいいの?」
「いま、メアリーは、種火が起こせるくらいなので・・・雨が降らせるように!」
「あんたばっかじゃないの!?雨なら水精霊王のオンディーヌでしょ!」
「ああ、そうか」
「は!?もしかして、私役立たず!?」
「「「ははは!」」」
「この世界でコーテー様くらいですよ!火の精霊王サラマンダー様を役立たず扱いする方は!」
「メアリー!いい子!村を焼くくらいの火を起こせるようにしてあげるわ!」
「そんなことになったら大変です!謹んで辞退いたします・・・」
「・・・コーちゃんオチてないけど、私何かした方がいい?」
「そういうの気にしなくていいから!」
ありがとうございます。
アクセスが1000を超えました!
2000アクセス超えるよう、頑張ります。
コメントいただけると励みになります。




