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異世界ダンジョンつくります!  作者: 桜ジョー


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第27話:伏線回収!

「テキパキ動きなさい! 再利用可能な素材を拾いなさい。現場に無駄はないのよ!」


「ご、ご安全にーーーーーっ!!」


 草一本生えていない見事な更地——知性担当マルコスが400年間放置し、配下の悪魔たちにも逃げ出された『荒れ果てたマルコス領』。


 何もない大荒野の中でメガホンを振るい、テキパキと残存資材の整理整頓を進めるサクラ社長の姿を、本物の勇者は聖剣を握りしめたまま、呆然と立ち尽くしていた。


(この声……この手際の良さ……そして、何も存在しない更地すら一瞬で作業現場に変えてしまう、圧倒的な現場主義の覇気……!!)


 勇者の頭の中で、前世の記憶が濁流となって溢れ出し、もう抑えきれなくなっていた。


(大魔王の精神攻撃だなんて、自分を騙すのはもうやめだ……! 姿形は違っても、この現場への情熱と威圧感は……間違いない!)


「……染井さん……っ!」


 思わず、前世の名前が口をついて出ていた。

ハッと息をのんで戸惑う勇者。だが、一度溢れ出た感情はもう止まらなかった。


 勇者は聖剣をカララン……と床に落とすと、涙目になりながらサクラ社長に向かって必死に叫んだ!


「染井監督! 僕です!! 佐藤です!! あの事故の時、一緒に現場にいたあなたの部下の佐藤ですーーーーーっ!!」


 魂を込めた勇者——いや、部下・佐藤の叫びが、何もない大荒野に虚しく響き渡る。


 後ろで見ていた悪魔と騎士団たちも「え……勇者様……?」と固まり、静寂が訪れた。


 サクラ社長は、電磁電卓を叩く手を止めると、首をかしげて勇者をじっと見つめた。


「……誰?」


「え?」


「あんた勇者でしょ? 『佐藤』って、この世界じゃずいぶんと変わった名前ねぇ。名字なの? それともファーストネーム?」


 サクラの顔には、1ミリの揺らぎも、感動の欠片もなかった。


 そう——異世界転生したあの日、サクラは目覚めた瞬間に「佐藤くんは!?」と一瞬気にしたものの、イケメンのマルコスを見た瞬間に佐藤くんのことなど綺麗さっぱり脳内から消去していたのである!


「あ……あの……染井監督? 毎日現場で『整理整頓!』って僕を怒鳴り散らしていた、あの部下の佐藤です! 忘れちゃったんですか……!?」


 必死にアピールする勇者に、サクラ社長は「ふーん」と気のない返事をしながら、胸ポケットから赤ペンを取り出した。


「まあいいわ。とりあえず『佐藤』って呼べばいいのね?」


「は、はいっ……! そうです、佐藤です!」


 感極まってパッと表情を明るくする勇者。


 だが、サクラは地獄のように冷徹な現場監督の笑顔を浮かべると、伝票用紙にカリカリと文字を書き込み、バッと勇者の胸元に突きつけた!


「じゃあ、これまで荒らされた現場復旧費用と工期遅延の損害賠償の請求書、宛名は『佐藤様』にしておくわね! 1500万ゴールド、期日までにきっちり払いなさーいッ!!」


「えぇーーーーっ!?!?」


 前世の感動の再会(?)をスルーされ、荒野の真ん中で勇者・佐藤の悲痛な叫びが虚しく響き渡るのであった。


 どうする勇者佐藤?!


(『いせダン』第27話・了)

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