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異世界ダンジョンつくります!  作者: 桜ジョー


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第16話 ひらめきの温泉ダンジョン

今回の「いせダン」は……負債一億ゴールド返済できるのか?!

「——というわけで龍王様。これが我が社の誇る『超高圧耐性・深海作業服』でございます」


 深海1000メートル、龍王宮殿の接見の間。


 湯冷めで髪を少し濡らしたサクラ社長と、顔に少し青アザを作った営業のマルコスは、威厳あふれる巨躯の龍王と向かい合っていた。


 しかし、肝心の「海底迷宮」の新築計画は難航していた。


「うむ……技術力は認める。だがサクラ社長、我(わらわ)が求めているのは単なる頑丈なダンジョンではない。『挑戦者が思わず長居したくなるような、唯一無二のエンターテインメント性』なのだ。単なる水没した暗い洞窟では退屈でならん」


 腕を組み、重々しく唸る龍王。


「長居したくなるエンターテインメント性……」


 腕を組んで頭を抱えるサクラ。エルザの美麗なデザイン案も、龍王の「長居したくなる」というコンセプトの壁にぶつかり、なかなか決定打に恵まれずにいた。


 そんな重苦しい沈黙の中、横で退屈そうに爪をお手入れしていたマルコスが、ポツリとため息をついた。


「ハァ……こんなことなら、さっきの海岸野天風呂にもう少し浸かっていたかったですねぇ。5分じゃ肩まで温まりませんでしたよ」


「……ちょっとマルコス、今大事な商談中でしょ! 温泉のことなんて——」


 サクラがツッコもうとしたその瞬間。


 サクラの脳裏に、現場監督としての稲妻(ひらめき)が走り抜けた!


(温泉……浸かる……長居……!?)


 サクラは素早く自身のスキル『施工管理』を発動!


 視界にこの海底洞窟全体の詳細な地質データと熱源マップが青いホログラムのように展開される!


「……そうだわ! 『温泉ダンジョン』よ!」


「温泉ダンジョン!?」


 龍王が目を見開いた。


 サクラはパンッと威勢よく手を叩き、龍王に向かって身を乗り出した!


「龍王さん! 私のスキルでこの海底洞窟の地質をスキャンしましたけど……ここ、湧き出ている源泉の質が場所によって全部違うんです! 硫黄泉、炭酸泉、鉄泉、超高濃度塩化ナトリウム泉……! ざっと見算しただけで、約100箇所の異なる効能の温泉が湧き出しています!」


「ほう……? 100の温泉だと……?」


「ええ! この海底洞窟をただ攻略するのではなく、『100箇所の温泉全てに浸かり、湯船に浸かると湯煙の中に浮かび上がる謎解きクエスチョンに答えて進むダンジョン』にするんです!

 挑戦者は疲れた体を極上のお湯で癒やしつつ、クエスチョンに答えないと次の温泉(階層)に進めない……!

 癒やしと頭脳戦が融合した、究極の長居型アトラクションダンジョンです!! どうですか、龍王さん!?」


 サクラの熱弁に、龍王は一瞬呆然とした後、その巨躯を震わせ……


「……見事!!」


 ドォン! と龍王が膝を叩いた!


「流石はサクラ社長! 見事な着眼点だ! 疲れを癒やしつつ長居させ、クエスチョンで知性を試す……! これぞ我の求めていた理想の海底迷宮! ぜひその『100の温泉クエスチョン迷宮』で契約を結びたい!」


 サクラが「やったわ!」とガッツポーズを決める中、龍王はフッと満足そうに微笑んだ。


「報酬は……1万ゴールドでよろしいかな?」


「…………!」


 1万ゴールド! 破格の巨額報酬である!


 サクラ、ゴルドン親方、エルザ、そしてマルコスの4人は、勢いよくお互いの顔を見合わせた!


 そして、息をぴったり合わせてハモった!


「もちろん!!!!(即答)」


 あまりの即答ぶりに、龍王も満足そうに頷いた。


「よし、契約成立だ! 施工を頼むぞ!」


 商談が成立するやいなや、サクラ社長はバッと振り向き、親方とエルザの肩を叩いた。


「じゃ! あとは頼んだわよ親方、エルザ! 100の温泉の効能を活かした最高のデザインと施工、頼んだわよ!」


「おう! 任せとけ社長! 男の情熱を込めたドデカイ風呂を作ってやるぜ!」


「任せなさい! 100箇所全部映える最高の温泉リゾートデザインにしてあげるわ!」


「よしっ! 私はこれから、もうひとつの現場……天界(空中浮遊ダンジョン)に行ってくるわ!」


 サクラが爽やかにヘルメットをかぶり直して歩き出すと、マルコスが「では社長、私も営業としてカバンをお持ちして……」とついて来ようとした。


 サクラはぴたりと足を止め、マルコスに向かって極上の営業スマイルを向けた。


「マルコス。貴方はここに置いていくから、親方とエルザの現場でいいように使われて(力労働して)ね! ギャルドの飲み代とさっきの温泉のツケ、体で払ってきなさーい!」


「えっ……!? ちょ、社長!? 私のような繊細な営業マンに現場の力仕事は——」


「ガハハハ! よしマルコス、まずはあっちの資材10トンを一人で運べ!」


「逃がさないわよマルコス! 私の細かいデザイン指示通りにレンガを積み上げなさい!」


「ひぃぃぃーーーっ!? サクラ社長ぉぉぉーーーっ!!」


 背後で親方とエルザにズルズルと引きずられていくマルコスの悲鳴を聞き流しながら、サクラ社長は軽やかな足取りで天界へと続く魔法陣へと踏み出すのだった。


 急げ、サクラ、天界へ!


(『いせダン』第15話・完)

借金返済への道のりは遠い!

サクラを応援してやってください!!


すみません!第11話をすっ飛ばしてました!

投稿は、ご安全に!

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