62話 深ぬが花
初めまして、HalToと申します。
62話です。
よろしくお願いします。
「キミ達に見せてあげるよ…獄王の鎖」
『ディエス・イレ』から放たれた環状の鎖は手元の喪介の中へと消えていった。
「そして…黄泉の楔。」
口から楔が飛び出し、喪介に刺さる。
「なッ…!」
翔太は狼狽える。
「これで…厄介な存在が消えたってとこかな。」
ズルズルと『モナ・リヒト』が引きずり出される。
「まさか…ミタマを食らうミタマ…。」
藤田は言う。
その時。
「ハァッ!!!」
早乙女が無音を背後から殴りつけていた。
「無駄だよ…『ディエス・イレ』の体は簡単には砕けない。」
そして喪介のミタマは完全に食われた。
「終わったよ。次はキミの番だ。」
『ディエス・イレ』は青い炎に包まれながら喪介を食べようと手を口に近づける。
が、動きを止めた。
「なんだ…これは…。」
喪介の顔は半分剥がれていた。
「いや…でもミタマは食べた。こいつは死んだはずだよ…!!」
狼狽えつつも口に放り込む。
その時、喪介の体の表皮が全て剥がれ落ちた。
「何だ…?何なんだよ!!!!」
動揺し、その喪介だったものを殴る。
ぶっ飛び、サークルの外側に出た。
「あれは…廻くんなのか…?」
そこにいる漆黒の靄を纏ったそれは光と闇、善と悪、生と死、夢と現。
そういった同じ根を持ち、相反するものが隣り合ったような、そんな奇怪な姿をした存在だった。
「ミタマ…?」
無音は困惑する。
そのミタマは手を前に突き出す。
すると、サークルが霞のように消えた。
「なにをしたんだ…?」
気が付くと目の前に居た。
まるで最初からそこに居たかのように。
「え…?」
『ディエス・イレ』が殴る。
ドゴッと地面に衝撃が走る。
後ろに居た。
が、何故か無音はそのミタマの方を向いていた。
更に頭を掴まれていた。
「…?」
『悪マエノnegaイハナん惰』
5年前
「おかあさーん!このほんよんで!!」
家の中で走る幼児がいる。
「いいわよ。」
洗い物を終え、手を拭く20代後半の女性。彼の母親だろう。
座り込み、絵本を手に取る。
その時、パリンッという音がした。
「なに?」
「源輝、待ってて。」
母親はそっと絵本を閉じると音のした方へ向かう。
音はどうやら奥の部屋からしたようだ。
部屋のドアを開ける。
窓は開き、窓ガラスが割れている。
刹那、頭部に鈍い痛みを感じた。
「ウッ…。」
「まさか人がいたとはな…、とんだ誤算だったぜ。」
男は血濡れた金づちを持って歩を進める。
が、脚を掴まれる。
「チッ!!」
再度男は頭部を殴りつける。
飛び散る赤。
母親は力なく倒れた。
男は部屋から出る。
「お、おかあさん…だいじょうぶ?」
源輝と呼ばれた幼児が心配そうに絵本を握りしめて立っていた。
「ッ…ガキもいたのか…!!」
「だ…だ
男は無言で金づちを振り下ろす。
何度も、何度も、何度も。
そして男は金品を持って逃走した。
63話に続きます。




