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異世界ダンジョンつくります!  作者: 桜ジョー


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第3話 : 突貫工事と最初のダンジョンオープン

「あと3時間……! あと3時間で開会式(オープン)よ! モグラ部隊、最後の埋め戻し急いで! ゴルドン親方、二階層目の罠の試運転はどう!?」

「バッチリだ、社長! スイッチ連動型の岩石落とし、感度調整完了だぞ!」

「エルザ! 滝の循環魔法陣、水漏れしてないわね!?」

「だ、誰に言ってるのよ! 私の美学と防水処理は完璧よ……くっ、徹夜で肌が荒れるわ!」

 建設現場は、まさに戦場だった。

 丸2日と半、睡眠時間を削って繰り広げられた突貫工事。

 マルコスが取ってきた「工期3日・新築ダンジョン」の現場では、ピンクのヘルメットを被ったサクラが現場監督として怒号を飛ばし続けていた。

 悪魔営業のマルコスも、高級スーツの袖を力強く捲り上げ、泥まみれになりながら看板の設置作業に追われている。


「ふぅ……社長、看板の施工完了いたしました! クライアントのグラニット様(※サクラのおかげで出世して新貴族となった)も間もなくご到着です!」

「よし……! なんとか、なんとか工期内に間に合った!」

 ヘルメットを脱ぎ、額の汗を拭ったその瞬間だった。


『おいおい、ここが噂の新築ダンジョンか?』

『へっ、できたてホヤホヤじゃねえか。一番乗りで攻略して財宝ごっそり頂こうぜ!』

 なんと、オープニング式典の前に、噂を聞きつけた駆け出し冒険者パーティ(剣士、魔法使い、盗賊の3人組)がフライングで敷地内に押し寄せてきたのだ!


「ちょっと! まだオープン前よ! 関係者以外立ち入り禁止!」

「社長、お待ちください!」

 マルコスがサクラの肩を制し、不敵な笑みを浮かべた。

「これぞ絶好の『現地内覧会(オープンハウス)』ではありませんか。クライアントの目の前で、我が社のダンジョンのクオリティを証明するチャンスです」

「……確かにね。よし全員、中央監視モニター(魔法鏡)の前に集合! 初稼働テストを開始するわよ!」


 冒険者たちが威勢よくエントランスへ踏み込む。

 まず彼らを迎えたのは、エルザがデザインし、ゴルドンが補強した『光と影のガラス廊下』だ。

『うわっ! 外の光が反射して眩しい! 敵の影が見えねえぞ!?』

『待て、足元がツルツル滑る! なんだこの綺麗な床は!?』

「フフン、見たかしら!」

 魔法鏡を覗き込むエルザが胸を張る。

「単に美しいだけじゃないわ! 強化魔法ガラスを斜めに配置することで光を乱反射させ、視界を奪う設計よ!」

『くそっ、奥のT字路を右だ!』

 冒険者が焦って角を曲がった瞬間、カチリと床が沈んだ。

『しまっ……トラップだ!』

 頭上から巨大な岩が落とされる——と見せかけて、横の壁からドバァッ!! と大量の水が噴き出した。エルザ発案の『二重循環・滝トラップ』だ。

『ギャーッ! 水圧で流されるぅぅぅ!!』

『冷たい! 服が重くて動けない!!』

「ハハハ! 現場の防水工事を二重にしておいたおかげで、水流の威力が殺されずにダイレクトに冒険者へ直撃しているぞ!」

 ゴルドン親方が豪快に笑う。

「そして……ここからが私の仕上げよ!」

 サクラが手元の魔法コンソールを操作すると、水に濡れてパニックになる冒険者たちの目の前に、大きな赤い矢印看板が浮き出た。


【EXIT(非常口)はこちら ➔】


『あ、あっちに逃げ道が……!』

『助かったぁぁぁ!!』

 命からがら非常口の扉を飛び出した冒険者たちは、そのままダンジョンの外へと転がり出た。

 怪我人はゼロ。だが、彼らの顔はスリルと恐怖、そして絶妙な脱出劇への興奮で紅潮していた。

『た、楽しかった……! なんだあのダンジョン、めちゃくちゃスリルあるぞ!』

『次はもっと装備を整えてリベンジだ!!』


――パチパチパチパチ……!

 静まり返る現場に、惜しみない拍手が響き渡った。

 サクラが振り向くと、そこには豪奢なドレスを着たクライアント、あのグラニットが目を輝かせて立っていた。

「素晴らしい……! 美しいデザイン、絶妙な罠の配置、そして冒険者を死なせずに『また来たい』と思わせる完璧なエンターテインメント性! サクラ社長、サクラ迷宮建設の仕事、実に見事です!!」


【新築第一号物件:施工完了。利益:金貨50枚+実績★3獲得!】


「やった……やったわみんな! 無事オープンよーーーっ!」

「おおおおおーーーッ!!」

 ハイタッチを交わすエルザとゴルドン。営業スマイルを破顔させるマルコス。

 ピンクのヘルメットを空高く放り投げ、サクラたちは最初の勝利の美酒(※現場なので麦茶)に酔いしれた。


 しかし、歓喜に沸く事務所に、再び嵐の予感が差し込んでいた。

「社長! ダンジョンは完成しましたが、罠を再セットする人手も、冒険者を迎えるモンスターも圧倒的に足りません!」

「なんですって……!? そうか、箱(建築)ができても、中で働く『従業員』がいないとダンジョンは回らないのね!」


 過労死寸前の突貫工事を乗り越えたサクラに、今度は『人事・採用問題』という新たな壁が立ち塞がるのだった!


(第3話・了)

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