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異世界ダンジョンつくります!  作者: 桜ジョー


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第50話:突入! 秘密組織ヴェノム!

「ヴァルキリー! 留守中の会社と現場管理はすべて任せたわよ! 事故と残業には気をつけること! ご安全に!」


「はっ! サクラ社長、どうぞお気をつけて!」


 サクラ迷宮建設の留守をヴァルキリーに託し、サクラ社長はピンクのヘルメットの紐をギュッと締め直した。


 引き連れるのは、背に聖剣を光らせる勇者佐藤と、滝のような冷や汗を流し続けている魔王マルコスである。


「よし! 行くわよ、二人とも! ヴェノムのアジトを突き止めて、我が社の偽物を作った損害賠償金をむしり取るわよーッ!」


 サクラ社長の後ろで、マルコスは今にも吐きそうな顔でガタガタと震えていた。


(ひ、ひぇぇぇぇッ……! 昨夜、勇者佐藤に『実は1000年前に俺が作ったサークルで……』って白状しちゃったけど……今、サクラ社長にバレたら一瞬でセメント漬けにされるぅ!)


 隣を歩く勇者佐藤は、聖剣の柄に手を置きつつ、密かに胃を痛めていた。


(昨夜マルコスさんから聞いて葛藤したけど……やっぱりサクラさんには言い出せない! なにかの拍子にうやむやになって解決してくれ……ッ!)


 佐藤の淡い祈りも虚しく、サクラ社長の圧倒的な裏路地での聞き込み(喝上げ)により、王都北の『黒骨の山脈』にある廃城がヴェノムのアジトだと判明。三人は不気味な拠点へと突き進んでいった。


 不気味な黒煙に包まれた『黒骨の山脈』の廃城。


「ここね……! ヴェノムの本拠地は!」


 サクラは身構え、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「サクラさん、気をつけてください! 相手は国家防衛ダンジョンを狙うほどの秘密組織です……!」


 勇者佐藤は一応聖剣を抜いて警戒するフリをする。


「関係ないわ! 施工不良のアジトなんて一括解体よッ!」


 バゴーーーーーンッ!!


 サクラ社長が蹴り飛ばした城門の破片が吹き飛び、三人は堂々とヴェノムの謁見の間へと踏み込んだ!


 広大な城内の玉座の間。


 そこには黒いローブを纏った幹部たちがずらりと並び、中央には漆黒の仮面をつけた【ヴェノム総帥】が鎮座していた。


 重々しい空気のなか、総帥の視線がサクラ社長の背後で小さくなっているマルコスに留まった。


「……ん? 待て……その角……その禍々しくもポンコツそうなオーラ……! も、もしや貴様は……!!」


 総帥と幹部たちが一斉に仮面やフードを外した!


「やっぱマルコスじゃねぇかーーーッ!! 久しぶりだなオイ! 元気にしてたか!?」

「マルコスだ! 本物のマルコスだーーーッ!」


 重苦しい秘密組織の空気は一瞬で崩壊! 幹部たちがワラワラと駆け寄り、古い友達に再会したかのようにマルコスの肩をバシバシ叩く!


「ひ、ひぇっ!? やめろ! 馴々しく触るな! 我が輩を誰だと思っている……ッ!」と必死で目を泳がせるマルコス!


 しかし幹部の一人が、笑顔でとんでもない暴露をかました。


「いや〜お前が1000年前に『俺は重大な作戦中だ! 俺の代わりに異世界制覇しとけ!』って置き書き残して部屋から出ていっちゃうからさ〜! 俺たちマジでここまで組織をでかくしたんだぜ!?」


「おい! バカ! 余計なことを言うなーーーッ!!」と青ざめて絶叫するマルコス!


 幹部はハッと口を押さえた。


「あッ……! これ、他のヤツには秘密だったっけ!? メンゴメンゴ!」


「……ちょっと、一体なんなのよこれ? 意味が分からないわ!」


 突然のフレンドリーな会話と謎の会話に、状況がまったく掴めないサクラ社長。痺れを切らした彼女は、両手を高く掲げた!


「スキル起動——【施工管理】! 生体・環境バイタルスキャン!」


 ズバァァァァァンッ!!


 青いグリッド光線が空間全体を包み込み、周囲の構造物だけでなく、全員の心拍数・血圧・発汗量などのバイタルデータが大きなホログラム数値となって空間に浮かび上がった!


【ヴェノム幹部たち】 心拍数:80(平常・テンション高め)

【大魔王マルコス】 心拍数:240(爆発寸前) / 発汗量:極大(冷や汗ドバドバ)

【勇者佐藤】 心拍数:210(大パニック) / 脳波:【隠し事がバレる恐怖】


 サクラ社長の目が、ホログラムの数値を捉えた。


「ちょっとマルコス……あんたの心拍数と冷や汗、どう考えても異常じゃない! 1000年前のサークルってどういうことよ!?」


 サクラの鋭い視線が、そのまま隣に並ぶ佐藤のホログラムへ移る。


「……って、なんで佐藤アンタまで心拍数200越えてビビってんのよーーーーーッ!?」


 ホログラムで動揺を丸裸にされた佐藤は、サクラ社長の威圧感に耐え切れず悲鳴を上げた!


「ひ、ひぃぃぃっ! バレたーーーッ!! すみませんサクラさん! 昨日の夜マルコスさんから全部聞いてたけど、セメント漬けにされるのが怖くて言えなかったんですぅぅぅッ!!」


「佐藤のうらぎり者ーーーーーッ!!」


 自爆白状した佐藤と、頭を抱えて地べたに伏せるマルコス!


「……なるほどね」


 すべてのカラクリを理解したサクラ社長は、静かにピンクのヘルメットを被り直し、バチンと手を叩いた。


「我が社の損害! 偽物騒動の手間! 私の時間を奪った罪! 1000年前のバカなサークルごっこ……そして社員二人が揃って私に隠し事をしていたという事実!!」


 サクラの全身から、魔王すら凌駕する圧倒的な『ブチギレ現場監督の殺気』が爆発した!


「ヴェノムも! マルコスも! 黙ってた佐藤くんも!! 全員まとめて……『一括解体(教育指導)』してやるわよーーーーーッ!!」


 サクラ社長のスキル『施工管理』によって動揺を丸裸にされ、見事に全員自爆した!


 ヴェノムのアジトは、敵も味方も関係ないサクラ社長の『地獄の教育指導現場』へと変貌するのだった!


(『いせダン』第50話・了)


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