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異世界ダンジョンつくります!  作者: 桜ジョー


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特別編:打ち上げ! ギャルと悪魔と冒険者ギャルド?

アニメ、お約束会です!!

 大規模新築工事を乗り越え、初めて掴み取った「満足度★5」と金貨二百五十枚という大金。


 その夜、サクラ迷宮建設の設立以来初となる「大打ち上げ」が開催されることとなった。


 マルコスに案内されてやってきたのは、街の繁華街の奥にひっそりと佇む、怪しげなネオンが光る酒場だった。


「さあ社長! 本日の宴会場はこちら、『冒険者ギャルド』でございます!」


「ちょっと待ちなさいマルコス。名前……『ギルド』じゃなくて『ギャルド』になってない?」


 不吉な予感を抱きつつ、サクラが木製の重厚なドアを押して中に入ると——


『いらっしゃいませー☆ テーブル席ご案内しまーす! チョベリグ〜!』


 目の前に広がっていたのは、露出度の高いピチピチの革鎧やミニスカート風の魔導師服に身を包み、派手な金髪やピンク髪を盛ったお姉ちゃんたちが笑顔で注文をとる光景だった。


(ガ、ガールズバーかーーっ!!)


 サクラは心の中で思い切りズッコケながら、マルコスの胸倉を掴みかけた。


「ちょっとマルコス! ギャルか! 看板に偽り無しか!! なんなのこの店は! 建設会社の打ち上げで来るような場所じゃないでしょ!!」


「ハハハ、何を仰いますか社長。ここは『冒険者ギルド直営』の由署正しき酒場ですよ。過酷なダンジョン攻略を終えた冒険者たちの心を癒やす、オアシスでございます」


「ただのコンセプトカフェでしょーが!」


 サクラをよそに、社員たちは速やかに着席していった。


 エルザは「ふん、色彩感覚が派手すぎるわね」と言いつつギャルの差し出すメニューを興味津々で眺め、ゴルドン親方は「おっ、今日のジョッキはでかいな!」とすでにノリノリである。


 すると、サクラの隣に座った人事部長のヴァルキリーが、遠い目で店内を見渡しながら、ポツリと感慨深げにつぶやいた。


「……懐かしいですね。私も昔、ここで働いていたことがあるのです」


「……はい?」


 サクラはジョッキを握ったままフリーズした。


「お前がか!!?? ギルド出身なのかギャルド出身なのかどっちなんだよ!!??」


 ヴァルキリーの整った横顔を見つめながら、サクラの脳内に恐しい妄想が駆け巡る。

あの凛とした美しい金髪を盛りに盛り、ビジネススーツではなく超ミニスカのピチピチ革鎧を着て、『マジウケるんだけど〜☆』とウインクしながら酒を運ぶヴァルキリーの姿が……。


(あ、ダメだ……頭がバグる……!!)


「社長、顔色が悪いですよ?」と真顔で心配してくるヴァルキリーに、サクラは必死で首を振った。


 そこへ、店内のギャル店員が「あ〜ん! マルコスっち久しぶり〜! 今日もバズり酒行く〜?」と親しげにやってきた。


「やあライラちゃん。今日はうちの会社の大切な打ち上げなんだ。一番高いワインを樽で持ってきておくれ」


 ウインクしながら自然にギャルとハイタッチを交わすマルコス。常連感がハンパない。


(……待って?)


 サクラはピキリと眉をひそめ、冷ややかな視線をマルコスに向けた。


「……ねえマルコス。あんた……まさかヴァルキリーをスカウトしたのって、この店なの……?」


 マルコスは平然とした顔で高級ワインのグラスを傾け、ニヤリと極上の営業スマイルを浮かべた。


「それが何か?」


「開き直るんじゃないわよーーーっ!! 人事部長の引き抜き場所がガールズバーって、どういうことよ!!」


「ハハハ! 優秀な人材がたまたまここにいただけですよ。ねえ、ヴァルキリーさん?」


「ええ。マルコスさんに『君の厳格なシフト管理と接客スキルなら、ダンジョン業界の人事トップになれる』と熱烈に口説かれまして」


「言い方!! 言い方が紛らわしいのよ!!」


 ギャンギャンと噛みつくサクラと、どこ吹く風で酒を飲むマルコス。


 すると、横から巨大なビール樽を抱えたゴルドン親方が、豪快に割り込んできた。


「ガハハハ! まぁまぁ社長! そんなちっちゃなこと、どうでもいいじゃないですか! ほら、酒だ酒! 今日は金貨が山ほど入ったんだ、飲むぞーっ!」


「親方まで……! 全然ちっちゃいことじゃないでしょ……!」


 ふと見ると、ヴァルキリーはすっかりかつての同僚ギャルたちに囲まれ、「最近のモンスターの社会保険事情」について真面目な顔で楽しそうに会話を弾ませていた。ギャルたちも『え〜マジ? スライムも労災降りるの? ヤバみ〜!』と真剣にメモを取っている。


(……うん。まあ、結果として優秀な人事部長が手に入ったんだから、いいのか……?)


「……はぁ。もう好きにしなさい……」


 諦めてジョッキの麦酒をグッと煽るサクラ。


「社長! エルザ先生が『私の美学に合わせたカクテルを出しなさい!』って店員とバトルを始めましたよ!」


「スライムのスラりんがジョッキの中にダイブしてビール漬けになってます!」


「ちょっと私を休ませなさいよーーっ!!」


 叫ぶサクラの元へ、店のギャル店員たちが「きゃ〜! かわいい〜〜!!」と黄色い声を上げて群がってきた。


『ねえねえ! もしかして新人の体験入店ちゃん!?』


『顔ちっちゃいし、絶対ナンバーワン張れるって! 今日からここで働かない!?』


「ちょっと待ちなさい! 誰が新人体験入店よ! 私はこれでも建設会社の社長で——」


 言いかけたサクラを、向かいの席でビールを飲んでいたゴルドン親方がジロジロと見つめる。


「……いや、言われてみればですな。社長、うちで一番若くて可愛いし、そのピンク髪といい、この店で一番『ギャル』として馴染んでますぞ?」


「はあぁぁぁ!!?? 誰がギャルよ! 」


「ええ、社長」と、ワイングラスを片手にマルコスもニヤリと微笑む。


「ヘルメットを脱いでそちらのミニスカ革鎧に着替えていただければ、明日からの営業利益が三倍に跳ね上がるかと」


「着替えるかーーーっ!! 誰が営業費をギャルで稼ぐか!!」


「まあ、社長」とヴァルキリーまでもが真顔でメモ帳を開く。「ナンバーワンになれれば、ギャルドの優秀な労働力をさらにスカウトしやすくなります。ぜひご検討を」


「人事部長までノリノリで私の副業(キャバ)を推進するなーーーっ!!」


 店内のギャルたちから『社長ちゃんマジウケる〜☆』と大爆笑され、社員一同から「一番ギャルっぽい」と集中砲火を浴びるサクラ。


 サクラ迷宮建設の夜は、こうして賑やかに(そして社長の尊厳をかけた悲鳴と共に)更けていくのだった。


(特別編・了)

堪能いただけたら、★を!

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