32話 威賊が山賊の罪を挙げる
初めまして、HalToと申します。
32話です。
よろしくお願いします。
その夜
喪介のいる集中治療室に何者かがコツコツと音を立てて近づいてきた。
男だ。
細身で外套とつばの広い帽子の似合う男だ。
その男がドアの取っ手に手を掛けようとする。
「何の…御用でしょう。」
ドアのすぐ横には熊のような大男が座っていた。
「あいや、失礼。私は彼の知り合いでして、見舞いに来たのですが…。」
男は答える。
「そうでしたか。悪いんですが…お引き取り願いたい。」
大男がそう言うと訪ねてきた男は静かに去ろうとした。
「少し…お聞きしてもよろしいでしょうか。」
大男は言う。
「はい?」
「どうして面会謝絶のはずなのにここに来れたのでしょう?それと…。」
刹那、大男は男の目の前に現れた。
「どうやって部屋のロックを解除した…?それと今何をしている…。」
大男は強張った表情で言う。
「チッ、剣妬!!」
男の袖口から鋭い何かが出た。
「金の帯!!」
大男を何かが切り裂いた…様に見えた。
「煙…か。さしずめ自分と話してるときに毒ガスか何か散布していたというところか…「煙の男」!!」
大男の服は裂けたが肉体には傷ひとつ付いていない。
「如何にも。君は…もしかして七剣の1人かな?」
煙の男が訊く。
「どうかな…?こっちも聞きたいことが山ほどあるんでな。倒させてもらうぞ。双頭拳!」
大男は右手を煙の男の胸に殴りつける。
「なんだ?ただのボディーブローか?名前の割に大したことな…!」
直後、ドンッ!と煙の男の胸を大きくへこませ、またドンッ!!と音がすると煙の男の胸には風穴が出来ていた。
「なるほど…やるねぇ…!」
煙の男は外套を脱ぎ捨てた。
「何…、体も煙ということか…。」
大男は驚いた。それもそのはず、さっき開けた風穴が治っていたからだ。
「今度は私の番だよ。魔悪琉暴露」
煙の男から煙が噴き出すといくつもの巨大な腕の形に変わり、一斉に大男に殴りかかった。
「クソッ、海蛇!!」
大男は両腕を高速で突き出し、煙の拳のラッシュに対抗した。
「腕が残像で早く見えるな…ラッシュの速さ比べか?いいだろう!ならば!魔悪琉暴露・免魂!!」
煙の拳が緑色のエネルギーを帯びて次第にラッシュのスピードが速くなっていく。
「何!?」
大男はラッシュで押し負け、遠くへふっ飛ばされた。
「ふん、そんなもんか…。」
煙の男が治療室のドアに手を掛けようとした瞬間、無数の鳥型のエネルギー弾が飛んできた。
「ふん、悪あがきを…!魔悪琉暴露・免魂!!」
煙の拳がラッシュで撃ち落とそうとした次の瞬間、煙の拳が消し飛んだ。
「霊力じゃあないのか!?!?」
鳥型のエネルギー弾に触れる度に煙の腕は消し飛んでゆく。
煙の腕がすべて消し飛んだとき、残りの3発がほぼ同時に煙の男に命中した。
「グハッ…!」
右腕の肩から先が宙を舞う。
弾は右腕と顔の左半分、右脇腹を消し飛ばした。
「ハァ…ハァ…よくも…!!」
だが飛んだ腕は煙となり顔と腕は既に再生していた。
しかし男の脇腹からは血が大量に出ている。
「もう許さんぞ…貴様を…殺す!!」
33話に続きます。




