第6話:Sランク冒険者、未完成ダンジョンに突入す
〆切に追われる作家さながら自分を追い込むサクラ!
果たしてサクラは?!
「社長ーッ! トラブルです!」
ミミズ給食で機嫌を直したモグラ部隊の協力もあり、掘削自体はなんとか完了した施工二日目の夜。ーー現場にマルコスの絶叫が響き渡った。
「どうしたのマルコス! まだ内装の鏡面コーティングが終わってないのよ!?」
「案内看板の『本日休業・立ち入り禁止』を無視して、とんでもない奴らが敷地内に突入してきました!」
魔法鏡(監視モニター)に映し出されたのは、全身金の鎧を纏った男と、怪しい黒ローブの男。
『フッ、ここが噂の新築映えダンジョンか。このSランク冒険者「金獅子のレオン」様が、完成前に攻略して財宝を根こそぎ奪ってやるぜ!』
「Sランク冒険者ぁぁぁ!? なんでそんな重課金勢みたいな奴が来てるのよ!!」
「マスコミの事前報道(マルコスの宣伝)を聞きつけてやってきたようです!」
「まずいわ……! まだ罠の自動起動魔法陣が半分も配線できてないのよ!」
「このままだと、最奥の宝物庫まで一瞬で突破されて会社の実績がガタ落ちです!」
青ざめる社員たちの中、固く拳を握りしめた。
「……やるしかないわ」
「えっ、サクラ社長……?」
「人力で罠を起動するのよ!」
「はい?」
「センサーが繋がってないなら、私たちが現場の裏通路に回って、手動でスイッチを押せばいいのよ! モンスター社員も総出よ! スライム! スケルトン骨川! 現場に散らばりなさい!」
こうして、前代未聞の『人力ダンジョン運用』という名の泥沼の死闘が始まった!
『へっ、綺麗なダンジョンだが罠の一つも——』
レオンが踏み込んだ瞬間、壁の裏に隠れていたゴルドン親方がハンマーで巨大スイッチを思い切り叩く!
ドゴォォォン!!(手動・岩石落とし)
『ぬわーっ!? 突然岩が妙なタイミングで落ちてきたぞ!?』
さらに奥の通路。未完成エリアに差し掛かったところで、サクラは叫んだ。
「マルコス! あんたが(第5話のラストで)勝手に提案した『ラグジュアリー黄金温泉プール』のボイラー設備、手動で圧力を限界まで上げなさい!」
「えっ、爆発しませんか!?」
「噴出させんのよ! レオンの足元から『黄金の激熱温水』をブッ放せーッ!!」
バルブを力任せに回すと、足元から黄金色に輝く熱湯が噴出!
『ギャーッ! なんだこの無駄に熱くてヌルヌルする黄金のプールはーッ!?』
「よし! エルザ、流星幻影魔法のスイッチ押して!」
「魔法陣の出力調整が手動じゃ難しいのよ! えーい、全開っ!」
ズガガガガーン!!
天井からド派手なドクロ型の爆発幻影と、温泉の蒸気が相まってカオスな空間が広がる!
「次はスケルトンの骨川さん! 崩れるリアクションで時間を稼いで!」
『任せてください社長! 最高の演技、ご覧ください!』
骨川がレオンの剣にかすった瞬間、「ぐわぁぁぁーっ! なんという剣技! 骨が……骨がバラバラだぁぁぁ!」と大歌舞伎並みのオーバーリアクションで派手に粉砕!
『お、俺の攻撃でそんなに!? す、すげえ技が出ちゃったか!?』
レオンが自分の手に困惑し、足を止める!
「今のうちに! モグラ部隊、レオンの足元の土を掘って穴に落として!」
「合点だ! シャベル隊、突撃ーッ!」
裏方(社員たち)が冷や汗をダラダラ流しながら、壁の裏、天井裏、地中を走り回り、文字通り「手動」でダンジョンを動かしていく!
「ハァ……ハァ……! いつまで次くのよ!この死ぬほど忙しい内覧会は!」
サクラ社長の悲鳴が、未完成の迷宮の裏通路に虚しく響き渡るのだった。
……サクラ、異世界で過労死か!!
次回が楽しみです!
★★★と応援よろしくお願いします!




