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部長殺人事件⑤

 「生徒会室であなた方の部長が死んでいます。早く引き取りに来てください」


 生徒会長の深川が報告に来たのは、香月たちが部室に集まってすぐのことだった。


 もう聞かなくても分かる。どうせ塩井の死体アートだ。二度とやるなと忠告したのに、翌日にまた死ぬとは、一体どういうつもりだ。


 深川とともに生徒会室に向かう。その道すがら、香月は深川に尋ねた。


 「会長は驚かないんですか?先輩の死体が転がってることに」

 

 「これが別の生徒ならさすがに私でも狼狽したでしょうけど、なにせあの塩井さんですからね。生徒会室の壁の張り替え費用、そういえば払ってもらってないのですが」

 

 「請求は汚した本人にお願いしますよ」


 「では、本日床も汚されたので、それも合わせて改めて請求します」


 塩井はなにか生徒会に恨みでもあるのだろうか。壁に絵の具をぶちまけたり、生徒会室を事件現場にしたり。生徒会を敵に回すメリットなど一つもないのに、まったく塩井の考えは分からない。


 「塩井さん。後輩が迎えにきましたよ。早く起きてください」


 「先輩!昨日言いましたよね。もう死体アートはやめてくださいって!」


 今日の塩井は、昨日と違って出血はしていなかったし、ナイフも刺さっていなかった。その代わり、両手足をロープで縛られていた。


 傍らには空のガラス容器。ご丁寧に、ドクロマークのシールが容器に貼られている。拘束されて毒薬を飲まされ、殺されたという設定なのだろう。昨日よりもストーリー性が高まっている。もしやシリーズものにするつもりか。


 「おや、さっきと様子が違いますね。私が発見したときは、縛られていなかったのですが」


 「でも自分で手足を縛るのは不可能でしょう?いくら先輩でも、そんな器用な芸当はできないですって」


 「香月、よく来てくれた。このロープをほどいてくれ!」

 

 「あ、もう生き返った設定なんですね」

 

 「違う!ロープは私の計画にはなかった。私が用意したのは、毒を盛られて死んだシチュエーションだけだ」


 塩井は陸に打ち上げられた魚のように、ビタンビタンと跳ねている。なんて滑稽なんだろう。


 「はあ、じゃあ誰が縛ったんですか」


 塩井が身を捻って、生徒会室の奥を睨んだ。


 「あいつだ。あいつが私を勝手に縛ったんだよ」


 他の生徒会役員のものよりひときわ大きい生徒会長のテーブル。それにもたれかかり、手でロープを弄んでいる女子生徒がいた。


 「どーもー。緊縛クラブの四条ですー」



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